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異世界転生したのに無双できない  作者: 星野 夜月
第二章 あの華が咲く、秋に
48/59

第二章5 拾ってくださった件

前回の投稿から1ヶ月以上も空けてしまい本当にすいませんでした!小説の投稿を休んで頑張っていた定期テストではかなりいい成績が取れたので、今後はそこまで投稿ペースが下がることはないと思います。

この1ヶ月以上の分を取り返せるようにこれから頑張ります!

そして、投稿していない間読んでくれていた方々に感謝を!

これから読んでくれる人は何卒よろしくお願いします!

 そして幾星 透は

 死―――――――――――。


 体を何かとても柔らかいものが包み込んでいる気がする。

 なんというか少し、いやかなり心地が良かった。

 俺はなんとなく悟ってしまう。

 ここは、天国なのか?と。

 そう錯覚してしまうほどにはそれは心が安らぐものであった。

 夢を見ていた気がするがもう忘れた。

 まあ、思い出せないタイプの夢だったのだろう。

 そう割り切った俺は少しずつ意識が覚醒するのを自覚する。

 死んだ。

 となると、もしかしたらあれなのだろうか?天国とか地獄とか審判する的なものがあるのだろうか。

 なんか悪いことしたかな、俺。

 できれば天国がいい。

 死んだ後くらいは楽になりたいものである。

 この世界に来てからは特に何かをした記憶はないが、前世は―――。

 前世のことを考えた瞬間俺は強烈な頭痛を感じた。

 もう、やめにしよう。

 どちらでもいいだろう。

 この異世界に転生できただけでオッケーだろう。

 そう思って覚悟を決めた俺は目を開けた。

 そして、感じる違和感。

 なんというか左側に膜を張られたみたいな違和感が。

 あー、そうだったな。

 俺は左目をあのサソリに破壊されたんだったな。

 もしかして死後の世界でもそれは適応されてしまうのだろうか?別にしなくていいと思うのだが。

 そうしてそんな半分の視界の中に入り込んできたものは

「天使………様?」

 そんなふうに言えるほど綺麗な人であった。

「ふふ、何言ってるの?透さん。私は天使じゃないよ?」

 と天使様は答えた。

 天使様じゃないのか、じゃあ誰なんだ?

 慣れない片目だけの視界で必死にピントを合わせようとする。

「すいません、ちょっと目がよく見えなくて、失礼だと思うのですが、天使様じゃないのであればあなたは誰ですか?」

 少しずつ視界のピントが合い始める。

 その視界に映るのは少し赤みがかった髪であった。

 だが、まだピントがはっきりとしていないので誰かを判別することはできないままであった。

 そして、その目の前の誰かは答えた。

「私は誰?私は、君と同じ日本出身の彼岸 星華だよ?」

 と、天使は―星華さんはいった。


「え?え?どういうことなんですか?なんで星華さんが……というよりここはどこなんだ?」


 私は、冒険者を始めてから思ったよりも順調に階層を進んでいけた。

 周りからはもっと強気にいけば、私はもっと先の階層にいけると言われたのだが、そんなに強いとは私自身が思えない。

 だから、なるべく慎重に冒険を進めていった私のレベルは今では12にもなっている。

 あれが消えた時は焦ってしまったが、今も普通にできているので悪くないというのが私の感想。

 そんなこんなで今は第五階層に私はいる。

 とにかく慎重に冒険を進めていったからだね。

 私はだいたい午後から冒険を始めている。

 理由は単純で午前は薬屋での仕事があるから。

 そして、それが終わったら自分でなるべくポーションの素材になるものを手に入れるようにしている。

 私の働いている場所は控えめに言っても裕福とは言えないようなものだから、なるべく経費は抑えておきたいのである。

 その点素材を自分で集める、すなわち自給自足はこの上なく素材にかかる経費は抑えることができる。

 そうして慎重に平和に、ときにギリギリの戦いをする冒険をしていた私はその日始めて平和とは無縁の状況を目にすることになった。

 それは、とてもグロかった。

 ()()ではおそらく見ることがなかったであろう、とてつもない光景。

 はっきり言って、できれば見たくないものである。

 私はすぐそこから逃げようとした。

 だけど、その人の目がこちらを向いたような気はした。

 はっきり言って、救ける理由は私には全くと言っていいほどないのである。

 だけど、私はその人の目を見たとき思い出してしまった。

 確か、あの人は―――。

 そう思い出した私はすぐに彼を救けるために走り出した。

 彼岸 星華は死にかけの幾星 透を救けるべく走り出したのだった。


 といっても正面から戦ってもおそらくそこにいる彼と同じ状況になってしまうだろう。

 それに、今死にかけている彼を救うことは確実にできなくなる。

 だから、今すべきことはモンスターを倒して彼を救けるのではなく、どうにかして彼をモンスターから分離して、速攻で持ち帰ることである。

 そう判断した星華はそれを実行に移す。

 どうしよう、魔法物質発射(バレット)だったらおそらく彼を救けることはできない。

 必要なのはサソリと彼の分離、なら切り落とすのが一番。

 あ!昨日レベルアップしたときに手に入れた魔法物質刃状加工(カッター)でやればできるかもしれない。

 そうと決めればすぐに行動しよう。

魔水球作成(マジックウォーター)

 その詠唱と共に私の手のひらに水球が4粒浮かび空中を漂う。

 最初は1粒だけだったのだが、レベルアップと共に少しずつ球の数が増えてきたのである。

 仕組みとかはよくわからないんだけどね。

 そして、私はその魔法を使う。

魔法物質刃状加工(カッター)

 そして、その詠唱により手のひらに浮かび上がっていた水球は球状から薄い刃のような形状となった、言うならばそれは水の刃といったところである。

 だが、それは4つあるわけではなく

「ええ……なんで一つになってるの………?」

 4つあった水球が1つの刃となっているみたい。

 まあ、その分威力は多分高いんだろうな。

 そう思って私は

魔法物質発射(バレット)!」


 私の魔法には順序がある。

 まず、元となる魔法元素(エレメント)の作成。

 これが私の魔法の一番最初、基本中の基本。

 これを作成しないことには私は何もできないただの人間、それどころか()()()()()()()()()()()

 そして次に魔法元素(エレメント)の加工。

 今使っている魔法物質刃状加工(カッター)とかそういうふうな魔法である。

 そのまま打ち出しても銃弾のような感じになるけど、こっちの方が多分もっと威力が上がるだろう。

 だから使うだけ得!

 というのが、私の認識である。

 そして、それらの手順を踏んだ後の最終工程、

 魔法元素(エレメント)の放出。

 今使った魔法物質発射(バレット)

 それがそういう魔法である。

 今はこれしかないが、おそらくレベルアップとかとともにいろいろ増えていくと勝手に思っている。

 この魔法を使って初めて私の魔法は攻撃たりうるものとなる。

 そして、その最終工程の放出をした。

 作成された水の刃は星華の想像通りに透を突き刺しているあの針の根本の方にまっすぐ進んで行った。

 幸いにも、あのサソリは透のことをどう壊すか、どう捕食するかに夢中になっているようなので、こちらの攻撃には気づいていなさそうである。

 その水の刃は、透の剣と同等、いやそれ以上の火力を持って、それを破壊したのだった。

 突き刺されていて実質それが支えとなっていった透は空中に放り投げられる。

 その顔を見て私はすぐに彼が気絶している事に気づいた。

 そして、その服に染みるドス黒い赤の量が彼の怪我の酷さを物語っていた。

 私は彼が地面につく前に彼の体を受け止めた。

 今も血が流れていて、本当にいつ死んでもおかしくなさそうだ。

 致命傷どころか、半殺し……いや、5分の4殺しくらいはしてそうなレベルである。

「まずいわね。なんでまだ死んでいないのかも怪しいレベルだわ。」

 どうしよう………ってこの怪我もしかして

「毒?」

 あのサソリみたいなモンスターについて何も知らない星華は毒の存在も知らなかった。

 だが、それに気づけたのは薬屋で働いているときに、そのような怪我をした冒険者が解毒ポーションを買っていたのをみたからである。

 それに気づいた私はすぐに彼に解毒ポーションを使用した。

 すると、彼の身体の異常な腫れは少しずつ引いてきた。

 先程までは荒かったその呼吸も少しずつ整ってきた。

 ある程度たった後、私は彼にhpポーションを飲ませた。

 だが、一本だけではお腹に空いているその傷を治すには足りなかったようなので、もう何本か飲ませるとやっと彼のお腹の傷は治った。

 だけど、一つだけいまだに治らない場所があった。

 彼の目である。

 彼の目―正確に言えば左目だが。

 そこだけ治らないのである。

 お腹の傷を治すことを優先?したのかもしれないと思い、何度かポーションを飲ませたのだが一向に治る気配がないのである。

「もしかして、私の持っているポーションじゃ透さんの目は治せない?でも私の感覚にはなっちゃうけど、お腹の穴を塞いだりするよりも目を治すほうがやりやすいと思うんだけど………。」

 実際、星華は透に10本くらいはポーションを飲ませていた。

 確かにhpはポーションを飲ませれば時間経過で治る。

 だから、そこまで飲ませる必要はないのだが飲ませれば飲ませるほど治る速度は早くなるかもしれないと、星華は思ったのである。

 だけど、ここまでやっても治らなかったため星華は一度私の家(店)に連れて帰る事にした。

 私は彼の家を知らないから仕方ない。


 そうして、私は彼と家に帰った。

 私はすぐに


「すみません、ローアさん。ちょっと知り合いの人が死にそうだったので連れ帰ってきちゃいました。」


 ちなみに彼は家に来るまで一度起きなかった。

 まあ、あのレベルの怪我をしているのだから当然なのかもしれないけど。

 ローアとは、星華がバイト(ほぼ正職員といっても過言ではないのだが)している薬屋の店主のお婆さんである。


「そうかい、わかったよ。でも要はそれだけじゃないんじゃろ?」


 何故そこまでわかるのだろうか?

 まあ、間違ってはないんだけどね。


「はい。実は彼にいくらポーションを飲ませても目が一向に治らないんです。」


 私は今も気絶している彼の平らな左眼を指差しながらそう言った。


「おやおや、おそらくそれは完全欠損じゃろうな。」


「完全欠損ってなんですか?」


「完全欠損というのはな、その部位を欠損してから一定の時間がかかるとそれこそ最上級ポーションクラスじゃないと再生しないのじゃよ。具体的にはステータスのhpがあるじゃろ。そこの最大値がその欠損した部位の分減ってしまうのじゃ。じゃが、そうなるには早過ぎる気がするんじゃがな。そこの少年は少し弱かったのかもしれんな。」


 そうなんだ、だったら透さんは気の毒である。

 これからは一生、隻眼(せきがん)で生活する事になってしまうのだから。

 いや、待って、だとしたら―――


「だとしたら、どうして彼のお腹や、毒に侵された皮膚などは治ったのですか?」


 そう星華がいうとローアさんは目を見開いて


「星華、今毒に侵されたというたか?」


「はい、いいましたけど。」


「そうか………やはり完全欠損ではないかもしれぬな。まずなぜ治ったのかという質問に答えようか。それは単純で、良くも悪くも()()()()()()()()だからじゃな。」


「毒に侵されただけ?」


「そうじゃ、その子は今日その怪我を負ったのじゃろ?」


 彼は、今にも完全に殺されそうな感じだった。

 そのモンスターと戦う前からあの怪我をしているならあり得なくはないが、あの傷の感じだと古傷というよりはかなりナウな感じの傷だった。

 だからおそらく。


「多分そうだと思います。」


「まあ、この傷のつきようならそうじゃろうな。完全欠損というのはな、本来その傷を負ってから、そうじゃな早くて1週間、遅くて3週間はかかるものだからのう。だから、おそらくそこの彼は完全欠損しておらんじゃろう。」


 !

 それは朗報である。

 彼にも隻眼からいつも通りの両目を持つ生活に戻れるかもしれない。


「だったら!――」


「ちょっと待ちなさいな。」


 食い気味に、ローアは星華の希望を見出す言葉を遮った。


「え?それってどういう――」


「確かに、完全欠損ではないとはいったがのう、だとしてもかなりその目を治すのが難しいのはかわらないのじゃ。」


 希望に満ちていた思考が、希望を探していた思考がそこで止まった。


「星華よ、これより先の話はそこの少年が起きた後に話そうではないか。」


「え、でも―」


「彼にもう一度説明するのにも一苦労じゃからな。」


「そんなに難しい話なんですか?」


「まあ、少しな。」


 じゃあ仕方ないな。

 とりあえず、彼を安静なところ、ソファとかベッドとかに連れて行ってあげよう。


「今日は話を聞いてくれて?というか話しかけてくれて?ありがとうございました。」


「礼はいらないさね。私自身彼のことは少し心配じゃからな。若人のそのような姿には思うところがあったのじゃ。だから、気にせんではよう寝なさいな。」


「わかりました。おやすみなさい。」


「ああ、おやすみ。」


 そう言って私は寝室に行った。


 にしても、ほんとになんでこんなボコボコになったのか。

 第五階層に来る前にギルド職員から話があったはずなのだ。

 いくらこの世界では非常識な私たち異世界人でもわかるように説明されたはずなのである。

 となると、慢心でもしていたのかな〜。

 これが一番可能性としては高いのだろうが。

 私は彼をソファに寝転がせながらそのようなことを考えていた。

 今回はたまたま私という人間がいたから大丈夫だったけど。

 とりあえず、生きていて良かった。

 そして、彼に毛布をかけた後私はベッドに行って眠りについたのだった。


 そうして、朝が来たのだが。

 どうやらまだ彼は寝ているようだ。

 うーん、そろそろ回復してもいい頃合いだと思うんだけど。

 まあ、昼には起きるだろう。

 そうして私は薬屋の仕事をしているうちに、気づいたら昼になっていて――。


 そして冒頭に時間は戻る。


「え?え?どういうことなんですか?なんで星華さんが……というよりここはどこなんだ?」


 まあ、そうなるよねー。

 そんな透の反応を予想していた星華はここに至るまでのことを説明したのだった。


 そして、その説明が終わったとき、

 俺は目の前の星華さんに全力で頭を下げていた。

 ちょっとまだ立つのは不安なので、少し失礼かもしれないがベッドの上で礼をしまくっていた。

 とんでもない、とんでもないお世話になってしまった。

 そもそも、俺は星華さんが冒険者だということを知らなかったので、そこにも驚いたんだけど。

 それも、話を聞く限りおそらく俺より絶対に強い。

 素直にすごいと思ってしまった。

 そしてそんな星華さんに悲しい事に俺は救われてしまった………。

 感覚的には主人公に救われたモブとか、ヒロインとか、そういう立ち位置になった気分である。

 できれば、できればだが。

 もし叶うなら、時を戻してほしい。

 こういうのは、できるだけ俺が救う立ち位置であってほしかった。

 だってそっちの方がかっこいい。

 ダサいな、俺………。

 と思いながら俺は頭を下げていた。

 今俺がこの世界で生きていられるのは全て星華さんのおかげなので当然の行動である。


「あの、なんていうかどうお礼したらいいでしょうか?」


 そう言うと、星華さんは少し悩んで、


「そういうのは特にいらないかな〜。」


「それじゃ申し訳ないんですけど………」


「でも、私が君に何か求めることがあるわけじゃないしなー。」


 それもそうである。

 俺が星華さんに渡せるものなんてほぼないわけで。

 なんなら、ほぼ間違いなく俺より強いから何か協力できるようなこともない。

 だから、星華さんのその返答にも納得がいってしま……


「あー、それなら連合(クラス)組まない?」


「へ?」


「だから、私と透くんで連合(クラス)組んでくれない?っていってるんだよ?」


 そんな突拍子もないことを、唐突に星華さんはいったのだった。









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