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異世界転生したのに無双できない  作者: 星野 夜月
第二章 あの華が咲く、秋に
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第二章1 曰く、それは全てを飲み込む

俺、幾星 透は異世界に転生して、途方に暮れていたところを支配者(マスター)という防具を作る店の人に拾われた。そして、今はそんな支配者(マスター)のために冒険者をやっていた!

そして、ついに俺は第四階層階層主を討伐し、明日、第五階層へ向かう。

ま、今は何もできないが。




そうして、俺は支配者(マスター)の家に帰ろうとしたのだが。

「待ってください!」

この声は、、、ナディスさん?

まあ、だけどギルドの人が俺みたいなやつに「待ってください」なんていうわけないしな。

無視して帰るとしよう。

「なんで、無視するんですか!」

もお、早く答えてやれよ。

ナディスさんが困ってるんだから。

なんか他の人も心配してるみたいなんだから。

ていうか、珍しいな。

ギルドの人が自分から誰かのことを呼び止めようとしているなんて。

もしかして、何か事件起こした人とか、ちょっとヤバめな人でもいたのだろうか?

だとしたら尚更早く帰らないと。

厄介ごとにはあまり関わりたくない。

誰かを助けるとかならまだしも、あまり事件には関わらない方がいいだろう。

だけど、流石に誰か反応したりしたらどうだろうか。

ナディスさんがかわいそうである。

しゃーない。

俺が話を聞いてその人のことを呼び止めよう。

「あの、ナディスさん!その、ナディスさんが探してる人俺が探して呼び止めますよ!」

そういうふうに善意で俺は言った。

はずなのだが。

なぜかナディスさんがプルプルしだした。

なんだろ?

そんなに誰かに手伝ってもらって嬉しかったのかな?それとも自分のことは自分でやりたかったのにそういうこと言われて屈辱だったのかな?

だとしたら申し訳ない。

「あの、ナディスさん?どうしたんですか?」

すると、ナディスさんは顔を上げて、

「どうしたもこうしたも、、あなたのことを呼び止めようとしてたんじゃないですかーーーー!」

ギルドのロビーにそんなナディスさんの叫び声が響き渡った。


き、気まずい。

まさか、自分もその人のことを呼び止めようとして、その呼び止めようとしていた人が自分自身だなんて。

ナディスさんに、すごく申し訳ない。

「何を考えているんですか?あなたは。」

う、言葉から怒りが滲み出ている。

「すみませんでした、、、」

けど、実際ギルドの人が話しかけてくると思ってなかったからな。

「もう、、、いいです。」

「は、はい。」

よくなさそう。

「あなた、第四階層階層主を討伐したんですね?」

「え?」

「だ・か・ら!第四階層階層主を討伐したんですよね!?」

「は、はい!」

やっぱり怒ってた。

「だとしたらあなたは、第五階層に行くんですよね?」

「はい!行きます!」

うなずきながら、俺はナディスさんの言葉を肯定した。

その答えを聞いたナディスさんは

「じゃあ、少しこっちにきてもらおうか。」

と言って、俺をあの日冒険者の身分証明書(ライセンス)を発行してもらった部屋に行くのだった。


なんか、流れに乗ってきちゃったが、やっぱりさ。

「あの、ナディスさん。自分、あの時ナディスさんの声を無視してしまったこと以外でなんかやりましたか?」

正確には無視はしていない。

「本当に、あれは意味がわかりません。ですが、あなたは何か犯罪とか事件に巻き込まれたわけではありません。

むしろ、あなたの行動に見合ったものを渡すだけです。」

俺の行動?

冒険者業には何か関係したことだろうか?

ま、まさか。

今まで馬鹿みたいに同じ素材をたくさん一気に売り払っていたのが問題で――

「あなたは第五階層に行くことができるようになりました。なので、もう少なくとも初級ではありません。」

初級?

ああ、確か身分証明書(ライセンス)かなんかをもらったときにそんなことを言っていたような………。

久しぶりに俺はそれをポケットから出した。

まあ、身分証明書(ライセンス)って言っても

幾星 透

片手直剣使い

程度のことしか書いていない。

いくらでも偽造できそうなものである。

「そう、あなたの持っているそれです。それを初級から駆け出し級(ルーキー)に更新します。」

初級と駆け出し級(ルーキー)ってそんなに違うのか?

まあ、違うのだろう。

初級とかある時点である程度察していたが更新云々ってあるんだな。

それをしてもらえるとかなり嬉しい、、かもしれない。

「更新したりすると何かあるんですか?」

「そうですね?あまり変わりはないですが。

なんでしたっけ?ギルドの上層部?とかに伝えられるらしいですよ。あと、場所によっては何かあるかもしれませんが、その程度です。」

「そうなんですか……」

んー、なら更新しなくてもいいかな〜。

まあでも減るもんじゃないしね。

「お願いします。」

「わかりました、ではその身分証明書(ライセンス)を私にください。」

そう言われたので俺は丁寧にナディスさんにそれを渡す。

するとナディスさんはこの部屋にある謎の機械?にそれをいれて、

「一応聞いておきますが、使用する武器を変更したりしましたか?」

使用する武器か、俺はシルバーメタルソード(片手直剣)と、両手剣を使っているから、変更というよりかは追加みたいなところがあるな。

「ええっと、変更ではないんですが、片手直剣の他に両手剣も使うようになりました。」

「そうなんですか、わかりました」

そんな、機械的な返事をしたナディスさんは何やらその機械?を操作し始めた。

そして、ウィーンという音と共にカードが発行された。

「はい、できました」

そう言ってナディスさんは俺に新しい身分証明書(ライセンス)を俺に渡してくれた。

そこには

駆け出し級(ルーキー)

 幾星 透

片手直剣、両手剣使い。

到達階層第四階層


と書かれていた。

それを確認し終えたタイミングを見計らっていたのか、見終わった瞬間に

「到達階層はあなたが新しい階層に行くと勝手に更新されます」

謎の便利機能付きだった。

まあ、そこまで気にすることはなさそうだな。

ナディスさんの用事もこれで終わっただろう。

そう思った俺は

「はい!ナディスさんありがとうござ――」

と言って帰ろうとしたのだが。

「すいません。まだ話は終わっていません」

え?

まだ終わってないの?

「というよりかはここからがメインです」

マジですかい。

断るわけにもいかない俺は

「はい……」

と言って従う他ないのであった。


どうやらここからが本題らしい。

「あなたは第五階層に行くと先ほど言いましたよね?」

何回確認するんだナディスさん。

「はい」

なんなんだ。

それほどまでに第五階層に意味があるのか?

別に今までと変わらない、数ある階層の一つだろうに。

「第五階層って何か違うんですか?」

すると、ナディスさんは呆れたように。

「そんなことも知らないんですか?冒険者志望でなくても一度はそういう話を学院に通っていたら聞くはずなんですが」

ガクイン?カヨウ?

となると、前世でいうところの学校のようなものだろうか?

まあ、知らないものは知らない。

だが、義務教育の可能性があるからな。

全く知りませんでした。

だと、何か疑われるかも、しれないしそれこそ俺が異世界転生しましたーという意味不明な出自を話さなければならなくなる。

それは嫌なので

「ええっと、そんなこと聞いたような~聞かなかったような〜」

と言って誤魔化すことにした。

すると、ため息をついたナディスさんが

「わかりました……。もういいです話しますよ………」

と言ってくれた。

「第五階層は混沌の核の中で最初の分水嶺(ファーストライン)と呼ばれています」

最初の分水嶺(ファーストライン) か。

思ったよりなんかあるのか第五階層?

わざわざ話してくれるくらいなのだから、結構重要なことなのだろう。

「なぜそうなのかは学院では教えられません。ですがそこに到達しそうな冒険者にはその理由が教えられます。第五階層から混沌の核は難易度が跳ね上がります。」

難易度が跳ね上がる……そこまでいうほどなのか?

だが、それが比喩でも誇張でもなんでもなくそのままの意味なら相当やばいかもしれない。

「どういう、ことですか?」

「今まで、各階層は、一つの階段で繋がっていましたよね?それがなくなります。」

まじかよ!ってことは

「その階層のどこかにある階段を探さなければいけないってことですか?」

「まあ、そうなりますね。ですが地図を使えばすぐわかります。そして何より第五階層からは冒険者の死亡率が加速度的に上昇します。」

死亡率。

その言葉を聞いて俺は少しびっくりした。

それほどまでに難易度が変わるのか。

と。

「どうしてですか?」

「まず、モンスターの強さがかなり強化されます。」

それは知っている。

もちろん俺以外の冒険者達も。

だからそれ以外に何か要因が……

「そして、その攻撃は死に直接関わるものも増えるようです。」

「そういうふうになって行くのが第五階層以後の階層です」

ナディスさんは淡々と続ける。

「そして、これは第五階層の特徴ですが、第五階層では砂嵐が起きます。」

砂嵐、ってことは第五階層は砂漠か。

にしても嵐ってことは相当なものなのかもしれない。

「その砂嵐が探索にどんな影響を及ぼすんですか?」

「簡単に言ってしまうと危険度がかなり上昇します。曰くそれを見た冒険者は皆口を揃えて砂嵐が来たら今すぐどこかに逃げろ、できれば第五階層から逃げろ、もし嵐に捉えられればそれに全てを飲み込まれる。と言われているほどです。」

うわー、無理無理!絶対近づきたくない!

そんな予兆があったらすぐに逃げよう。

「どうやら、それに飲み込まれた冒険者を見た人たちはそこに飲み込まれた人間で生き残って帰ってきた人を俺、私達は知らない。とのことです。」

ほんとにあぶなそうかな。

ぜったいにちかづかないようにしよー。

「とにかく、これを伝えたかったんです。これで用は終わりです」

衝撃的だった。

もし俺が第五階層を今までので階層と同じ気持ちで挑んでいたら、確実に死んでいた。

そう思えるような内容であった。

だが、そこまで教えてくれたなら、

「すいません、ナディスさん。できれば第五階層のモンスターのことも教えてはくれませんか。」

沈黙が訪れた。

「……」

「……」

「お伝えしたい、というのが本心です。ですが、ギルドの決まりのせいであなたにそれをお伝えすることはできません。」

やはり、か。

もし、ギルド職員にそれを聞けるなら攻略本なんてものは必要ないからである。

というよりはそのことを教えてくれただけ、ナディスさんはかなり優しい人なのだろう。

「わかりました。」

そういうと、ナディスさんは少し悔しそうな顔をして

「すいません」

と言った。

少し悲しいが、ならもう俺がここにいる理由もない、それに少し時間が遅くなってしまった。

支配者(マスター)ももしかしたら俺のことを心配してくれているかもしれない。

もう、帰ろう。

「あの、いろいろ教えてくれてありがとうございました、ナディスさん!それでは!」

そう言って俺はあの家の方向へ行こうとした。

だが、

「待ってください!」

俺を呼び止めようとする声が聞こえた。

「どうかしたんですか?」

「あなたは、明日までに解毒ポーションを買っておくと、いいでしょう。」

「!」

それは、ナディスさんなりの優しさだったのかもしれない。

だけど、それがただただ嬉しくて

「はい!わかりました!」

と、叫んでいた。

俺は手を振りながらギルドから走り、家に帰っていく。

そんな少年を見ていた1人の女性は

かすかに微笑んだような気がした。


そして、ギルドのとある部屋

国談のメンバーが、集まっていた。

そして、

「また、レベル10クラスの冒険者が増えました」

そう、言葉を発したのは

対怪物(アンチモンスター)大臣(マスター)である、

アリア・ヌエコンシスコである。

そして、それを聞いて周りの人々の空気は少し和む。

少しずつ、だが確実に混沌怪物軍団侵攻(カオス・パレード)は近づいている。

今も、彼らはそれがいつきてもいいように最大限の対策をしている。

そして、彼――クリスト全人類代表最高皇帝(インペリヤルロード)は問う。

「それで、アリアよ。」

「はい、クリスト全人類代表最高皇帝(インペリヤルロード)

「レベル100クラスの冒険者はここにいるレオン以外に出てきたのか?」

その言葉に和んでいた空気が先ほどのように、いやそれ以上に張り詰める。

みな、アリアの言葉を待っている。

「申し訳ありません、クリスト全人類代表最高皇帝(インペリヤルロード)、現在レベル100クラスに()()した冒険者は存在しません。」

そこにいる人は俯いていた。

だが、

「ですが、とある1人の魔法使いの冒険者は、もしかするとレベル100クラスに到達する可能性があります。」

ざわめいた。

その室内の空気がざわめいた。

そして、各々の胸に希望が灯る。

そうして、彼らは密かに国民に気取られないように着々と準備を進めていた。

そんな中、騎士は1人思考を巡らせていた。


とある、混沌の核がある失われた楽園(ロスト・シティ)では、少しずつ何かの呻き声が聞こえるようになってきていた。






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