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OVER TAKE ❦ 大隅綾音と魚住隆也 ❦ ともに行こう!  作者: 詩野忍


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73/123

第48節 鱖魚群― 傷の評価の三段階《手稿資料集:流れの証言(Testimonium Fluminis)》

1. 表紙

2. 手稿一 「創評価三段階モデル ― Triad Forensis Vulneris」

3. 手稿二 「観察記録(綾音筆)」

4. 手稿三 「創評価要素一覧 ― Elementa Triforia Vulneris」

5. 手稿四 「図解:創評価の流れ ― Schema Fluxus Vulneris」

6. 手稿五 「隆也注解 ― 「三段階は、法の心臓である」」 

7. 手稿六 「倫理的所見 ― De Silentio Vulneris」

8. 手稿七 「詩篇:流れの中の証拠 ― Testimonium Fluminis」

9. 結語 創は流れの中で語る

 《手稿資料集:流れの証言(Testimonium Fluminis)》


 ― 大隅綾音・魚住隆也 共著観察録 ―


 表紙


 ───────────────────────────────

 司法医学図説・実務編Ⅰ

 第48節 鱖魚群さけのむれ

 傷の評価の三段階


 綾音観察記録・隆也注釈附

 於:大学医学部 法医学実験室

 日:寒波襲来・気温1.2℃・湿度38%


 ───────────────────────────────

 印章風題字:『Testimonium Fluminis ― 流之證』

 ───────────────────────────────


 手稿一 創評価三段階モデル ― Triad Forensis Vulneris


 図Ⅰ 創の評価三段階構造


 ────────────────────────────────────────────

 Ⅰ 科学的評価 Scientific Evaluation

 ・観察と測定(創縁・深度・出血・修復反応)

 ・目的:感情の排除と客観化


 Ⅱ 法的評価 Juridical Evaluation

 ・構成要件への適用(行為・結果・因果関係)

 ・目的:事実の法的意味化


 Ⅲ 倫理的評価 Ethical Evaluation

 ・表現・記述の節度と尊厳

 ・目的:沈黙する証拠への言語的救済

 ────────────────────────────────────────────

 註:三段階評価は「科学→法→倫理」の循環過程。創を“物”から“物語”へ変換する道。


 手稿二 観察記録(綾音筆)


 観察No.48-3

 試料:左上腕部挫創(皮下出血伴)

 環境:温度18℃/湿度45%


 所見:

 ・創縁:鈍体接触による不整形破断

 ・血液反応:淡褐色酸化反応(生前)

 ・筋膜下:線状出血、毛細血管破裂あり

 ・修復反応:24時間後線維芽細胞出現


 評価:

 生前に受けた鈍体衝撃による軽度打撲。

 出血態様と修復初期反応より、行為時刻を24〜36時間前と推定。


 結論:

 本創は“行為の断片”であり、

 科学的に観察され、法的に再構成され、倫理的に語られるべき証拠。

 ― 綾音(記)


 手稿三 創評価要素一覧 ― Elementa Triforia Vulneris


 表Ⅰ 三段階評価要素と機能


 評価段階   │ 観察項目         │ 評価目的

 ────────────────────────────────────────────

 Ⅰ 科学的   │ 創縁形態/深度/方向/血液反応 │ 客観的データの収集

 Ⅱ 法的    │ 構成要件該当性/故意・過失   │ 法的因果の確定

 Ⅲ 倫理的   │ 記述文体/表現節度/被害尊厳  │ 人間的理解と再構成

 ────────────────────────────────────────────

 註:科学は“測り”、法は“裁き”、倫理は“支える”。


 手稿四 図解:創評価の流れ ― Schema Fluxus Vulneris


(模式図)


 ┌──────────────────────────────┐

 │     科学的評価               │

 │   (観察・計測・記録)            │

 │       ↓                │

 │     法的評価               │

 │   (構成要件との照合・因果認定)      │

 │       ↓                │

 │     倫理的評価              │

 │   (叙述・表現・証拠の人間化)       │

 └──────────────────────────────┘


 註:創の評価は直線ではなく“螺旋的上昇過程”。科学・法・倫理が互いに補完し合う。


 手稿五 隆也注解 ― 「三段階は、法の心臓である」


「綾音、創を評価するってことは、

 科学で測り、法で裁き、倫理で赦すということ。


 どれか一つが欠けても、

 真実は“冷たい結論”になる」


「三段階の評価とは、

 事実を人間の言葉に変えるための道筋。

 それが法医学の“心臓”」

 ― 隆也(注解)


 手稿六 倫理的所見 ― De Silentio Vulneris


 倫理的評価要点:

 ・被害者の尊厳を毀損しない叙述構造を維持する

 ・科学的事実と感情的表現を混同しない

 ・「痛み」を「事実」としてではなく、「存在」として扱う

 ・鑑定書文体には、祈りにも似た静謐を保つ


 註:倫理とは、沈黙の扱い方の技術である。


 手稿七 詩篇:流れの中の証拠 ― Testimonium Fluminis


「流れはすべてを攫う。

 けれど、創は流れに逆らって残る。


 その形は、痛みの記録であり、

 同時に赦しの輪郭でもある。


  科学が形を測り、

 法が意味を与え、

 倫理が声を宿すとき、

 創は、人を救う証拠に変わる」

 ― 綾音


「真実は冷たく、

 だが、その中を泳ぐ者がいる。

 僕らはその群れの一部でありたい」

 ― 隆也


 結語 

 創は流れの中で語る


 創は静止しているように見える。

 だが、それは絶えず流れる証拠である。


 科学の観察は形を、

 法の言葉は意味を、

 倫理の祈りは温度を与える。


 その三つが交わるとき、

 創は“痛み”から“証明”へ、

 “証拠”から“理解”へと変化する。


 ― 大隅 綾音(記)


 NEXT PAGE

 第49節 乃東生 ― 証拠能力を支える四要素、です。

流れの証言(Testimonium Fluminis)

法廷実務における**「証拠能力を支える四要素」**を体系化した章――

第49節 乃東生 ― 証拠能力を支える四要素

を、

この節では、冬至を越えた地の底から蘇る草「乃東ウツボグサ」を象徴として、

「証拠の生命力」=再現性・信頼性・一貫性・倫理性の四要素を主題とします。

私、大隅綾音と魚住隆也が、

“証拠は生きている”という思想のもとに、

検体から言葉への変換過程を再考する構成です。


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