友人との昼
僕は彼女が好きだ。
好き過ぎて、彼女のキャラ弁を作ってしまうくらいに。まぁ、失敗して生ゴミになったけど。
そんな彼女とは、しばしのお別れだ。
彼女はAクラスといって、天才が集まるクラスに所属している為に、凡人の僕が行くと気まずい。というか来るなと言われる。
まさにロミオとジュリエット。
もう少しの辛抱だ……! 後、数時間で会えるぞ……!
「おい、貧乏揺すりが激し過ぎるぞ」
僕が禁断症状と戦ってる最中に、頭上から声をかけられた。友人の佐藤君だ。
「か、彼女の……パンツをくれ……!」
「ていっ」
殴られた。痛い。
「はっ、僕は今何を!? まさか、彼女のパンツを食べたいとか言ってなかったよね!? 」
「食べたいのか。もう変態を通り越してるぞ」
佐藤君と彼女は双子の姉弟だ。初めて聞いた時は、とりあえず証拠として彼女のパンツをくれと言ったけど無理だと言われた。一年の時から同じクラスだったけど、まさか姉弟とは思わなかったよ。佐藤ってありきたりな苗字だから。
「また今日も弁当作って来たのか?」
「うん。いつか彼女に食べさせてあげたいし、一人暮らしだから自炊くらい出来なきゃ」
「本当、そこだけ見ればいい奴そうなんだけどな……」
失礼な。僕は根っからの善人だ。
「今日のおかずはなんだ? 」
「肉じゃがに挑戦してみたんだ」
「おお……! 美味しそうじゃないか! 」
「ふふふ……。なんて言ったって、隠し味にじゃがいもが入ってるからね!」
「隠し味じゃねぇよ。メインベジタブルだ」
「最近気づいたけど隠し味って、教えたらもう隠し味じゃないよね 」
「どうでもいいから、早く食べようぜ」
「いや、あげないよ? 僕の弁当だし」
「姉貴のブラ……」
「よし。どんどん食べて。なんなら弁当箱も食べてくれていいよ」
欲望に瞬殺されて、肉じゃがをあげちゃった僕だけど、重要なことに気づかなかった。
「彼女……Aカップじゃなかったっけ……」
「くしゅん!」
「佐藤さん、風邪?」
「……そうかもしれないわね。すごく寒気がするわ」