第1話 見知らぬ家 ★
文脈がおかしかったりしても苦笑いしながらスルーしてください。
初心者なので仕方ないのです。
誤字脱字はできる限り無いように努めてますが、出てくるかもしれないのでご容赦を。
もし見つけたら指摘して頂けると助かります。
目が覚める。
今日は何故か目覚めがいい。
目覚まし時計が鳴る前に起きるなんて我ながら珍しい。
そんなこと小学生以来滅多に無かった。
休日を寝るだけで過ごしたってこんなこと無かった。
で、目を開ける。
いつもの白い天井…じゃない。
おかしい。
確かに白い天井ではあるが…こんなにシミついていただろうか?
それに、自分が寝ているベッドの感触もおかしい。
こんなに固かっただろうか?
お値段以上をウリにしている店の家具だったハズなのだが、いつもの柔らかなマットではなかった。
些細ではない違和感に眉を潜める。
とりあえずベッドから下りようと身体を起き上がらせる。
ここで第三の違和感。
目線が低い。
ベッドの大きさ、高さからすると、自分の目線がこんなに低いのはおかしい。
まるで、身体が縮んだような…
そう思いついた途端、自分の身体を視認できる範囲で観察する。
といっても見れるのは首から下、全身を確認することはできない。
だが今見える範囲だけでもはっきりと分かる。
明らかに小さい。
感じるだけじゃない。
確信として脳に情報が刻み込まれる。
「…………え?」
今更になって違和感で口から自然と声が出る。
今の声もそうだ。
いつもの自分の声よりも高い。
声優が入るとしたら絶対女声だ。
いや違う。大事なことはそこじゃない。
段々と、だが確実に頭の中がパニックに支配されていく。
落ち着け。
とりあえず落ち着け。
こんなこと日常茶飯事じゃないか…
いや日常茶飯事なわけないじゃないか!
いやいや落ち着け!深呼吸だ。
焦ったって何も良いことなんかない。
まずは状況確認だ。
ここは何処だろう。
そして、自分は明らかに背が縮んでる気がするけど、これは夢なのだろうか?
いや、この空気、質感のあるベッドに、これが夢ではないことを脳が理解する。
では何故自分はここにいる?
何故ちっちゃくなってる?
落ち着こうと行動すればするほど余計にパニックに陥ってしまっている。
疑問が疑問のまま積み重ねられて頭がパンクしそうだ。
だがじっとしていても状況は変わりそうにない。
まずは探索だ。
ゲームでは積極性が大事。
そう、積極性。これ重要。
手始めに同じ部屋に置いてあるクローゼットを開ける。
うん。薬草とかは入っていない。
続いて隣のタンスの引き出しを開ける。
うん。お駄賃程度のお金とかも入っていない。
ならばとベッドの下を覗き込む。
うん。青少年の育成に良くなさそうな大人のバイブルとかも落ちていない。
いや何か積極性の方向が間違ってる気がする。
積極性と言いながら部屋から出ない辺りヘタレさが滲み出てる。
違う!これは決して外に出るのが怖い訳じゃない!
ただ外に出る前にこの部屋を調べ尽くさないと後々後悔するかもしれないと考えてるだけだ!
そう頭の中で自分に言い聞かせるが、なんだか無理のある言い訳である。
どこの神話的遭遇の世界だ。
調べ忘れたら詰んだりするのだろうか?
それでも結局調べる場所は今の時間の間で調べ切ったし、めぼしい物も見つからなかったわけだが。
改めて外に出る為のドアを見つめる。
「…外に、出よう。」
いやどうして外に出るだけでこんなにも緊張するのだろうか。
変な汗が止まらないのだろうか。
頭大丈夫か、自分?
積極性とは一体何だったのか。
結果的には外には出られた。
へっぴり腰で扉を開ける自分は周りから見たら随分滑稽だっただろう。
いいさ。どうせ見られてなんかいないし。
………多分。
そして扉を開けたその向こう。
普通にそこはリビングらしき場所だった。
ただ、また普通の部屋ではなかった。
いや、普通の部屋なんだろう。
特におかしな点は見られない。
しかし、昨日までの自分の部屋から比較すると、劇的なビフォーでアフターである。
一言で表すなら、現代的じゃない家。
木のテーブルに、木の椅子。
マンションとかにあるようなフローリングじゃない、そのままの木の床。
日本的ではなく、中世ヨーロッパみたいなイメージの木造住宅。
それこそゲームや小説にあるファンタジーな世界観によくあるような…
そこで自分はある仮説に至った。
「いやいやまさか…」
呟く自分の声が微細ながら震えていることが分かる。
これを認めたら常識とか色々と大事なものを失ってしまう予感が…
「異世界に…転移?」
さようなら常識。
ようこそ非常識。
なんだかふっ切れ方が間違ってるし意味不明な気もするけどこちらはもう気にしない。
要は精神を落ち着け、この空気に馴染ませれば良いのだ。
手段なんて選ぶ必要はない。
もう一度深呼吸を一つ。
………よし、段々といい感じに落ち着けた。
とりあえず自分の容姿が今どうなってるか位は確認しておこう。
いろいろと考えることはあるけど、そこまで急ぐ必要もない。
とりあえず異世界転移の先で『いしのなかにいる』みたいな事故は起こっていなかったので安心である。
あれ?今更ながら想像したら震えてきたよ?
そう一人で脳内が普段以上に無駄に働かされる最中、ちょうど良く全身を確認することのできる大きな鏡を見つけた。
なんだかんだ言いながらここまで来るのに無駄に時間がかかり過ぎているような気もするが、それも気にしない。
改めて自分の今の姿を確認。
それは、誰がどう見ても幼い少年の姿だった。
茶髪の男子としてはちょっと長いくらいの、それでいて中性的な顔立ちと相まって違和感がない髪型。
続いて体格。
こちらも小学中〜高学年くらいの身長だろうか?あーでも、元の世界の時は身長小さめだったし、これくらいで六年生とかだったような…
「うーむ…」
顎に手を当てて考える。
自分はどうしてこの世界にやってきたのか。
改めて考え始める。
というか、自分の元の身体は別の世界で、精神は今この身体にある…のか?
そうなるとこの状態は、異世界に転移したというより、精神が入れ代わった感じになるのだろうか。
ということは、昨日までこの身体の本来の持ち主は今は俺の…ーーいや、この身体である時は俺という一人称は不自然かな…ーー僕の、元の世界の自分の身体に入っているということになるのだろうか?
こんなこと誰かに話しでもしたら即刻病院で精神安定剤を投与されたりしそうだ、黙ってよう。
少なくともこの世界に自分が馴染むまでは頑張って意識してボロを出さないようにしよう。
そう心の中で決意する。
するとさっきまでの緊張感も綺麗に無くなっていた。
やるべき事が決まって、前の世界の流れからこの世界の流れに身を委ねる。
うん、落ち着けるということはここに馴染み始めてるということ。
だったらこのまましばらく過ごしてみよう。
理由はなんであれ、この世界に転移して来たということはしばらく帰ることはできなさそうだし、転移してきた理由があるのかもしれない。
いやもしかしたら今日眠って、明日起きたら元の世界で「夢オチでしたー」みたいなことになるかもしれないけど。
でも、異世界転移ってことは、ここが剣と魔法のファンタジー世界の可能性が高い。
ラノベの世界ではそう決まっている。誰が決めたかなんて知らない。
「さて、と…まずは…」
僕という一人称に慣れようかな。
異常に説明文やら地の文が長いことに対する言い訳をば。
やってることは朝起きて鏡を見るだけなのにどうしてこんなにも無駄に時間がかかっているのか。
真央君がビビったのか間違った方向に警戒心を向けて余計なことばかり考えて動いてるからですね。
ぶっちゃけ私の思うように動かせてる気がしませんw
でもふっ切れて新しい世界に順応していこうとしているので、今回みたいなおかしな行動は取らないと思います。
………多分、ね?