第一章30 連鎖!
支配者に最大限良質な素材をたくさん届けたいと思っていたのだが、いろいろあって15匹のツノシシに狙われていた。
やばい。
俺のいた位置を狙って突進してくる。
なら、そこにとどまればずっとそこだけに突進するっていうこと。
かなりリスクは高いかもしれない。
だけど、やればこの状況が一気に好転する。
とりあえず、それをやるにしてもまず前提が成立しないと100%不可能だ。
とりあえず、下に剣を構える。
そして残っている4匹が今から突進してくるだろう。
うち3匹の突進は回避する。
そして、最後の1匹は―――
来た!
まず、さっきのツノシシの突進11連鎖を避けた時と同じように回避する。
よし、成功。
そして最後の1匹。
ここが一番重要だ。
まず、急停止。
そして剣を下に構えたまま。
ジャンプ!
そう、この倒し方はまずこれで避けれなければ成立しない。
だから、頼む!成功してくれ!
嗚呼……駄目だ 高さが足りない。
けど、それも折り込み済み!
下に構えた剣で足に攻撃してくるであろう突進を
受け止めてみせる!
透『ハアアアアア!』
どうにか受け止めることに成功。
だけど……
これでダメならどうすればいいんだ?
せめてスキルが使えれば状況が変わるのに。
いや、待てスキル?
使えるかもしれない。
いや違うか、一つだけ今でも使えるものがある。
俺にかかっているスキル制限。
それのルールは
一度倒した敵に攻撃しようとすると、効果が失われる。
そう攻撃しようとすると、効果が失われるのである。
逆に言えば攻撃しようとしなければスキルは使える。
だけどこれは防御ならオーケーということでもなくて。
それはもう試している。
だから防御は無理。
今完全に使えないスキルは
《コネクトスラッシュ》
《会心刺突》
実質防御できないから使えない
《ディフェンスレートアップ》
また今火を出しても、それを付与しても意味がないから
《火素作成》
《付与》
だけど、一つ攻撃にも防御にも関わっているが、実質それ以外のためにも使えるスキル、つまり
身体能力だけを高めるスキルがある。
それが《筋力増加》
これは攻撃、防御にも使えるが、本来の能力は力の上昇。
俺はこの効果を今まで攻撃、防御に使っただけで別にそれだけにこだわる必要はない。
なら、身体能力が上がるのなら!
ジャンプ力も、足の筋力も増加
できるだろ!
透『ッ………《筋力増加》!』
まずは11匹の突進を回避。
成功。
そして後続の3匹の突進の回避。
成功。
そして最後の1匹をさっきと同じように剣を構えて、
跳ぶ!。
さっきより、高い。
そして、飛んでる時間も長い。
これならできる。
アレが!
また、状況はさっきのように11匹の突進準備から。
だけど、今からその状況をもう振り出しには戻らせない。
そしてさっき跳ぶことに成功したから、もう一つの不安。
ツノシシがこちらに飛んでくる可能性。
これも消えた。
なら、完全に成功するはず。
まず、1匹目の時点で跳ぶ。
コイツらの突進の速度ならギリギリ跳んでる間に終わるはず。
終わらなかったらツノシシの身体を足場にもう一度跳べばいい。
そして、なぜ跳んだのか?
それはコイツらを同士討ちにさせるためである。
コイツらは俺のいた場所を狙ってくる。
だが、コイツらには弱点がある。
そう、左右はしっかり狙えるけど上下は適当……いや、無視して突進してくる。
なら、跳べばそこにいると思っているツノシシは同じ場所に突進してくる。
それに木の前で跳べば?
まず1匹目は木にぶつかり停止。
だが、他の10匹は?
彼らは本能のままに突進してくる。
仲間のことも無視して。
それはついさっき、まあ何時間かたっているんだけど。
あの2匹ペアのツノシシが証明している。
だから、
その木の方向、俺がいた場所に残りの10匹は突進する!
つまりその1匹に次のツノシシが、その次のツノシシに次の次のツノシシに………というふうに、同士討ちの連鎖が起こるはず。
という意図を持ってこれを実行した。
そしてその机上の空論は実現になることになる。
俺は今、跳んでいる。
そして、眼下のツノシシは今まさに俺がいた場所、いいや、俺がいるであろう場所、さらに言えば今まさにツノシシが木にぶつかり怯んでいるところに突進している。
かなりグロテスクな表現になるかもしれないが。
ツノシシがツノシシに突進する、つまり同士討ちをしているときの音とか光景が凄惨で……。
その具体的にいうのなら
グチュ という音と共に生暖かい紅の血が身体中を無差別に侵食してくる。
まあ、だけど作戦は何一つ狂いもなく成功している。
だって今も
どんどん敵が敵を倒してくれている。
1コンボ!2コンボ!3コンボ!4コンボ!……
というような効果音が聞こえそうなほどである。
うーん♪音とか血がなかったらかなり爽快感がある絵なんだろうなぁ。
このどんどんツノシシが倒されていく爽快感とグロい音と血が反発しあってギリグロさが勝ってしまう。
だけど、これで最後。
もちろん11匹の内最後の1匹に突進するツノシシはいないし残る4匹もまだこちらの様子をうかがっている。
ここからが本番。
ここからはノリと勘と運で乗り切ろう!とこの作戦を思いついた時は考えていた。
だが、作戦を実行している途中、嬉しい誤算があった。
そう間接的になら《筋力増加》効果は使用可能ということがわかったという誤算である。
これがあれば考えているよりもより現実的な倒し方ができるかとしれない。
そして俺は再度《筋力増加》で己が身体を強化する。
コイツらは良くも悪くも順番に突進してくる。
つまり立て続けに突進することもない。
つまり一撃で1匹ずつ倒せばいい。
俺にはそんな火力は今はもう出せないと思っていた。
だけどこのスキルがあれば可能だ。
ほれ、また突進してきた。
少し早めにジャンプして剣を高く振りかぶる。
そしてこれくらいで……
攻撃する!
という強いイメージ。
すると全身の筋力が元の状態に戻るのを感じる。
同時にさっきの作戦のときの落下速度に比べて明らかに速く落下する。
そしてツノシシが目の前に来ら、そのタイミングで!
剣を振り下ろす。
すると、ツノシシの身体は綺麗に切れて、消えた。
そう、これも間接的なスキルの使い方。
高く跳びそこから落下する時にかかる重力を利用することで自身の限界以上の攻撃力を出すというものだ。
名付けるなら
跳重力剣烈と言ったところだろう。
まあこれはスキルとは全くの別物だけど。
けどこの攻撃ができるのであればほぼ確定でもう大抵のモンスターは心配ないだろう。
まあ 一つ問題点があるとするならば、この跳重力剣烈は使うたびにmpを確実に5は消費するところだろう。
うーん、燃費がいいのか悪いのか。
だけどスキルが使えない今の俺にとってはありがたすぎる攻撃手段と言えるだろう。
そしてこれと同じ流れで残りも倒したのだった。
いやあ危なかった危なかった。
まじで死ぬかと思った、、、
今の俺にツノシシ15匹は厳しいって。
だけど結果的にかなり使える攻撃手段もできたわけだし。
ハイリスクハイリターンだったな!
いや、リターンはハイではないかも。
ていうかこれがあるなら別に第三階層に進出しても特に問題とかはないのでは!?
と思ったと同時にそれはかなり愚かな思考であることに気づいた。
装備品は傷つき、血に汚れ今にも壊れそうな感じだ。
この状況で進むのはあまりに危険である。
それになぜか俺が戦った跡地、正確には俺の作戦が実行された場所には血に汚れたツノシシの死体があった。
どういうことだ?
ふつう、モンスターは倒されたら灰となって消えていくはずだ。
それになんか、臭い。
今まで、一度も嗅いだことがないようなそんな匂い。
まあ、汚いけど、とりあえず拾っておこう。
けど、このままじゃとても渡せるものじゃないよな。
そう言えばギルドに行く道の途中で、川とかあったからそこで……
いや、ダメだな。
シンプルにどこで使うのかも知らない川を血で汚すのもどうかと思うし、やめておこう。
それでなんらかの犯罪になったら最悪だし。
というかこれはドロップアイテムと言えるのか?
なんか完全に別のものな気がする。
ていうか、もしこれの毛皮とったら死体荒らしをしているようで、気がひける。
なので、これは放置!
うーん、帰ろう。
とにかく今日はこれしか集めることが出来なかった。
悔しいけど、これが現実だ。
次は次こそはもっといいものを多く集めてみせる。
支配者には素直に謝ろう。
それと、その理由も話しすぎない程度に、わかるように話してみよう。
まあ、あくまで聞かれたらだけどね。
余計なことは話さない方がいいだろう。
口は災いの元って言うしね。
使い方間違ってないよね?
まあ多分大丈夫。
俺は誰にしゃべってるんだろ?
まあ、そんなことはどうでもいい。
そして俺はゆっくりとギルドに転移するための魔法陣へと向かっていった。
魔法陣がある場所にて
相変わらず灰でいっぱいな場所だな。
ここに前までは最先端の都市楽園があったなんて、全く考えられない。
どんな都市だったんだろ。
前世より発展してたのかな?
もしそうだったらすごいな〜。
しかし、最近気になることがある。
何処かから鳴き声?のようなものが聞こえる時がある。
幻聴だと思うけど。
もしこの周りに死ぬほどモンスターがいたら
怖いなあ。
そんなホラーな想像はあくまでその域を出ない訳で。
帰ろう。
透『座標転移』
ふう、まじで疲れた。
ていうか明かる!
そっか俺徹夜で頑張っていたのか。
もう朝、支配者には心配かけちゃったかな。
だけど、ステータスは測ろう。
場合によっては……
幾星 透
ステータス
レベル4
レベル上昇条件一撃で第三階層階層主を討伐せよ。
HP158→167
MP120→127
STR137→145
DEF125→130
AGI148→165
???75→80
武器スキル
《コネクトスラッシュ》
《会心刺突》
能力上昇スキル
《筋力増加》
《ディフェンスレートアップ》
常時発動スキル
《アラガウモノ》
追加効果
一度討伐したモンスターに対し、《アラガウモノ》を除いた全てのスキルの効果が失われる。
魔法
《火素作成》
《付与》
お、結構ステータス上がってるみたいだな。
跳重力剣烈を使用したからかmp、STRも多少は上がった。
何より、AGIがかなり上がったみたいだ。
確実にツノシシとの命懸けの追いかけっこが影響しているのだろう。
まあ、今回のステータスについてはそんなところだろう。
そして、用が済んだ俺は支配者の家に帰る。
道中。
ずっと周りからの目が痛い。
いや、まあこんなに平和で賑やかな街の道を、血まみれでボロボロな装備を着て一人で歩いている奴がいたら、そりゃ気にもなるよな。
支配者の家に帰るこの道の前、もはやギルドにいた時から結構辛い視線を送られていたんだけど。
それに、川も何に使われているのか気になって、ちょっといろいろ探してみた、すると、あの判断してまじで良かったと思った。
いやだって、この川。
馬鹿みたいにデカくて、色々な家庭とか様々な設備に使われていたからである。
この水をあのツノシシの血で汚したら大変なことになっていただろう。
それこそ、支配者に多大な迷惑をかけてしまうし、それどころか俺の異世界転生生活THE ENDだったかもしれないからな。
それだけはごめんだ。
そうして街を歩いて気づいたことが一つある。
この街とんでもなく広い。
確かに今考えれば人間の都市なんて呼ばれているんだ、そりゃそうだと言われればそうなのだが。
にしてもここまで広いとは。
ちょっとだけ引いた。
俺が転生した場所はどこぞの辺境の地でもなんでもなく、この都市であるニュールソナーであると、再認識した瞬間であった。
ていうか俺は支配者の家に帰って、支配者に身の無事を報告して安心させるんだった。
何してんだ、俺?
寄り道にしても長すぎる寄り道になってしまった。
そして俺は支配者の家の前にこれたのだが、
なんだろう気まずいな。
無断で混沌の核に再度はいって、帰ってきたらこんなボロボロになってました〜!
というのが今の俺だ。
前、とにかく死ぬなみたいなことを言われたのに、この様だ。
ああ、憂鬱だ。
支配者のために頑張ったけど、もしかして自己満だったのかなあ……
だけど、迷っていてもしかたがない。
ここに戻ってくる前に決めていたじゃないか。
言えることを正直に言おう!って。
だから扉の前でクヨクヨして悩んでいる場合ではない。
そうして、俺は覚悟を決めて扉を開けて………………
透『帰るのが遅くなってすみませんでしたーーーー!』
と、謝罪したのだった。




