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初めての異世界

 目が覚めると俺は森の中にいた。服装は白のYシャツにくすんだ茶色のズボン。素材はよくわからないがごわごわしていて着心地は悪い。鞄や小物入れなんかは持っていない。そしてここはもう異世界なんだろう。知らない世界というものにドキドキしてきた。

 そしてひとつだけ文明的な装備がある。手首に付いた腕時計だ。この腕時計はある願いに関係している。

 それは神のじいさんも驚いていたあの願い。【クーリングオフ】。その効果は


『転生から現地時間で七日以内であれば転生を願いを決めるところからやり直せる。また七日以内に死亡した場合は自動的に発動する。

 使用時に前世の記憶の一部が欠落する。死亡して発動した際の方が欠落する記憶は多い。欠落する記憶は使用頻度の低いものが優先される。

 但し、次の行為を行った場合はこの権利を剥奪する。

・人及びそれに類するものを殺すこと

・その世界の文章に名前が残されたとき

・多数の人々の記憶に残る事件、事故、所業を起こしたとき   

 また、次のときはこの権利を自ら行使することができない。

・人及びそれに類するものに見られているとき

・犯罪を犯し、その罪を償っていないとき

・現地の人及びそれに類するものと契約を行っているとき    』


 この禁止事項の欄は曖昧で何がセーフで何がアウトかがわからないし、アウトだった場合はもうその世界で生きていかねばならない。これは一番注意をしなければいけないのだろう。

 使えない条件の方も契約とか書いてあるけど口約束とかもなのかな。それにどちらにもある人及びそれに類するものにという一文は類するものの範囲がわからないのが問題だ。知的生物という観点ではイルカやチンパンジーなんかも含まれるかもしれない。

 そして【デメリット有】に分類されている理由はこの記憶の欠落なんだろう。

どうでもいい記憶を消されると考えているが、実際にそのときにならないとわからない。

 そして腕時計はクーリングオフができるリミットまでの時間が表示されている。これも注意しないといけない。まだあまり時間が経っていないようだが七日は以外とすぐに来ると思う。

 さて、道が見えるわけでもなく、武器も持っていない。そしてここはどんな世界かもわからない。とりあえず何をするべきだろうか。

 昔、テレビで見た話だと水の確保をしないといけないんだっけか。あとは安全に寝れるところの確保。そして食料。

 まずは川を探すか。川沿いに歩けば町もあるだろうし。

 方針を決めて適当な方向へ歩き出す。少し耳を澄ましても鳥の鳴き声と木の枝が風に揺られて擦れる音しか聞こえないから方角を決めれなかったのだ。

 


 そのまま歩き続けて三時間、まだ森の中にいる。道路も川も見当たらない。そろそろ水が飲みたいのだが、喉の渇きを癒してくれそうな木の実もないのだ。まだ日は落ちそうにないので木陰で少し休むことにした。


「いや、森広すぎだろ。三時間歩いてまだ道も川もぶつからないなんて。えーと、……10km位は歩いてるはずなんだけどな。それとも道と平行に歩いてるとかか?」

 

 誰も答えてくれない独り言をしゃべる。さびしいのだ。どこかもわからない場所で一人きりというのも。それに目的地までの距離がわからないまま歩くのは精神的にも辛い。時計はまだ四時間も経ってないが夜まで何時間残っているのかはわからないので気を奮い立たせて立ち上がる。明るいうちに進めるだけ進むのだ。



 夕暮れ、食べれそうなものは胡桃みたいな木の実と木の樹液だけだ。木の樹液は目印として木の幹に石で傷を付けたときに溢れてきたものだ。それ以来同じ木を見つけたら採取して飲んでいる。しかし容器がないので葉っぱを折って三角のコーンを作りその中に注ぎ込んだだけだ。ほんのり甘いが沢山飲むのは辛い。そして木の実も採取したが割る道具がなく、石も木の実を割れるほど大きいのはなかった。

 木陰の下に座って身体を休める。本当は夜営の準備をしないといけないけれど体がもう動かない。あ…とで…やろ…う…。そう思い目をつぶり意識を手放した。


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