第6.5話 白い髪
視点変更。
これは、生まれながらに銀の髪をもって生まれた、一人の少女の物語。
とりあえず、文脈がおかしな部分しかないのを了承したうえでお読み下さい。
文章力の無さにこれ程自分のことを嫌になったことはありません。
自分で生み出したキャラクターに失礼だと思い始める今日この頃
私はどうしてここにいるんだろう。
私には記憶がない。
だから、自分が誰なのかも分からない。
最初に目が覚めたのは、村長の家だった。
私は森の中で倒れていたんだって。
森のずっとずっと奥深く。
私には記憶がないって知って、村長が驚いてた。
私はこの村の人間じゃないって、教えられた。
あと、この村の人達と私は見た目が大きく違うって。
大きな鏡で自分の姿を見てみる。
白いひらひらした服。
服と同じくらいの白い肌。
明るい緑色の目。
そして、銀色の髪。
最初はこの髪を見た時、なんとも思わなかった。
外に出ると、周りの人達は確かに私と違っていた。それぞれバラバラだけど、みんな同じような茶色や黒の髪。
この中で銀色の髪は私だけ。
周りの人達は私を変な目で見てくる。
嫌いな物を見るような、気味悪そうな目。
気持ち悪い。
そんな言葉さえ、聞こえたような気がした。
気がしただけかもしれないけど。
嫌だ。怖い。
そう感じるには充分過ぎる程だった。
村長も難しい顔をしていた。
その後ローブを渡されて、
「これで髪を隠しなさい。」
って言われた。
どうして?なんて聞けなかった。
分かってたから。
周りが気味悪がってたのが、私の髪のことだって。
それから、なんで私はこんな髪をしているんだろう。
そう考えるようになって、考えれば考える程、だんだんこの髪が嫌いになっていった。
その日から私は村長の家で匿われることになった。
私も、ほとんど外に出ることはなかった。
たまに夜中抜け出すくらい。
ある日、村中が慌ただしく動いていた。
村長に聞くと、村の近くで人が倒れていたんだって。
村長は、少し忙しくなるから、部屋に戻って大人しくしてなさいって言ってた。
私はすぐに部屋に戻って、布団の中でうずくまった。
その次の日。
村長の家に、村の人と、知らない子が来た。
村の人は、いつも明るくて、綺麗な女の人。
たまに私のことを心配してくれるけど、やっぱり私の髪を見て変な顔をする。
気味悪いというよりも、物珍しそうな目で。
でもやっぱり怖くて、会うのも苦手。
知らない子は、変わった雰囲気の子だった。
言葉にできないけど、とにかく何かが不思議だった。
でも、親がいないって知って、ちょっと寂しそう。
あともう一つその男の子についてわかったこと。
記憶がないこと。
私と同じ。
その後しばらくして、その子は何度も家から出入りするようになった。
こっそり見てみると、テーブルの上の荷物を運んでいた。
村長に聞くと、あの子の持ち物なんだって。
不思議だった。
あの子を見てると、目が離せなくなる。
でも、直接会うのはやっぱり怖い。
きっとあの男の子も、私の髪を見たら嫌いになっちゃうから。
しばらく観察してると、全部の荷物が運び終わったみたい。
テーブルの上はもう何もない。
窓から外を覗いてみると、男の子が村の端っこに向かっていた。
そこに何かあるのかな?
どうしてか分からないけど、気になる。
…ちょっとだけ、近付いて見てみようかな?
ローブをちゃんと着て、フードを被っていれば、髪は見られないよね?
外へ出る。
明るい内に外へ出るのは久しぶりだった。
村の人には会いたくないから、高台から村の端っこまで急ぎ足。
誰にも会うことなく村の端っこにつくと、男の子は寝てた。
緩やかな坂に寝転んで、目を閉じている。
…お布団、無いのかな?
男の子の頭の上の方でしゃがみ込んで、顔を観察する。
穏やかな寝顔。
村の人達と同じような茶色い髪。
見れば見るほど不思議。
他の子と雰囲気が全然違う。
村のみんな走り回って遊んでるのに、この子はこんな村の端っこで静かにのんびりしてる。
友達、いないのかな?
じゃあ、私と一緒だね。
何となく、ほっぺたをつつきながらそんなことを考えてた。
と、急に男の子は目を覚ました。
あれ、ほっぺたつついたからかな?
男の子は私の顔を見ると、変な声を出して坂を転がっていった。
それから改めてこっちを見てくる。
なんだか目があっちこっちぐるぐるしてて、忙しそう。
……変な顔。それに、ちょっと赤い。
熱でもあるのかな?
「え、えと…何か用、かな?」
男の子が話し掛けてくる。
そういえば何も考えてなかった。
どうしよう…なんて話そう…
…あ、まだ転んだままだし、起こしてあげよう。
そう思って動こうとしたら男の子は自分で立っちゃった。
…どうしよう…どうすればいいのかな?
首を傾げて考える。
「えと…あの…」
男の子がまた話し掛けてくる。
早く何か話さなきゃ…
でも誰かと話したことなんてほとんど無かったから、緊張する…
上手く声が出せない。
えっと…えっと…!
だんだん焦ってくる。
元から表情を出すのは苦手だから、顔に出す事はないけど。
そうしていたら、突然強い風が吹いてきた。
いきなりだったから、対策できなかった。
フードが脱げて、髪が出て来る。
慌ててフードの中に髪を押し込もうとするけど、上手く入ってくれない。
もうやだ!なんでこんなにも髪が長いの!
そう考えて、焦りながら頑張って押し込む。
しばらくすると、男の子がこっちに駆け寄ってきた。
そしたら、いきなりローブを脱がそうとしてくる。
駄目!見ないで!
もう頭の中ぐちゃぐちゃで、とにかく手をバタバタさせる。
「あ…暴れないで!髪を隠すんでしょ!?」
男の子が何か叫んでるけど、聞こえないしもう何も分からない。
とにかく見て欲しくなくて、ずっと暴れるしかなかった。
でも、肘が何かにぶつかったら静かになった。
気付いたら私の髪は服の中に隠されてて、フードを被れば元通りな状態になってた。
男の子はどうなったんだろう?
そう思って男の子を探すと、私の足元でうずくまっていた。
…本当にどうしたんだろう?
何が何だか分からないけど、とにかく苦しそう。
でも怖くて何もできなかった。
しばらくして、男の子が立ち上がる。
…大丈夫かな?
ああでも、結局駄目。
絶対嫌われた。
きっとこの男の子も村の人達と同じ。
やっぱり、この髪のせい。
本当に自分のことが嫌になってくる。
私はフードの端をぎゅってした。
さっきよりも髪を見せないようにするため。
もうこれ以上嫌われたくないから。
……あれ?
そう考えたところで気付く。
おかしいよ?
いつもは周りの人に変な目で見られるのが嫌で嫌で仕方なかったのに。
この男の子にだけは、嫌われることを怖がってる。
どうして?
…ううん。
どっちにしたって、もう遅いよ。
男の子はそれでも優しかった。
さっき服を脱がそうとしてきたのはびっくりしたけど、その後ちゃんと謝ってくれた。
でも、さっきよりどこか居心地悪そう?
こっちを見て何だかそわそわしてる。
しばらくすると、雨が降ってきた。
ポツポツから、ざぁざぁに。
勢いはどんどん強くなって、あっという間に土砂降り。
男の子はどこかへ行こうとしてる。
誰かのお家に泊めて貰うのかな?
でも、男の子は動こうとしたけど急に止まって、こっちを見てくる。
「ーー、ーーーーーー」
何か話し掛けてきてるみたいだけど、雨の音で全然分からない。
「ーーーーーーー、ーーーーーー」
また男の子が何か言ってるけど、相変わらず雨がうるさくて聞こえない。
なんて言ってるの?
すると、男の子がこっちにやって来る。
そして、私の手を掴むと、引っ張られる。
「とりあえずうちに行くよ!!」
よく分からないけど、私は黙って引っ張られた。
引っ張られて辿り着いた場所は、さっき男の子が荷物を運んでいた家。
ここに住んでるのかな?
考える暇もなくぐいぐいと中に引っ張られて、ある一つの部屋に連れられた。
なんだか、怒ってる?
男の子はタンスからタオルを取り出すと、両手の上で広げる。
その後、こっちを向く。
「…頭拭くから、フード外してくれる?」
またフード脱ぐの!?
また髪、見られる!?
「……やだ。」
首を振って断る。
でも男の子はしつこくしてくる。
「そのままだと風邪引くよ?」
「…いい。」
「駄目だよ?ちゃんと髪乾かさなきゃ。」
「…いい。」
「だから、風邪引いたら駄目でしょ?」
「…いい。」
首を横に振り続けるけど、全然聞いてくれない。
拭かなくていいから!
もうほっといて!
そう考えていると、男の子がまた服を脱がそうとしてきた。
しかも今度はフードを狙って。
「……っ!」
頑張って端をぎゅってするけど男の子の力がすごく強くて、耐えられない!
男の子がまた何か叫んでる。
「…やぁ…!」
でも、頭の中真っ白で何も分からない。
とにかく、ここで髪を出したらまた変な目で見られる。
もっともっと嫌われる。
そんなの嫌。
首をブンブンと振って抵抗する。
けれど、やっぱり男の子の力には勝てない。
とうとうフードが脱がされてしまった。
頭を抱え込んで隠そうとするけれど、全然隠せてないのが自分でもわかる。
どうして乱暴するの…?
胸の中が熱くなって、気付いたら涙が出てた。
止めようとしても、止まらない。
「……も、やだ…こんなの…」
自然と口から言葉が漏れていた。
すると、どんどん胸の中から込み上げてきて、もう止まらない。
「…こんな髪…嫌い…」
いつも思っていたこと。
今まで口に出すことはなかったのに、今は男の子の目の前で、みっともなく泣きながら吐き出してる。
「……どうして…?」
男の子が聞いてくる。
「…これ…皆、ヘンな目で…」
途切れながら言う。
でも、君も見たんだよね?
だからあんな変な顔、したんだよね?
もう何も言えなくなった。
これ以上口を開けたら、声を上げながら泣いてしまいそうだったから。
怖くて怖くて、両足が震えてる。
膝から崩れ落ちそうになる。
すると。
男の子が、静かに抱きしめてきた。
ぎゅっと強く。
でも苦しくない、優しい。
「………!」
驚いて私は男の子から離れようとするけど、上手く力が入らない。
男の子はびくともしない。
「もう大丈夫だから。」
突然、話し掛けられて身体がビクってなる。
「もう誰も君を変な目で見たりしない。そんなこと、僕がさせない。」
男の子の声はさっきよりすごく優しくて、身体中の力が抜けていく。
でも、なんで?
あんなにも変な顔してたのに。
あんなにも乱暴してきたのに。
「……どう、して…?」
自然と口から言葉が漏れ出した。
すると男の子は、静かに私の肩をつかんで、まっすぐ私を見つめてくる。
そして。
「だって、僕は君の髪の色、好きだから。」
また涙が溢れてくる。
大きな勘違い。
男の子は私のこと、嫌ってなんかいなかった。
大嫌いだったこの髪を、好きだって言ってくれた。
頭にタオルが乗せられる。
優しく声をかけてくれる。
思わず男の子に抱き着く。
勘違いのごめんなさいと、好きって言ってくれたのありがとうが混ざって、もうよく分からない。
でも。
悲しいのはもう、無くなっていた。
とりあえず、懲りずにまたマリナ視点書こうだなんて思わないようにします。
多分どうしても必要になるまで封印します。
文章力上げて出直します