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OVER TAKE ❦ 大隅綾音と魚住隆也 ❦ ともに行こう!  作者: 詩野忍


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109/123

第66節 菜虫化蝶―写真判定法 ― 鑑定書添付の基本技術 《手稿資料集:光の証言(Testimonium Lucis)》

1. 表紙

2. 手稿一 「写真判定の三原則 ― Tria Leges Photologiae」

3. 手稿二 「観察記録(綾音筆)」

4. 手稿三 「法廷写真の標準形式 ― Formatum Forense」

5. 手稿四 「補助手法 ― Forensic Photometry」

6. 手稿五 「隆也注解 ― 「光の倫理」」

7. 手稿六 「詩篇:光の証言 ― Testimonium Lucis」

8. 手稿七 「司法記録文例 ― Relatio Imaginis Forensis」

9. 手稿八 結語 ― 光が記録する倫理

 《手稿資料集:光の証言(Testimonium Lucis)》


 ―大隅綾音・魚住隆也 共著観察録―


 表紙


 ───────────────────────────────

 司法医学図説・実務編Ⅱ

 第66節 菜虫化蝶なむしちょうとなる

 写真判定法 ― 鑑定書添付の基本技術


 綾音観察記録・隆也注釈附

 於:大学 医法融合研究棟 写真解析室

 日:菜の花の咲く日、光満ちる午後


 ───────────────────────────────

 印章風題字:『Testimonium Lucis ― 光之證言』

 ───────────────────────────────


 手稿一 写真判定の三原則 ― Tria Leges Photologiae


 図Ⅰ 法医学的写真撮影三原則


 ────────────────────────────────────────────

 原則       │ 内容                    │ 目的

 ────────────────────────────────────────────

 光線一致の原則  │ 基準照明の方向を一定に保持         │ 陰影差による誤認防止

 スケール併置の原則│ 距離・方向マーカーを併設          │ 実測精度と客観性の確保

 三方向撮影の原則 │ 正面・斜角・俯瞰の3視点撮影        │ 立体的形状の記録と再現

 ────────────────────────────────────────────

 註:一枚の写真は記録、一連の写真は“証明”である。


 手稿二 観察記録(綾音筆)


 観察No.66-A

 試料:右前腕裂創(Case ID:P67-4)

 状況:鑑定書添付用撮影記録


 撮影条件:

 光源:色温度5500K定常光(右45°・上20°)

 背景:ニュートラルグレー無反射布

 スケール:金属5mm単位尺併置

 撮影角度:正面・左斜45°・俯瞰


 結果:

 創縁の隆起・乾固帯の質感・滲出域の境界を明瞭に再現。

 彩度・露出固定、画像歪曲なし。


 所見:

 創形態は中線対称・出血域明瞭。法廷提出基準に適合。

 ― 綾音(記)


 手稿三 法廷写真の標準形式 ― Formatum Forense


 図Ⅱ 法廷提出用画像基準


 ────────────────────────────────────────────

 項目      │ 基準設定内容

 ────────────────────────────────────────────

 カメラ     │ 焦点距離50mm固定/F8/ISO200固定

 光源      │ 演色指数Ra90以上LED/散光補助なし

 背景      │ ニュートラルグレー・反射防止

 スケール    │ 5mm金属尺+方位マーカー併置

 データ形式   │ RAW+JPEG同時記録・Exif保持

 補正処理    │ 不可(露出・色温度固定)

 添付形式    │ 鑑定書末尾にメタデータ記録表付属

 ────────────────────────────────────────────

 註:Exifは“科学の署名”である。改変は証拠価値を損なう。


 手稿四 補助手法 ― Forensic Photometry


 表Ⅰ 光学的補助技術一覧


 ────────────────────────────────────────────

 手法       │ 目的/特徴

 ────────────────────────────────────────────

 偏光撮影     │ 表皮反射除去・微細構造強調

 近赤外撮影(IR) │ 皮下出血・血管透見

 分光解析     │ 色反射率曲線取得・酸化度推定

 マクロ撮影    │ 創縁微構造50μm単位記録

 ステレオ撮影   │ 三次元的創形状再構築

 ────────────────────────────────────────────

 註:光は嘘をつかない。ただし、撮り方は嘘をつける。


 手稿五 隆也注解 ― 「光の倫理」


「綾音、

 光を当てすぎても、真実は焼ける。

 暗くしても、真実は隠れる。


  写真の仕事は“見せる”ことではなく、“伝える”こと。

 光を選ぶことが、綾音と僕の倫理。


 綾音と僕はレンズの前に立つ被写体に、

 もう一度、尊厳を取り戻すためにシャッターを切る」

 ― 隆也(注解)


 手稿六 詩篇:光の証言 ― Testimonium Lucis


「光は沈黙を破り、

 傷を語らせる。


 その語りは、

 痛みではなく、

 記憶の証。


 カメラの奥で、

 私はひとつの呼吸を聴く。


 それは、

 科学と慈悲のあいだにある、

 やわらかな閃光だった。」

 ― 綾音


「創は沈黙し、

 光が語る。

 その翻訳をするのが、

 綾音と僕の役目」

 ― 隆也


 手稿七 司法記録文例 ― Relatio Imaginis Forensis


【鑑定書添付用撮影報告】


 被写体:右前腕裂創

 撮影日:令和〇年〇月〇日

 光源:LED 5500K/右45°・上20°照射

 背景:ニュートラルグレー布(反射防止)

 スケール:金属尺5mm単位+方向マーカー

 画像形式:RAW+JPEG(Exif保持)


 結果:

 創形態・色調・出血範囲を忠実に再現。

 画像改変なし。法廷提出基準適合。


 本画像は、鑑定書添付の科学的証拠として妥当である。


 司法解剖医 大隅 綾音


 手稿八 結語 ― 「光が記録する倫理」


 写真は、真実を写すだけでなく、

 写し手の倫理も映し出す。


 光がどこから当たったのか――

 その一点が、

 法廷での真実を分けることがある。


 司法医学の写真とは、

 “記録”であり、“証言”であり、

 そして“祈り”でもある。


 ――菜虫化蝶。

 光は生を、影は死を語る。

 私はその間に立ち、

 沈黙の創に光を注ぐ。


 ― 大隅 綾音(記)


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 第67節 雀始巣― 科学の衝撃と倫理の共鳴、です。

第67節 雀始巣― 科学の衝撃と倫理の共鳴、

本節は、司法科学が人間倫理とどのように共鳴しうるか――すなわち「証拠が語る真実と、法が受け止める心」の橋渡しを描く章です。


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