二度目の転生準備
目が覚めると白い天井が見えた。さっきも同じような景色を見たような気がする。体を起こしてもやはり白い壁に白い床だ。あのじいさんの部屋に戻ってきてしまったようだ。
目の前の空間が歪みじいさんが現れる。
「もう死んだのかのう。それとも帰ってきたのかどっちじゃ?」
「わからん、木陰で寝たところまでは覚えてる。それで起きたらここだ。訳がわからねえよ」
「それじゃあ、死んだんじゃな」
「死んだって何が原因だ? じいさんは何か知っているか?」
「すまんがお主がどこに転生したかはわからんのじゃ。恐らく儂の管理している世界じゃないんじゃ」
死んだ理由もわからないらしい。それだと対策の立てようがない。結局あの世界ではただ歩くことと、樹液を飲んだこと、あとは死んだことしかやっていない。
「そう言えば魔法は使ってみてどうじゃった? いままで使ったことはなかったろう」
「いや、使うの忘れてた」
「普通は最初に試すもんなんじゃがね」
じいさんに言われるまで魔法のことなんてすっかり忘れていた。まあ使えてもあの状況じゃ意味がなかったと思うが。
ついでに最後に寝るまでの話をざっと話すと
「それは大変じゃったな。それはもしかしたら樹液か葉に毒があったんじゃないかのう。または寝てるときに獣に襲われたか」
毒なんてあるのか。そしたら向こうで何も食えないじゃないか。いや、人が食べているものだったら大丈夫か。
「悩んどるのう。安全な食べ物なら鑑定系でわかるぞ」
鑑定か、おすすめの中にあったけど抜いたやつだな。あのときはとりあえずじいさんの言う通りにするのが嫌で抜いたけどよくよく考えれば便利だな。異世界でものの詳細がわかるってのも。
他にさっきの転生の問題点は水が飲めなかったことと道がわからなかったこと、あとは食べられるものがわからなかったこと、武器も何も持ってなかったこと。
思い浮かぶだけでもこんなにあるのか。どうやって問題を解決するか。
とりあえず【クーリングオフ】以外を全て消して考えよう。
手元に願い辞典を引き寄せてパラパラと適当にページをめくる。分類順になっていたからとりあえず【知識】の項目の中の中分類【鑑定】の欄を見る。するとかなりの量の願いがあった。
【生き物鑑定】【価値鑑定】【鑑定LvX】【鉱石鑑定】【鉱物鑑定】……
【鑑定】以外はレベルの割り振りはなくその代わり特化しているようだった。
逆に【鑑定】はLv5が最大で特化には劣るが全てのものを鑑定できるので便利そうだ。但し、Lv1では名称しかわからないので野生の植物が食べれるかなどはわからない。最低でもLv3は欲しいところだ。
あとは【万能鑑定】というのがあったがこちらは文字が黒澄んでいるため選択ができないようだ。説明を読んだだけで効果がすごいのがわかるのだが、なんとかならないものだろうか。
【万能鑑定】
『全ての鑑定の能力が使用できる。解析できないものはない』
「なんでこの【万能鑑定】は願えないんだ? ぶっちゃけこれがあればなんでもわかるじゃん」
「それは創造神とか力のある神が世界を救うための勇者を異世界から召喚したときに物事が上手くいくように付ける願いじゃ。じゃから儂には扱えんのじゃ」
転生チートってやつか。これが使えれば願いを他に割けるんだけどな。
だったら【鑑定Lv3】より特化を三つでも良いような気もしてきた。とりあえず色々と試してみよう。とりあえず【鑑定Lv3】だ。
これで願いはあと6つ。水と地形がわかる願いなんてないかな。そう思ったら良さそうなのがあった。
【龍脈感知】
『普通の鑑定では読み取ることのできない大地の気の流れを感じとる能力。気の強い場所を読み取り運もアップ』
これで川とかは龍脈というし大丈夫だろう。まあ最後の一文は週刊紙の広告で見たことがあるが、今回は神様直伝だから効能はしっかりしてるはずだ。
あとは武器だな。ナイフ位でいいから何か欲しい。もっと言うなら方位磁石とかもだ。
すると便利そうな願いがあった。
【冒険者初心者セット】
『異世界で初めて冒険者をする人の為に
・ナイフ
・方位磁石
・寝袋
・小鍋
・水袋
・火打ち石
更にこのアイテムがすっぽりと入る背負い袋つきのお得なセット。これがあれば森の中での野宿も安心』
ドンピシャだ。これでさっきの森の中とかも生き残れる。あとは【魔力生成Lv1】と【水魔法Lv2】で水の確保もできた。最後の一個は【身体強化Lv1】で様子を見よう。
「決まったぜ。これで転生する」
「はあ、本当にこれでいいんじゃな」
「ダメなら、また願いを選び直すさ」
「それでは人生に幸あれ」
また目の前が白くぼやけていく。
【クーリングオフ】【鑑定Lv3】【龍脈感知】【冒険者初心者セット】【魔力生成Lv1】【水魔法Lv2】【身体強化Lv1】