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sister

兄妹のお話が書いてみたかったのです。

題名は瑠香ちゃんの視点からとりました。

やっぱりまだまだ稚拙ですがお付き合いいただけたら

うれしいです。


がしゃん

重い金属がこすれあう音が薄暗い部屋に響いた。

明かり取りの窓から微かに日の光は差し込んではくるが

部屋全体にまでは到底行き渡らない量だった。

エアコンで室内は適温に保たれているので敏哉の薄手のシャツとジーンズという服装でも

寒さや暑さは特別感じなかった。

「もう何日経ったのだろう?」

意識的に声を出さないと気が狂いそうになってしまう程の静寂さが時の流れを麻痺させていた。

窓からの微かな明かりで昼夜は区別がつくがいくつの夜を迎えたかもう敏哉は覚えていなかった。

取り敢えず、学校の方は春休みなので心配はない。

もっとも、そんな心配も生きてここを出られて初めて意味のある心配になる、ハナシだが。

「瑠香・・・・」

妹の瑠香が心配になった。

(どうして・・・・)


大学3年最後の春休み。

配属される研究室も決まりあとは4月からの授業と研究まで晴れて自由の身だった。

敏哉が通学している都内の私立大は実家から電車で30分程だし

卒業後は進学するつもりなので就職活動の戦渦に晒されてもいない、

実にのんびりとしてみえるであろう学生だった。

身長178センチとかなり長身で中高時代はテニスで鍛えたスタイルは細身。

顔立ちはやや女性的ではあるが美人であった母の血と

精悍な顔立ちの父の血を引き継ぎ容姿で損はしない程度には恵まれていた。

界隈ではお嬢様学校で通る女子校に通う高校生の妹とも適度に仲も良く、

母は5年前に他界したが父は男手一つで敏哉と妹を何不自由なく育ててくれた。

(きっと何も大きな心配事なんでないんだ)

そう思えるほどに彼の周辺は平和な日々だった。

大きな心配事はない。

大きなことは・・・・

ただ一つ小さな悩みといったら最近朝になると首筋に出来ている小さな傷くらいだった。


感想いただけるとすごくうれしいです。


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