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OVER TAKE ❦ 大隅綾音と魚住隆也 ❦ ともに行こう!  作者: 詩野忍


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57/123

第40節 山茶花始開― 行動心理と創痕 ― 自殺・他殺・事故の境界線《手稿資料集:境界の花 ― 心理創痕観察録(Floris Liminalis)》

1. 表紙

2. 手稿一 「創の意志構造 ― Voluntas Vulneris」

3. 手稿二 「心理創痕観察記録(綾音筆)」

4. 手稿三 「行動心理と創形態の相関表 ― Tabula Mentis et Vulneris」

5. 手稿四 「隆也注解 ― 「行為の詩学」より抜粋」

6. 手稿五 「図解:創形秩序指数分布図 ― Index Ordinis Vulneris」

7. 結語 山茶花の下にて

 《手稿資料集:境界の花 ― 心理創痕観察録(Floris Liminalis)》


 ― 大隅綾音・魚住隆也 共著・観察録 ―


 表紙


 ───────────────────────────────

 司法医学図説・実務編Ⅰ

 第40節 山茶花始開さざんかはじめてひらく

 行動心理と創痕 ― 自殺・他殺・事故の境界線


 綾音観察記録・隆也注釈附

 於:大学医学部 法医学実験室

 日:霜降末候・薄曇り・気温10.5℃


 ───────────────────────────────

 印章風題字:『Floris Liminalis ― 境界之花』

 ───────────────────────────────


 手稿一 創の意志構造 ― Voluntas Vulneris


 図Ⅰ 行為区分と創形態の対照図(手稿写)


 自殺:→→→→ 整列・単一方向・漸深型(ためらい創併存)

 他殺:↘↗↙↖ 多方向・不規則・交錯線(防御創あり)

 事故:→↓↑ 方向混在・不連続浅創(擦過痕付随)


 特徴指標:

 創数平均 自殺=2.3/他殺=5.8/事故=3.1

 深度変化係数 自殺:安定(±0.2)/他殺:高変動(±1.7)

 血滲パターン 自殺:均一線状/他殺:飛散/事故:帯状連続


 手稿二 心理創痕観察記録(綾音筆)


 観察No.40-5

 部位:左前腕内側

 創長:4.8cm/創縁:整/創数:3

 血滲:連珠状/ためらい創:2/決断創:1


 観察所見:

 創の方向一定、力の制御明瞭。

 筋膜層に達するが、反復動作による躊躇い痕が上層に残存。

 刃角度一定(33°)、血液凝固均一。

 心理的緊張強度:高。

 行為の意図:自己主導的・理性統制型。


 解析:

 この創は「自律的葛藤の痕」であり、

 恐怖ではなく理解の中で生じた行為である。

 “死を理解しようとする知性”が、創の秩序に宿る。


 ― 綾音(記)


 手稿三 行動心理と創形態の相関表 ― Tabula Mentis et Vulneris


 表Ⅰ 行動心理と創痕形態の対応表


 心理状態    │ 行為区分 │ 創形特徴      │ 観察的意義

 ──────────────────────────────────────

 決断・静意   │ 自殺   │ 整縁・単一方向   │ 理性統制・意識的行為

 恐怖・抵抗   │ 他殺   │ 多方向・不整断端  │ 外力干渉・防御反応

 混乱・偶発   │ 事故   │ 浅創・散在     │ 偶発的運動・衝突痕

 逡巡・内的分裂 │ 不明確  │ 重複・漸深不均一  │ 心理的葛藤・意思混濁

 ──────────────────────────────────────

 註:創の秩序度=心理統制指数に比例(r=0.89)


 手稿四 隆也注解 ― 「行為の詩学」より抜粋


「創は、行為の最終文法だ。

 そこに主語が“自己”か“他者”かを問うことが、

 法の最初の詩であり、倫理の始まりでもある」


「自殺は文末の句点、

 他殺は未完の文、

 事故は、文を途中で破った風の痕」

 ― 隆也(注解)


 手稿五 図解:創形秩序指数分布図 ― Index Ordinis Vulneris


 図Ⅱ 創秩序指数(Order Index)分布図


 秩序度↑

 │

 │ 自殺  ■■■■■■■□

 │ 他殺  ■■■□□□□□

 │ 事故  ■■□□□□□□

 └──────────────────→ 不確定性

(尺度:創方向・深度・数・血滲分布の安定性による算出)


 註:

 秩序度=行為の意識度を反映する心理的パラメータ。

 指数0.8以上=自律的行為/0.4以下=外力主導。

 手稿六 詩篇:境界に咲く花 ― Floris in Limine


「花は散ることで完成する。

 人は終わることで、自らの形を知る。

 創の線は、悲しみではなく理解の軌跡。

 その線が乱れているなら、

 まだ誰かの言葉が途中だから。

 私は、

 その言葉を最後まで読んであげたい」

 ― 綾音


「境界に咲く花は、

 生と死のどちらにも属さない。

 だが、その香りは“赦し”の匂いがする。」

 ― 隆也


 結語 

 山茶花の下にて


 山茶花は、風に耐えて咲く花だ。

 その花弁は柔らかくても、

 その芯には冷たい秩序がある。


 創を読むとは、

 その秩序の温度を測ること。


 それが“叙情法学”の使命であり、

 死を赦し、生を再構築するための静かな祈り。


 ― 大隅 綾音(記)


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 第41節 地始凍ちはじめてこおる ― 環境要因と死後変化 ― 火、水、風が創を変貌させる、です。

季節の移ろいとともに「環境が語る死後変化の詩学」を主題とした――

第41節 地始凍ちはじめてこおる ― 環境要因と死後変化 ― 火、水、風が創を変貌させる、を本節は、「自然現象が遺体・創痕に与える変化」を中心に、

火災による炭化・水中遺体の膨化・風乾と凍結による変色や断層の形成を取り上げ、

環境の力を“法的証言者”として読む、叙情的法医学篇です。


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