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忍者

あたしは無一文だったので体を売って生活費を稼いだ。体を売ると言っても売春ではなく体をなめさせたり、指を切ってチョコを吸わせたり、体からおかしを取り出して食べさせるという意味だ。お祭りで商売をしていたら評判になり、見世物小屋で働かないか?と誘われたけど、あまり名前が売れるとムシバにバレてしまいそうで怖かったので断った。この国にも彫刻の名人がいるしおかしの材料もある。メンテナンスしながらひっそりと商売を続けていた。冬はいいけど、暑くなってくると体が溶けて動けなくなる。雪国に移動するしかないだろうな。

いつものように祭りで商売に励んでいると侍という集団に取り囲まれた。

「そこなむすめ。拙者たちについてきてくれぬか?」

「駄賃もやる。美味しいものもあるぞ」

「大人しくついてくれば痛い目に遭わずにすむ」

あたしは飴細工の体なので戦闘には向いてない。キックやパンチでぽきりと折れてしまうほど華奢だ。仕方なくついて行ったら、ナマズみたいな顔の太ったお殿様がいて勝手にお姫様にされてしまった。豪華な着物を着せられて髪も結われる。

ムシバから逃げたのにまたこのパターンだ。あたしはため息をつく。ナマズはムシバほど変態ではなかったけどやることは同じだった。あたしの体を食べてみんなに自慢するために宴会を開く。溶けないように見事な氷の間も作ってくれた。この国にも魔法使いがいるのか?と聞くと忍者という魔法に似た秘術を使う存在がいるらしい。

再びカゴの中の鳥になったあたしを救ってくれたのは雪国の隠れ里に住む忍びだった。手際よく護衛の侍たちを討ち取り、お姫様抱っこで城から逃がしてくれた。

なぜ助けてくれたのか聞くと縁日であたしの体を食べたことがあるという理由だった。

「オイラはサスケ。野良忍者としてあちこち放浪してるんだ。祭りであんたを見て一目惚れよ。金髪で青い目なんて生まれて初めて見るし、甘い匂いがして体を食べるとほっぺが落ちるほどうまい!どすけべな殿様に捕まったって聞いて、居ても立っても居られないいられなくなったのさ」

「サスケさん、ありがとう。心から感謝するわ」

「なあに、あとで髪の一本でもくれりゃいいさ」

「髪なんてたばであげるわよ。ところであたし行くところがないんだけど、どこか身を隠せるいい場所はないかしら?」

「それならオイラの故郷がいい。忍びの隠れ里だから絶対見つからねえぜ」

あたしは隠れ里に連れて行ってもらった。のどかないいところで忍びたちが自作の訓練場で訓練に明け暮れていた。あたしを見た忍者たちは興味津々でガン見してきた。

ふくよかな女性が声をかけてくる。

「サスケの嫁さんかい?こりゃまたべっぴんだね。お人形さんみたいだ」

「ちげえよ。悪いやつに追われてる身なんだよ。何せ傾国の美少女だかんな」

「なんだそうなのかい。ここならもう安心だよ。お嬢ちゃん名前は?」

「ミアです」

「あたしゃみんなからおかみさんって呼ばれてる。よろしくね」

「よろしくお願いします、おかみさん」

「長老に会いに行ってごらん。サスケ案内してやんな」

「おうよ」

あたしは長老に会いに行った。立派なお屋敷に住む白ヒゲのおじいちゃんが待っていた。背筋がしゃきんと伸びていて眼光が鋭い。ただものじゃない感がうかがえた。

あたしはこれまでの経緯を説明した。

「なるほどのぉ、それは大変な旅じゃったの。ここは安全じゃからのんびりしなさい」

「ありがとうございます。おかしドールのあたしにできることがあればなんでもします」

「そうじゃな。おやつの時間にみんなに体を食べさせてやっとくれ。この里にも手先が器用なもんはおるしおかしの材料もある。メンテナンスはバッチリじゃ」

「わかりました」

「じいちゃんも試しにちょっと食べてみろよ。ミア頼む」

あたしは小刀を取り出して指先をちょっと切る。おかしの体なので痛みはない。長老にチョコレートを吸わせると細い目を見開いて喜んだ。

「美味じゃ!こりゃ囲い込みとうなる気持ちもわかる」

「だろ。オイラはもうハマっちまってさ。この国にはない味なんだよ」

その夜はあたしの歓迎会だった。忍者たちは変装の術や分身の術といった余興で場を盛り上げる。火を吹いたりもしてみせた。あたしは彼らの多芸に感動した。

あたしは彼らにみつてをついて頭を下げる。

「折り入ってみなさまにご相談があります。あたしは追われる身。名前を変えたいのです。できれば変装もしたい」

「あずきって名前がいいんじゃないか?小豆はおまんじゅうの材料にもなるし」

「髪は黒砂糖混ぜた綿菓子にすれば黒く染められるよ。目も黒糖飴にしなよ」

あたしは名前をあずきに改めることにした。

「それと宴会の場で申し上げるのはふさわしくないお願いですが、あたしは悪の大魔導士ムシバに復讐がしたいのです。あたしを鍛えてくれませんか?忍術を習得したいのです」

どよめきが生まれる。長老はヒゲをなでた。

「忍術は体内にあるを使って発動させるのじゃ。氣がないと使えん」

「氣は魔力のことでしょう。あたしは氣は大きいです」

幼少の頃、村に来た魔法使いの杖で魔力を測ってもらった。測りかたは魔法を唱えて発動するかどうか。その規模だ。あたしはすごい威力の魔法を発動させたが魔法使いにさせたくない両親が魔法学校行きを断った。魔法使いは戦争に利用されることも多く死傷率が高い。希少な存在なので命を狙われやすいのだ。あたしも戦いは怖いから魔法使いになりたくなかった。でも今は違う。ムシバと戦いたい。

「覚悟があるなら修行をつけてやらんこともない」

「覚悟はあります」

「よし。明日から修行じゃ。みなも協力せい」

「もちろんじゃ!」

忍者たちはみんな協力的だ。サスケがいう。

「その復讐オイラも手伝うぜ?」

「ありがたい申し出ですが、あたし1人で復讐します。あたしの手でムシバを討ち取りたいのです」

「そっか。まあ、うちで修行すりゃ1人で大国を滅ぼせるぐらい強くなんぜ。がははは」

あたしは微笑する。サスケは知らないけど、ムシバの強さもそれぐらいだ。最低でもそれぐらいの強さはいる。あたしの忍者としての修行がはじまった。




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