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OVER TAKE ❦ 大隅綾音と魚住隆也 ❦ ともに行こう!  作者: 詩野忍


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第62節 霞始靆―現場検証との連携指針 《手稿資料集:霞の記憶(Testimonium Nebulae)》

1. 表紙

2. 手稿一 「現場検証と鑑定連携フロー ― Schema Cooperationis」

3. 手稿二 「現場観察記録(綾音筆)」

4. 手稿三 「環境因子と血液乾燥時間の相関表 ― Tabula Desiccationis」

5. 手稿四 「現場連携実務指針 ― Directiva Cooperationis」

6. 手稿五 「隆也注解 ― 「現場の“空気”を科学する」」

7. 手稿六 「詩篇:霞の記憶 ― Testimonium Nebulae」

8. 手稿七 「司法記録文例 ― Relatio Cooperationis」

9. 手稿八 結語 ― 霞の中の調和

 《手稿資料集:霞の記憶(Testimonium Nebulae)》


 ―大隅綾音・魚住隆也 共著観察録―


 表紙


 ───────────────────────────────

 司法医学図説・実務編Ⅱ

 第62節 霞始靆かすみはじめてたなびく

 現場検証との連携指針


 綾音観察記録・隆也注釈附

 於:大学 医法融合研究棟 現場再構成室

 日:霞けむる早春の朝


 ───────────────────────────────

 印章風題字:『Testimonium Nebulae ― 霞之記憶』

 ───────────────────────────────


 手稿一 現場検証と鑑定連携フロー ― Schema Cooperationis


 図Ⅰ 現場と鑑定室の情報連携構造図


 ────────────────────────────────────────────

 段階      │ 主体            │ 法医学者の関与内容

 ────────────────────────────────────────────

 一次検証    │ 警察・鑑識         │ 死体位置・創形態の即時観察

 二次検証    │ 検察・医監         │ 死因・時間推定・環境評価

 鑑定連携    │ 法医学者・技術補助員    │ 試料採取・環境データ記録

 統合報告    │ 合同会議          │ 科学的意見・法的整合性検証

 ────────────────────────────────────────────

 註:現場情報の欠落は鑑定精度の喪失に直結する。


 手稿二 現場観察記録(綾音筆)


 観察No.62-A

 現場:町 崖下転落地点(Case ID:J63-1)

 環境:気温8℃/湿度70%/風速1.4m/s/照度630lx


 ・遺体位置:右側臥位・頭部西向き

 ・創傷:後頭部裂創、右上腕擦過創

 ・血痕:乾燥帯と湿潤帯が混在

 ・周囲環境:苔層湿潤、土壌水分率約45%


 解析:血液乾固状態および環境条件より、受傷後経過6〜9時間。

 現場移動なしと判断。

 ― 綾音(記)


 手稿三 環境因子と血液乾燥時間の相関表 ― Tabula Desiccationis


 図Ⅱ 血液乾固過程における環境要因の影響


 ────────────────────────────────────────────

 気温(℃)│ 湿度(%)│ 乾燥時間(min)│ 観察特徴

 ────────────────────────────────────────────

 5     │ 80     │ 120〜180    │ 乾固遅延・露付着

 10     │ 60     │ 90〜120    │ 境界明瞭・乾湿混在

 20     │ 40     │ 45〜60     │ 均一膜形成

 30     │ 20     │ 30〜45     │ 外縁亀裂・酸化強

 ────────────────────────────────────────────

 註:乾燥時間は死後経過時間推定の補助的指標となる。


 手稿四 現場連携実務指針 ― Directiva Cooperationis


 1. 俯瞰観察の徹底:現場進入前に地形と光線を確認。


 2. 環境計測の即時化:温湿度・風速・照度・気圧を5分以内に測定。


 3. 写真・手描き併用記録:空間方向を複数角度で捕捉。


 4. 試料採取順序の統一:血液→体液→昆虫相の順で保存。


 5. 捜査機関との文体整合:記録書式は「推測」ではなく「評価」とする。


 手稿五 隆也注解 ― 「現場の“空気”を科学する」


  「綾音、

 現場の空気は、数値ではなく“感覚”で掴む。

 科学は感覚を“測る”。


 霞が立ってても、風速1m/s違えば血液の乾き方は変わる。

 だから俺たちは“風”を記録するんだよ。

 空気の証言を聞くために。」

 ― 隆也(注解)


 手稿六 詩篇:霞の記憶 ― Testimonium Nebulae


「霞が、現場を包む。

 血のにおいは淡く、

 土の湿りが指先に残る。


 科学は、

 風と光の記録から始まる詩。


  数値の裏には、

 息がまだ揺れている。


 霞の中に立つ私は、

 その息を、法の言葉に変える。」

 ― 綾音


「霞は、

 事実と真実の間に流れる時間」

 ― 隆也


 手稿七 司法記録文例 ― Relatio Cooperationis


【司法医学的連携記録】


 現場観察の結果、血液乾固状態および環境因子の測定値(気温8℃・湿度70%・風速1.4m/s)を考慮したところ、

 受傷後経過時間は6〜9時間と推定された。


 血痕形状は局所的再付着を示さず、転落後の二次移動は認められない。

 また、周囲土壌の含水比および植物被覆の状況より、

 遺体の静止位置は原位置に一致すると判断する。


 上記所見は警察・鑑識との協働調査に基づき、

 法医学的検討の根拠として報告する。


 司法解剖医 大隅 綾音


 手稿八 結語 ― 「霞の中の調和」


 現場検証とは、

 法と自然の境界を読み取る詩的行為である。


 そこに立つ者は、

 数値と感覚の両方で真実を掴まねばならない。


 霞が漂うとき、

 それは隠蔽ではなく、“調和”の兆し。


 法医学はその霞を払い、

 科学の筆で事実の輪郭を描く。


 ――霞始靆。

 現場の静寂の中で、

 法は呼吸を始める。


 ― 大隅 綾音(記)


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 第63節 草木萠動― 死後損傷と犯罪偽装 ― 動物咬痕・火傷・転倒創の鑑別と写真判定法、です。

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