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偽物娘のSex Change  作者: 青烏賊するめ
偽物娘 現実世界編
1/7

Prologue-0- 幸福と不幸

雛桜夢幻(ひなざくらむげん)からの注意事項※

胸糞悪い欝展開注意ですっ!

僕が語るプロローグ(というよりモノローグか……)はショッキングな出来事が立て続けに起こる仕様となっております。

欝設定で気分を害す方やR-15以下の方は『戻る』ボタンを押してください。

僕の、雛桜夢幻(ひなざくらむげん)の人生を自己評価するならば、それはとてもとても酷い人生だったと思う。


『いや、まだ14年しか生きていないわけで、まだ悲観するのは早いだろう』


 なんて言う人間がいるかもしれないが、はたして僕の人生を聞いてそう言えるだろうか。


『二年前に父親が一家心中を謀り、妹を殺して、抵抗した僕を殺しきれずに逃走。その事件で母親は重度の欝病にかかり、僕を死んだ妹として育て始めた』

 

 これでまだ不幸の始まり、入口でしかない。

 父さんの一家心中。これは、父さんが妹を妊娠させて、それが発覚し、家族みな殺しをしようとする。と言った具合だ。妹の腹をカッさばき、母さんも包丁で刺した瞬間は今でも忘れられない。何度もあの地獄のような光景を夢で見せられたか、数え切れない。

 

 その後、剣道を習っていた僕が竹刀で父さんを撃退し、逃走させてしまったのだが……二年経った今でも依然として、行方不明。

 

 母さんは、妹を溺愛していた。勿論、僕のことも愛してはいただろうが、男の子よりも女の子の方が好きだったようだ。


 そして、僕も可愛い妹のことが好きだったので納得はしていた。どれだけ好きだったかと言えば、一緒にお風呂に入ったり、頬っぺたにチューしたり……はっきり言おう。

――僕は重度のシスコンだった。

 

 妹が父さんに殺されて、狂ってしまった母さんは僕を妹の名前で呼ぶようになった。髪の長さや背の高さは違えど、僕と妹の声と顔は瓜二つ。僕の顔は女顔、それもかなり可愛い部類に入る女顔だ。今では自慢のルックスだが、当時の僕はそれが嫌だった。

 

 当時と言っても二年前だが、僕からすれば遠い昔だ。

 

 ああ、先に言っておくが今の僕はとても幸せだから、心配はしなくてもいい。

 

 母さんは僕を妹の名で呼ぶようになった後、僕の衣服を全て女物へと変えた。男は醜い生き物だと僕に言い聞かせ、『女になりなさい』と洗脳するように育てられた。

 

 さて続きを話そう。


『事件後からクラスメートに避けられていた僕は、女装して学校に来るようになって、避けられるだけでなくイジメを受けるようになる』

 

 事件とイジメ、どちらが辛かったかといえば、圧倒的に後者だ。

 

 いや、最初の頃は比較的にマシだった。靴や教科書を隠されり、暴言を吐かれたりだ。

 

 だが、抵抗出来ない、親への相談も出来ない状態で、僕が八方塞がりだと知った奴らのいじめはエスカレートした。

 

 服を脱がされて裸の写真を撮られたり、暴力を振るわれてアザだらけになったり、挙句の果ては性を偽り援助交際を強制され、彼らの小遣い稼ぎをさせられたり……。

 

 そして、そのことを相談した担任の教師にレイプされ、僕は壊れかけた。

 

 それでも運命の神様は僕を見捨てなかった。

 

 周りには味方などいない。誰も信用できない。そんな壊れかけの僕を救い出してくれる人物が現れた。

 

 それが、従弟であり、僕の親友の『佐世川澪(させがわれい)』である。

 

 彼が援助交際の実態や担任教師のレイプを教育委員会に暴き、僕を学校から救いだしてくれなければ、僕は壊れてしまっていただろう。


 さて、ここまで聞いて酷い人生だと思わない人は、僕よりももっと酷い環境にいる人間なのだろう。そりゃあ、僕だって僕以上に不幸な人間がいることは知っている。

 

 例えば、アフリカの紛争地に住んでいる難民の子供達なんかがそうだろう。日常的に飢餓に苦しみ、死とは隣合わせ。僕はそんな状況に置かれていない。結局、救われているわけだしね。

 

 そういう人と比べたら僕は幸せなわけだ。


 そういえば、昔の、事件が起こる前の、僕もこんな風に平穏で幸せだったかもしれない。


 これからの僕も幸せだったかもしれない。かもしれない。


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