第一章33 新武器が欲しい!
俺、幾星 透はいろいろあって支配者に許されて、また冒険者活動を再開する……。
その後、支配者には俺の防具の修理をしてもらっていた。
流石に疲れたのと、今の俺では防具なしで混沌の核に行くのは、自殺行為なので行かない。
一応ノーマルライトアーマーシリーズもあるにはあるのだが、ちょっと心許ない。
にしても、今の俺に足りないのはやっぱり
攻撃力だろう。
防御力は最悪回避してしまえば大丈夫なのでそこまで問題にはならない。
だが、攻撃力とかは誤魔化せない。
確かに跳重力剣烈もあるが、あれは攻撃するまでの時間がかかりすぎてしまう。
それに今のところはないがもし攻撃を外してしまうと、そのあとは隙だらけになってしまうからリスクが高い。
だから今は、溜めが短くて気軽に出せる技、攻撃が必要だ。
うーん、でも新スキル入手しても使えないしな。
ステータスだって、すぐに上がらないし………。
せめてレベルが上がればいいんだけど。
けど、これだしなあ……。
レベル上昇条件一撃で第三階層階層主を討伐せよ。
これは今の俺では到底できない。
だから、レベルアップには期待できない。
今の俺ができる攻撃力をアップする方法………。
スキルでもなく、レベルでもなく、ステータスでもない。装備を変えたところで強化できるのは防御力だけだし。
装備?
待てよ。
武器。
武器を変えればいいんじゃないか?
今の俺の武器はシルバーメタルソード。
これは、片手で振れる剣。
確かにかなり頑張って買った剣なだけあって、切れ味も使い勝手もいい。
だが、今の俺にとっては一撃の威力が足りない。
なら、もっと威力が高そうで、剣と互換性がある武器が欲しい。
だけど、このまま考えていても想像の域を出ないからな。
それに今日は結果的に休息日だ。
それならちょうどいいかもしれない。
久しぶりに武器屋にでも行ってみよう。
実際に見た方が、イメージも湧くし何より値段もわかる。
値段次第ではまた資金を稼がないといけないかもしれない。
時間は……夕方くらいか。
よし、行こう。
透『すいません!支配者ー。俺、少し出かけてきまーす。』
支配者『そうなのー。
どこにいくんだーい?』
透『ちょっと武器屋までー!』
支配者『わかったよー。なるべく早めに帰ってくるんだよ!あまり心配はかけさせないでおくれよ。』
透『はい!もちろん!』
そう言って俺は武器屋に向かって行くのだった。
俺は武器屋にたどり着いた。
少し懐かしいな。
まあそんなに前に来てから経っていないけどね。
とりあえず武器という武器を見る。
斧、弓、槍、スタッフ。
剣以外にもたくさんの武器があって魅力的だ。
だけど、やっぱり俺は剣がいいんだよね。
スキルが剣で戦いやすいようなスキルばっかりだし、今からわざわざ新しいものに手を出して振り出しからっていうのも時間がかかるし。
ということで、剣がたくさんある場所に行ってみる。
そこには、今まで俺が使っていたような、短くも、長くもない、俗に言う標準的な剣、そして刀身が細い、レイピアが、刃渡りが短い短剣、そして自分の肩までありそうなほど長い、両手剣。
などなど様々な剣があった。
見た目や素材もさまざまでずっと見ていたくなるほどだ。
だけどその分値段も高いと思っていたんだけど。
どうやら、一部の武器は半額になっているらしい。
それも、明らかに強そうな武器だけ半額になっているのである。
最高!まじ最高!
これなら本来俺の手には届かなかったであろう武器が手に入る!
あ、あそこにこの割引のチラシ?みたいなのがある。
ちょっと見てみよー!
そしてそれを俺は読んでみた。
そこには
これから一ヶ月から三ヶ月以内に、混沌怪物軍団侵攻がくる、ゆえに冒険者の皆には強くなってもらわねばならん。心しておいて欲しい。そして、どうかこの国を守って欲しい。
―――――クリスト全人類代表最高皇帝――――――
と、書かれていた。
まず、これをやってくれたであろう、クリストさん?には感謝を示さないわけにはいかない。
まじでありがとうございます。
それで、このチラシの中で最も意味不明なのはこの、混沌怪物軍団侵攻っていうやつだ。
どうやらこれのために武器を半額にしたようだが……。
うーん、全くわからない。
まあ、パレードって言ってるくらいなんだし、多分なんかのお祭りとかなんだろうな。
けど、お祭りにどうして強さが必要になるんだろう。
うーん、あ!
前、っていうか昨日?今日?街を歩いてる時に円形塔状闘技場みたいなのがあったな。
そこで、決闘でも行ったりするのだろうか?
その時に激しい戦いの方が盛り上がる……的な?
まあ、わからないことを考えていても仕方ない。
今はどの武器がいいかを考えるべきだ。
レイピアは、ちょっと使いこなせそうにない。
そんな器用じゃないからね。
もし今も俺が武器スキル《刺突》が使えたらならばまだ使えたかもしれないけどね。
まあ流石に、標準的な剣は買わない。
確かに半額の強そうな武器を買えば強化されるかもしれないが、それは違う気がした。
短剣は、違うな。
短剣は確かに振りが細かくて早い連続攻撃ができるだろうけど、今の俺の問題は威力不足。
だから手数よりも一撃の重さを重視するべきだろう。
なら、俺が選ぶべき武器は………。
両手剣。
これだろう。
確かに今使っているシルバーメタルソードより、手数や細かな動きはやりにくくなるだろうが、威力は格段に上がるだろう。
それこそ、スキル使用時級に。
なら、両手剣の中から選ぼう。
そうして武器を見ていると………。
おおー、これとかすごいな。
それは、銀青色の輝きを放つ両手剣だった。
一目見ただけでわかる。
ああ、これ絶対強い、それどころじゃないかもしれない。
うわ!すげえ半額になっているくせに100万エンカ。
俺が憧れた《宵闇の明星》は今はおそらく5000エンカだろう。
俺が想像できないほどすごいんだろう。
えーと、名前は………蒼炎石の流星。
っていうのか。
かっこいいなあ。
けど何故だろう、《宵闇の明星》ほど惹かれないんだよな。
まあ、すごそうすぎて現実味がないのもあるんだろうけどね。
まあ、まずまず今の俺には背伸びしても逆立ちしてでも手に入らない、指先もかすりもしないような代物なんだから、これを買うことはないね。
他にもたくさんの武器があるけど、みんなまだまだ俺にとっては高いな。
今、俺が頑張れば手に入る資金量はだいたい2500エンカといったところだろう。
となると、もう少し奥の方に言った方がいいかも。
うんうん。
武器の価格が1000から3000エンカ程度になってきた。
うーん、いいものないかな?
あれも違うな〜、これも違う。
あれは〜、うーん、やっぱ違う。
あ!
あれとか良さそう。
ようやく見つけた武器の方に俺は走って行ってしまった。
その剣の名は黒金剛石重長両手剣。
刀身は、黒く、鈍く光っていた。
そこからは《宵闇の明星》とはまた違う、なんらかの気配を感じた。
全長は俺の肩くらい。
俺はだいたい164〜5センチだからだいたい140センチくらいの長さの両手剣だった。
試しに持ってみると、
透『重っ!』
重い、重かった。
今の俺で、少し頑張らないと持てない。
値段は2500エンカちょっきり。
だが、その重さ、剣の長さ刀身の横幅の広さ。
これらを見て、持ってわかる。
この剣から放たれる攻撃はおそらく今までとは比べ物にならない威力だろう。
この武器なら或いは。
よし、決めた。
この剣にしよう、この剣を使って戦っていきたい。
この黒金剛石重長両手剣で。
とは言っても。
今の俺には2500エンカもない。
だから久しぶりに資金を稼がなければならない。
なるべく一つ一つの素材が高くて、多く手に入る素材を集めていきたい。
となると、第二階層がいいかな。
第三階層は、スキル制限がかかってから行ってないし。
あと、倒すテンポも遅くなって、結局非効率的だからである。
それならば第二階層で、ツノシシの毛皮とか、第二階層の木の枝でもとって資金を稼ごう。
第二階層の木には毒とかはないから安心して採取できる。
多少忙しいかもしれないけど。
この後の俺が楽できるように頑張ってみよう。
楽するために苦労するっていうやつである。
目的の品を見つけた俺は満足して、支配者の家に帰っていくのだった。
透『支配者!ただいま!』
支配者『おかえり!どうだったんだい?いい武器は見つかったのかい?』
透『はい!見つかりました。』
支配者『エンカ足りないなら貸そうか?』
そんなことを言ってくれた。
優しすぎるだろ。
だけど、それは受け取れない。
透『気持ちは嬉しいんですけど、大丈夫です!』
支配者『?いいのかい?』
透『はい!自分のことはなるべく自分でやりたいので!』
そう、最大限俺は支配者に負担はかけたくないのである。
透『って、住む場所とか、ご飯とか、衣服とかは支配者に頼りっきりなんですけどね。』
支配者『それはそういう約束だろう?気にする必要はないんだよ。その分君には頑張ってもらうけどね♪』
とあの時俺を見つけて拾ってくれたときのような笑みで言ってくれた。
本当に頼りになる人だなあ〜。
だけど、甘えてばっかりじゃダメだよね!
透『はい!もっと強くなってもっといい素材を集めてきます!』
支配者『うん、頼んだよ!』
信用してくれるのも、期待してくれるのもとても嬉しいことである。
その期待に恥じぬように、もっと早く強くなりたい、強くなろう!
そして、それを実現するために頑張ろう!
そして、後日。
支配者によって修正された白防具シリーズが戻ってきた。
あれ?
修正どころか、なんなら少しすごくなってそうなんだが。
透『支配者!これって、もしかして……』
食い気味に支配者は言う。
支配者『ふっふっふ。透君も気づいたかい?この、白ライトアーマーシリーズver.2に!』
そう言って、支配者は誇らしげに胸を張っていた。
そして、
支配者『この白ライトアーマーシリーズver.2はね、君が余分にとってきてくれた白鉱石を使って強度をあげたんだ!君のステータスだったら、そんなに重くないと思うよ。』
確かに、今までの白ライトアーマーシリーズに比べて、この白ライトアーマーシリーズver.2は少し重かった。
実際多少分厚く、ごつくなっているので、当然と言えば当然なのである。
だが、
透『確かに、今の自分にとっては問題ない重さですね。』
支配者には言っていなかったが、実は俺自身、もとの白ライトアーマーシリーズはかなり軽くて、身に付けてるかちょっとわからなくなってきていたのである。
だが、この白ライトアーマーシリーズver.2には確かな重さがあるので、しっかりつけている感も出そうだし、何より、防御力が高くなっていそうなので、すごい嬉しい修正である。
これに、あの両手剣黒金剛石重長両手剣が使えれば、スキル制限前レベルに、いや、それ以上に強くなれるかもしれない。
て言うか、俺って恵まれてるよな。
防具を無料で提供してもらえるだけでなく、強化までしているんだ。
こんな環境当たり前ではないだろう。
俺は前、ここまで来れたのはスキルあってこそ、と言っていたが、違った。
訂正、支配者が防具とかを提供してくれている。
そのおかげだろう。
確かに、今思うと、今まで、死にかけたことが何度も何度もあったが、そのギリギリの局面で俺を救ってくれたのは、間違いなく支配者が作成してくれた防具のおかげだろう。
ゴブリンの時も、ツノシシの時も、謎の黒い部屋の時も、変異種の時も、そして、昨日だって俺を確かに守ってくれていた。
本当にありがたい環境である。
そして、俺は
透『支配者ー!』
支配者『?どうしたんだい透君?』
透『いつもこんなふうに防具を作ってくれたりして、
本当にありがとうございます!』
支配者『ふふ、いいんだよ。どういたしまして。』
そう言って、彼女―――支配者は可愛く笑うのだった。
俺は支配者とご飯を食べた後、混沌の核に行くための準備をして、今はその道中である。
今日、実際にこの防具、白ライトアーマーシリーズver.2を装備してみたのだが、確かに少しごついが、全然軽い。
これなら、もっと防具を使った戦略や、戦闘方法がありそうだ。
最近の悩みのひとつである。
《ディフェンスレートアップ》が使えなくなったことによる防御力の低下。
これもかなり解消されそうである。
ま、その性能を試すためにも早く混沌の核に行かなきゃな。
そして、あの両手剣、黒金剛石重長両手剣を手に入れるために資金も集めなきゃ行かない。
やることはまだまだありそうだ!




