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創造主(仮)と異世界日記  作者: 真央
第1章『目覚めは新しい人生と共に』
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第13話 探し出す決意


「魔法を使えるようになりたいかい?」


その言葉に込められた意味を、僕は本当に理解できただろうか。




ーーーーーーーーーーーー



「はぁ…朝から疲れた…。」


朝食後、時刻は午前9時頃だろうか。

…いい加減マリナには常識を覚えてもらいたいんですが。

今朝、再び起こった銀髪っ娘夜這い事件の疲労を抱えたまま、僕は今村長の家に向かっていた。

村長が僕に用があるとお姉さんに教えられたからだ。

ちなみに今回は服を着てベッドに潜り込んだとマリナはちょっと誇らしげにドヤってた。

でもねマリナ。

あのワンピース一枚だけとか裸と変わんないから。

銀髪美少女に布団に潜り込まれるんですがどうすればいいんでしょうかとか、前の世界では、こんな気苦労をするとか考えもしなかっただろうな。

そんなことを考えながら、僕は村長の家へと歩を進めている。


呼び出される理由は、心当たりが無いことも無い。


…まさかまた昨日のお説教の続きだろうか。

確かに危ないことはしまくったけど、過去の事をそんな掘り返してばかりな人生も駄目だと思うんだ、僕。

だからそんなに怒らないで村長さん。

…またお説教かと想像すると流れで現実逃避が発動するのは前の世界での癖だろうか。

心の片隅に小さな不安を抱えながらやや重い足取りで高台の家へと向かった。


「村長さん。用事ってなに?」


村長の家に着き、ノックもせずに開ける。

あまり褒められた行動じゃないと思うけど、どうやらこの世界だと普通らしい。

RPGとかでよくある、土足で他人の家に上がりこんで勝手に棚とかをガサ入れする、みたいな行為もやっちゃっていいかもしれない。

そんなことする勇気なんてこれっぽっちもないけど。


「やぁマオ君、よく来たね。まぁとにかく座るといい。」


予想するより村長の表情は比較的温厚に見える。

とてもこれからお説教が始まるようには見えないけど…。

いや、優しい顔していやらしく責めてくる毒舌タイプかもしれない。

未だにこの村長についてはよくわからないのだ。

薦められた椅子へ、表情に緊張を浮かべて座る。

すると村長はそんな様子がおかしかったのか、小さく笑っていた。


「フフ…そんな緊張する必要なんてないよ。もうずっと一緒の村に住む仲だろう?」


「いや、なんというか…………お、お説教が来るんじゃないかなーと思って…。」


素直にそう伝えると、村長はより一層おかしそうに笑い出した。


「なんで意味もなく怒る必要があるんだい?」


「だって…昨日、勝手に飛び出して無茶したし…。」


「確かに無茶したね。でも、それについてのお説教は昨日の内に済んだじゃないか。」


そう言うと村長は椅子に座る僕の対面に座り、身を乗り出しこっちを見つめて口を開く。


「それに、君のその行動のおかげで、みんなが助かった。救われたんだ。怒りなんかより、感謝の気持ちの方が全然大きいよ。ありがとう。」


そう言って村長は優しげに微笑む。

僕はその言葉を聞いて、胸の内が暖かさで満たされるような、そんな感覚を覚えた。

自然と顔がにやけてしまう。


「さて…それより君をここに呼んだ理由だけど…その昨日のことについてなんだ。」


村長がさっきとは打って変わり、真剣な表情で口を開く。

僕はそれにつられるようににやけた表情を引き締めた。

でも、昨日のことについて、か。

お説教じゃないとしたら、一体何の話だろう?


「…君は、どうやってあの場所に辿り着いたんだい?」


「え…それはレインに連れてってもらって。」


「いや、そうじゃなくて。君は馬車で待機と言われてから、どうやって街の中に入り、レインに出会ったのか。…君がしてきた経緯を教えてくれないだろうか?」


「えっと…単独行動を最初から最後まで、どうやったかってこと?」


「そういうこと。少し気になってね。」


ふーむ…。

まぁ、隠す必要もないし、全部バラしてしまおう。


単独で奴隷市場を探す為に、高い所から見下ろそうという考えに至ったこと。

それを実行する為に、ぶっつけ本番で魔法を使ったこと。

そして、レインを見つけ、話をして和解したことなど、ぶっちゃけると10話から12話までの出来事を丸々村長に説明した。

いわゆる、かくかくしかじかいあいあくとぅるふって奴である。

別に邪神を呼ぶつもりはない。


「ふむ…魔法をね…しかも初めての魔法が上位の魔法とは…」


村長は主に僕が初めて魔法を使ったというシーンを重要視しているみたいだ。

そんなにおかしいのだろうか。

具体的なイメージが出来れば魔力が少なくてもある程度の魔法は使える。

魔導師なら誰でも知ってる、魔術の基本のハズだ。


…そういう世界観のハズだったと思うんだけど…やっぱりおかしかったのかな?

それともこの村では魔法を使っちゃいけないとか、そんな掟でもあるのだろうか。

考えれば考える程問題が増えるばかりで答えなんか返ってこない。

とりあえず村長に直に聞けばいいか。


「…そんなにおかしかったかな…魔法を使ったのって…?」


すると、村長はこちらをじっと真剣な眼差しで見てくる。

心なしか怒ってる感じがしないでもないこともないこともない。

…うんきっと気のせいだ。


「いや、別に魔法を使うことに関しては何もおかしくはない。魔法は誰もが生まれ持つ力。使えない方がおかしいくらいだ……でも。」


「でも?」


「通常、どんなに才能のある子供も、最初は皆必ず初級呪文しか使えない。…子供のうちは魔力の絶対量が足りないからだ。それを、君は10歳で、いきなり『ウィンドブースター』を使い、さらに『マナボルト』までほぼ連続で使用できた。……これは数百年間、人類の歴史にない未曾有の出来事なんだ。」


僕は呆然とその話を聞いていた。

確かに『ウィンドブースター』は中級から上級辺りの呪文ではあるけれど、一般的な魔力量でも、簡単に使えるレベルのはずだ。

僕の考えならきちんと練習すれば10歳ぐらいでも使える魔法のはず。

宮廷魔導師を目指したり、魔導師の血筋を継ぐ家系は、5歳には魔術の修行、それに関する教育を受ける。

かなり大きな貴族なら、魔導師になるための教育を赤ん坊の頃から受けさせる所もあるくらいだ。

そんな教育環境なら、さすがに5年経てば中級呪文を2〜3発撃てるくらいの魔力を持てるはずだ。

才能の有無は関係ない。

修行をすれば誰でもそれぐらいの魔力量は持てる。

それ以上の成長率は生まれ持った才能が関係するけど。


「いやでも、才能ある人はすぐ強い魔法が使えるようになれるんじゃ…」


「魔力量は、10歳になってから本格的に成長する。それも、きちんと修行をした人でようやく、だ。だから、間違っても初めて使う魔法が高位身体強化魔法なんて、有り得ない。魔力量は、魔力を消費すればする程増えるのだから。」


「じゃあ、僕が記憶喪失になる前に、修行をしてたとか…」


「剣術の修行とか、身体的なものなら記憶が無くても身体が覚えてくれる。でも、魔法の修行は精神が覚えるんだ。記憶喪失も一種の精神病。だからどんなに修行を積んでたとしても、喪失すれば全てリセットだ。」


完 全 論 破

まさかここまでとは…

確かに魔法を使えるようになる年齢とか設定した覚えはないけど…

こんなにもややこしいシステムになっていたとは思わなかった。


「10歳になると同時に、身体の中でリミッターが外れる。それから魔力量が増えるようになる。簡単に言うと、そういうことさ。だから一応、君もリミッターは外れてると思うよ。…本当に10歳なら、だけど。」


そう言われてちょっとたじろぐ。

確かに僕は記憶喪失(元から知らない)だ。

見た目年齢で推定しただけで、本当に自分が10歳なのかはわからない。

でも、さっきの村長の話からして、実際に魔力量が増えるようになっていれば、それは10歳を過ぎた証なんじゃないだろうか。

ならまずは、自分の中の魔力量を見定める必要があるだろう。

…後で試してみようかな。

そう考えていると、村長が話を進めてきた。


唐突過ぎるその質問に、僕は問い返すことしかできなかった。


でも、その言葉の意味を、軽んじてはいけない。

ただただそう、感じた。


「魔法を使えるようになりたいかい?」


確かに魔法の知識があっても、経験がなければ意味があまりないと言える。

だから経験者に指南してもらえばもっともっと上を目指せる。

咄嗟に僕はそう考えがまとまり、「うん。」と言いかけた。

でも違う。

きっと、村長が言いたいことはそんな簡単なことじゃない。

言いとどまって、再び考える。

魔法は奇跡の力。

それを使えるようになるということ。

それが何を意味するのだろうか。

むやみやたらと力を振りかざすなとか?

奇跡が、奇跡だけじゃなくなるってこと?

悪用すれば、奇跡ではなく災厄になる?

村長はそんな僕の考えを読み取ったのか、再び質問をぶつけてきた。


「質問を変えよう…君は、強くなりたいかい?」


強くなりたいか…

その言葉を心の中で復唱する。

すると村長が念を押してきた。


「深く考える必要はないよ。とにかく強くなりたいか、YESかNOかの二択だ。」


その言葉に後押しされるかのように、素直に僕は答える。


「…うん。強く、なりたい。」


「じゃあ、どうして強くなりたいんだい?なんとなく、かい?」


理由、か。

これは、ハッキリと答えられる。

迷う必要なんてない。


「マリナを、大切な人を守りたいから。」


真っ直ぐとそう答える。

何が正しいとか、村長がどんな答えを求めているのかは分からない。

だけど、大切なものを守りたいと思う、その気持ちは。

守りたいから力を求める、その気持ちは。

きっと、間違ってないから。


「……うん。今はその言葉だけで十分だ。」


村長はニッコリと笑うと、頭を撫でてくれた。

…本当は、どんな答えを求めてたんだろう。

やっぱり気になるけど、多分聞いても教えてくれなさそうだな。

少し疑問は残るけど、それはまた、いつか知る時がきっとくるよね?


小説のクオリティが下がってる気がする…ただでさえ平均的に低いというのに…

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