~five~自己紹介
主な登場人物の自己紹介も含めています。
ここで名前を覚える機会かも♪
理事長の挨拶が終わり、おとなしくイスに座る。
改めて客席を見ると、めまいがするほどの人の量。
できるだけ人を見ずにうつむいて、耐える。
だんだんと時は過ぎて終盤へ近づく。
「続きましては、今年度のArtemis紹介へ入ります」
Artemisの紹介か、ここで名前を覚えよう。
覚えてなかったり、間違えたりしたら失礼だしね。
「みなさん、こんにちは。Artemis代表の神崎 彩華と申します。今回もArtemis代表挨拶を務めさせていただきます。」
拍手の波。
今回もってことは前にもやったのかな
しっかりしてそうだもんな〜
「Artemisは…____」
Artemisについて話し始める。
海原さんから聞いたものと同じような内容だ。
もちろん、Artemis黒いところではなく表向きの意図を。
…Artemisが生け贄制度をやってると思えない。
冷めてるところはあるけど、ものすごくいい人達だったし…。
「__。これでArtemis代表挨拶を終わります。続きましては、Artemisのメンバー紹介になります」
そう言うと、自分の席へ戻り、マイクを背の高いArtemisの男の子へと渡した。
Artemisの男子軍が席を立つ。
すると、さっきの高身長の男の子がマイクをオンにして言う。
「こんにちは。Artemisに所属している、小田原 日向と申します。高等部三年生です。」
穏やかで居心地がいい声をしている。
そして、次は「奏」と呼ばれたイケメン男子がマイクを取る。
「同じくArtemis所属の、萩麻 奏です。高等部三年です」
萩麻 奏…すごい綺麗な名前だしかっこいいし…。
不覚にも、ときめいてしまう。
客席を見ると女子もそこのマダムもうっとりだ。
「同じくー!Artemisの神薙 龍星!高校2年~」
他より雑な自己紹介だな。
「同じく~、Artemisの所属の藤宮 桜樹です!高等部2年生ですよろしくね~」
かっこいい顔してるけど、チャラ男間違いなし。
さっきも必死の女の子はなんたらって言ってたし
客席を見るとさっきとは違う反応。
なんか、かっこいい先輩を見た時みたいな乙女MAXの目。
小田原と萩麻は見とれるしまうような落ち着いた魅力で、
藤宮と神薙は純粋に『かっこいい』と思うんだろう。
続いて女子軍が立つ。
「Artemis所属の神崎 彩華です。高等部3年生です。」
うん、安全運転に綺麗だわ。
「Artemis所属の瀬尾 藤香です。同じく高等部3年生です」
あの、クールTHE美人の人だね。
この2人はなんかとりあえず究極のクールビューティーって感じだわ。
自分の例えが乏しすぎて嫌になる
「Artemis所属の花畑 レア(はなはた れあ)です。高等部2年生です」
初めて聞いた声。なんていうかかわいい感じの美声みたいな…。見た目も、かわいい系美少女だし
「はいは~い!Artemis所属の西條 莉伊で~す!高等部1年生の新入りです!」
うんなんか、すごい濃い。
この子の声も聞いたことなかったけど、可愛い声…だけどそれ以前にぶり…。
いや何でもない。
さっきからディスりすぎだ、抑えよう。
全体見て改めて思ったけど、名前がすごい。桜樹とか、莉伊とか…。
花畑さんについてはもう、〝はなばたけ〟って読めるからね。というか、はなばたけが一般だからね。
すると理事長にマイクが渡り、言う。
「転入生を紹介します」
強引にマイクを渡され、舞台の真ん中へと立たされる。
唐突すぎるなんの準備もできてないのに…
みんなの視線が集まる。
なにか、話さなければ。
「こ、この度…彩麗学園に転入致しました。進藤 緑です…」
反応なし。
嫌だもう無理。
すると、こそっと神崎が言う。
「進藤さん。ここに来ての印象とか、これからのことを軽く言ったらいいと思うよ」
振り返ると、安心するような微笑みをしていた。
頑張れる、ありがとう
「ここに…ここに来てからの印象は、ものすごく綺麗なところだなあって思って…。あと、Artemisの人達とも少し話したんですけど」
周りが少しざわつく
「みんないい人で…私は。私は安心しました、ここに居れると思いました。これから彩麗学園で頑張りたいと思います!」
最初に拍手をくれたのは、神崎さんだった。それに合わせて周りからも拍手を贈ってくれる。
神崎さんは、頑張ったねと微笑んでくれる。そして言う。
「進藤さん、私達と一緒にここで頑張っていきましょうね」
「も、もちろん!」
一層拍手が大きくなる。
すると理事長にマイクが渡った。
「これにて、彩麗学園始業式を終了致します。御来場の保護者様・PTA・来賓客様はご退場ください」
ぞろぞろと出ていく。
でもそれより、〝怖い〟と思ったのは、生徒の目。
何も感じず、人形のように動かない。
そして人が出た瞬間、
扉には鍵がつき、カーテンが閉められ、辺りは暗くなる。
「え」
あまりにも慣れない状況に声が漏れる。
そして先生がみんな裏口から出ていく。
え、なになに。生徒だけになりましたけど
少しの沈黙が続く。
そしてその沈黙を破るように、神崎が言葉を放つ。
『今から、生け贄制度会議を開始します』
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