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オモイノトリセツ  作者: 風紙文
第四章
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昼休み会話

翌日の昼休み。お昼を食べようと誘ってきた藍沙と共に蛍奈に声をかけ、昨日の手紙の主、その生徒が座る席の前に行った。

「ちょっといい、出海」

「あ? なんだい竹鳥」

女子にしては珍しく、髪をショートカットにした女子生徒、出海(いずみ)。彼女が手紙の主だ。

「蛍奈」

会わせることはしたので、後は蛍奈にさせるため横に動いた。代わりに蛍奈が出海の前に立つ。

「こんにちは出海さん、少し良いかしら」

「おぉ、別にいいけど、飯食いながらでいいか?」

今は昼休み。教室内では昼食を取っている生徒がほとんどだ。出海も例外でなく購買で売ってるパンが机に置かれている。

……その量は、ちょっと異常だけど。

「構わないわ」

「んじゃ、遠慮なく」

机に置かれた7つのパンの袋。その1つを開けて中身にかじりついた。

「で? 何か用事か?」

「昨日、発明同好会に手紙を出したでしょう」

「あぁ、確かに出したけど……え、もしかして水野葉が?」

「えぇ、発明同好会の部長をしてるわ。つまりはワタシがあの手紙の依頼を受ける、ということなのだけど」

「水野葉かー、ならたいした勝負は出来ないな」

……やっぱり、出海は蛍奈を見れば勝負のやる気が落ちるみたいね。その勝負を断りに来たんだから、好都合だけど。

「そう思っているなら話が早いわ。ワタシ達発明同好会は、依頼を受けてはいる、けどそれは人の悩みを解決する類いのもので、勝負を受ける訳では…」

「じゃあアレだ、一対……五くらいでかかって来い」

……ん?

「ちょっと待ちなさい、ワタシ達は勝負を受ける気はないわ」

「えー、んなこと言わずに戦ってくれよ」

「そもそも勝負の内容を知らないのよ、手紙に書かれていなかった。そんな勝負を受けると思っているの?」

「あ、それはスマン。勝負の内容はな、大食いだ」

お、大食い?

「大食い?」

「そ、大食い……あーん」

既に5つ目のパンを食べている出海。

量もさることながら、この食べるスピードからも分かるように、出海は大食いだ。下手な男子より食べている気がする。

かと言って太っているわけではなく、そのカロリーは部活で消費してるとか。

「実は今色んな部活の人に挑んでてな、運動部は制覇したから次の相手を探してたんだ」

そこで発明同好会の設立を知った出海は、依頼として手紙を出したって訳ね。

「だからさー、頼むよ」

「……」

蛍奈は顎に手を当て、何かを考えてる。

いや考える必要は無いでしょ、さっさと断われば…

「分かったわ」

…………え?

「受けてくれるのか?」

「ただし、一対五よ。そうでなければ勝負にもならいわ」

「おーおーオッケオッケ、じゃあ日付決まったわ連絡するな」

「えぇ、待っているわ」





「ちょっと蛍奈、アレはどういうこと」

発明同好会の部室。メンバーが全員集まったここで、昼休みのことを蛍奈に訊いた。

「あの通りよ、引き受けたの。出海さんの大食い勝負を」

「大食い? 勝負の内容って大食いなのかよ」

あの場所に居なかった佳子が聞いているのをスルーして、蛍奈を更に問い詰める。

「昨日は断わるって言ってたじゃない」

「確かに昨日はそう言ったわ。けど、聞いたでしょう? 出海さんの言葉」

出海の言葉?

「運動部を制覇したから、次の相手を探していた。なら、相手をしてあげればいい……そして、二択を選ぶのよ」

「2択って……」

「勝ってしまうか、負けてあげるか、その二択よ」

「ちょっと待てよ、勝ってしまうって、そんな簡単に勝てるのか?」

「うーん、出海さん、結構大食いだからなー」

佳子と藍沙がそう呟くと、蛍奈は左右に座る2人を交互に見て、

「ワタシが誰か忘れてもらっては困るわ。出海さんに必ず勝つ手段を産み出すことが出来るのよ?」

ニヤリ、と笑い、

「何故ならワタシは、マッドサイエンティストだから」

いつものセリフを言った。

「えっ……と、つまり、どういうことだ?」

ただそれで意味の分からなかった佳子は、首を傾げた。まぁ、普通は分からない。

「出海に勝つ発明を造る、どうせそんなところでしょ」

「そのとおりよ取説、ワタシはこれから発明に取りかかるわ。その間に、取説達は探しておいて」

「探す? 誰をだよ」

「勝負する時に必要な、5人目をよ」


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