第一章26 奇縁
俺は冒険者レグと共に変異種である。麻痺木蜥蜴を倒すことに成功したのだった。
レグと別れた後俺はすぐに支配者の家に向かっていた。にしても本当にいい冒険者に出会えた。いいたいこともわかってくれるし、連携もできたし、大変だったけど楽しかったなあ。なんてことを思いながら、俺は家についた。今日は多少帰る時間が遅くなったが、まあ許してくれるだろう。
透『支配者ただいま!』
支配者『おかえり!……?今日は楽しそうだね。何か嬉しいことでもあったのかい?』
あれ、俺そんなに楽しそうな顔していたんだ。まあ実際楽しかったのだから無理もない。
透『そんなに楽しそうな顔してましたか?』
支配者『うん、いつもはだいたい帰ってきた時は、真顔か疲れていた顔をしているのに今日の君の顔はキレイで、活気にあふれている顔をしているから、すぐ違いに気づけたよ。』
あれ〜。そんなにいつも疲れた顔していたんだな。
自分のことは自分が一番わかっているという人がいるが。それは自分のことをしっかり見えていたり、見ている人だけだと思う。だから俺はこの自分のことは自分が一番わかっているという人のことはあまり理解できない。
まあとにかく俺は支配者に今日の冒険の話をした。
そして話終えると。
支配者『いや、どうして楽しそうな顔を出来るんだい?君は?だいたいその変異種とかいう超危険なモンスターに襲われている人をよく助けようと思ったよね。』
?そんなに変なことだろうか。困っている人がいたら助ける。これは当たり前のことなのではないのだろうか。なのになんで支配者はそんな不思議そうな顔をしているのだろうか。
透『?何か変ですか?』
支配者『いやいや、そんな危険なモンスターに自分から向かっていけるだけで充分すごいと思うよ。私なら行けないと思うよ。』
そ、そうなのか。まあ人は人自分は自分だしな。全人類が同じ考えならば戦争、ていうか喧嘩すら起きねえだろうしな。
透『あ、支配者。これ、とってきましたよ。』
そう言って俺はデカイトカゲのドロップアイテムを取り出して、支配者に渡した。すると、
支配者『やった〜!ありがとう、透君!』
そう言ってとても喜んでいた。そして、
支配者『透君、明日までにはこの素材を使った防具を作るから楽しみにしておいてね。』
まじか、明日までに作ってくれるのか、それはありがたい。まあ、今から言うことはかなり傲慢かもしれないが。
透『すいません、明日は休んでもよろしいでしょうか、連日異常事態続きで一度休みたいんです。』
支配者『んー、わかったよー。ゆっくり休んでこれからも頑張ってくれよ。』
え、許されるんだ。まあ、ありがたいことだし、しっかり休ませてもらおう。
透『ありがとうございます!』
支配者『それに、いつも頑張ってくれているし、ここで潰れてしまうよりは全然マシだからね。』
そして、俺はベッドに寝転がりそのまま寝たのだった。
朝
今日は、急いで準備をして混沌の核に行く必要はない。だからちょっとだけ、ちょっとだけ二度寝しようかな……
支配者『透君〜、ご飯の準備できたよー。』
ダメでした。流石に二度寝は許されないようだ。まあいい。とにかく降りよう。
いつになっても本当に支配者のご飯は美味しいから、毎日の楽しみでもあるのだ。
透『おはようございます』
そして俺はご飯を食べるのだった。
その後
支配者『私は自分の部屋で防具を作ったり、店の仕事したりしてるから、自由にしていてくれ』
透『ありがとうございます。』
自由に、と言われても何をすればいいのだろう。まあ、所持金はいろいろなモンスターのドロップアイテムを売ったりして1,000エンカくらいは貯まっている。そうして俺が1番最初に思いついたのは、街をぶらつくことだった。俺としては夜の街は見たことがあるのだが、昼の街は初めて見るので、なんというか新鮮だった。
途中、少しボロそうな薬屋を見つけた。なぜかはわからない。だが、入ってみたくなったのだ。
そこには本当に最低限のポーションしかなかった。だが、そのポーションの容量は多少多かった。それぐらいしか特徴はなかった。そこには一人くらいしか店員はいなかった。そしてその人は
???『いらっしゃいませ』
たった一言、そう言った。
その人は碧みがかった黒色のポニーテール、身長は俺よりも結構高く、声音は透き通るような、甘美な声だった。年代的には俺の世界で言う、高校生くらいの可愛くて、キレイな女性だった。
こう思うのは失礼かもしれないが、こんな店にいるような可愛さではなかった。だが、まあそれをいうほど俺は空気が読めないわけではない。
???『大丈夫ですか?ボーッとして?』
やばい、ちょっと見惚れすぎたかもしれない。
透『すいません、大丈夫です。』
いや、だってさ。俺中2だもん。ちょっと気になるじゃんそういうの。
というのは一旦おいておいて。
なんというか申し訳なくなったので、俺はこの店のポーションを一個くらい買おうと決めた。
透『すいません、このポーションはどれくらい回復するんですか?』
???『それですか?それはhp mpを両方とも20回復させるものです。』
両方?まじか、いいポーションじゃん。なのになんで売れないのだろう?
透『何円ですか?』
???『え?今なんて?』
あれ俺、なんて言ったんだっけ?
何………円、あ、やばい前世の感覚で何円って言ってしまった。まず―――
???『あなた今、何円って言いましたよね。まさかあなた、日本人………ですか?』
透『え?』
ニホンジン?って言ったのか、日本人?いやいや、この世界にもたまたま似通った地名があったのかもしれない。
まあ、だいたい名前でわかるだろう。
この世界の人間はだいたい前世のアメリカ人とか少なくとも日本人のような名前の人はいない。まあ、使っている言語は日本語だから変な感じはするのだが。どうせこの人も……
透『すいませんがあなたの名前を教えてもらってもいいでしょうか。』
???『名前は彼岸 星華です。』
彼岸 星華、今まで聞いたことはないが、日本人のような名前だ。まさか……本当に?
透『すいません、先ほどの日本人というのは、地球という星の一国である、日本人であっていますか?』
星華『はい、それであっています。ということは本当にあなたは……』
星華『日本人なんですか?』
透『はい。自分は………日本人。あなたと恐らく同じ転生者です。』
星華『ちなみに君の名前は?』
透『幾星 透です。』
奇跡だった。もし、この店に入ろうなどと思わなければ確実に出会えていなかっただろう。
そしてある程度の間。出会えた喜び。孤独からの解放の感動をした後。
透『あの、自分、定期的にここにきますね。』
星華『うん、そうして欲しいかな。そしたらうちの店主さんも喜ぶだろうし。』
そう言って俺はこの店を出るのだった。
そういえばポーションを買っていなかったな。と俺は思い出した。けど、そんなのは正直言ってどうでもいい。今はただ嬉しいのだ。遂に見つけた同郷者があんなに可愛い、そしてキレイな女性なんて!冷静でいるなんて中2の俺には無理に決まっている。それに実質、いやほぼ確実に定期的に会えるなんて、最高じゃん!
なんてことを思いながら俺は街をぶらぶらしていたのであった。
夜支配者の家
透『ただいま!』
支配者『おかえり。今日も元気だね。休みをそんなに楽しく使えたのなら何よりだ。まあ、どうしてなのかは聞かないけどね。』
聞かないんだ。まあ、それはそれでいい。
支配者『透君!防具できたよ!』
おおー!出来たんだ!今日はいいことづくしだなあ。こんなことが続けばいのに。
透『どんな防具なんですか?』
支配者『今回の防具は〜これ!』
そう言って支配者が見せてきたのは靴?いや、靴ではない。それは靴の未完成バージョンのようなものだった。
透『あの、すいません支配者、これ完成しているんですか?』
支配者『?ああ、もしかして君は追加装備を知らないのかい?』
知らない。
そんな当たり前の常識みたいに知らないことを言われると、なんか悲しくなるからやめて欲しい。
透『知らないです。』
支配者『そうなんだ。じゃあ説明するね。追加装備って言うのは……。うーん。
まあ、今君がつけている防具あるでしょ。』
透『はい。あります。』
支配者『その防具につけるものそれが追加装備だよ。』
うーん、つまり……リュックにつけるキーホルダー的な?
多分その認識であっているだろう。
支配者『そしてこの追加装備を明日の冒険の時につけて行って欲しい。そしたら多分何かが変わると思うよ。』
へぇー。リュックにつけるキーホルダーという認識は甘かったようだ。特殊効果?的な何かがつくとなるとかなりいいものなのではないのだろうか追加装備。
透『ちなみに支配者!その追加装備、どんな効果があるんですか?』
支配者『それは明日のお楽しみだよ。透君。少なくとも君にとってデメリットにはならないだろうから安心してつけてくれよ!ちなみにその追加装備の名前は……いや、これをいうと効果がわかってしまうね。まあとにかく明日にはわかるさ。』
そう言って支配者はその追加装備を俺に渡してきたのだった。
明日の冒険では新要素がたくさんあるから楽しみだな。
まず、今手渡された新しい防具。
そして、昨日手に入れた魔法!
この2つを試せるなんて、最高じゃないか。
て思っているが、明日俺は今回の第三階層の階層主とも戦う予定なのでとても楽しみである。
今までの階層主にはなんらかの特殊能力、特殊効果があった。今回の第三階層の階層主も恐らくそのような特殊な何かを持っているだろう。どんなことが起きてもほぼ大丈夫なように用意をしよう。まあ、防具も剣も全然大丈夫だし、まあ何か準備できたとしても、ポーションくらい…
あっ!ポーションといえば!そうだ。せっかくだし星華さんのところに行こう!買うって決めたのに結局買わなかったしな。まあそれとギルドの近くの薬屋でいつものポーション買うことにしよう。
そう決めた俺は明日への期待を膨らませながら今日を終えたのだった。
朝
よし、今日はやりたいこと、やることがたくさんあるから頑張らないと!そして俺はいつもの準備をした後家を出るのだった。
まず、ポーションを買わないといけないな。いつもならギルドのポーションを買っているのだが、今日はあの薬屋のポーションを買おうと思っている。まあギルドのポーションを買わないわけではないのだがな。
それに星華さんに会えるかもしれないし。
そして俺はあの薬屋に行ったのだった。
星華『いらっしゃいませ……あ!透君じゃない。』
透『おはようございます』
ほんとにキレイな人だなあ。
じゃなくて!今日はポーションを買いに来たんだった。
透『すいませんこれお願いします。』
そう言って俺は星華さんのところに行き、ポーションを渡した。
星華『これですね。これは50エンカです。』
50エンカか、多少値段は高いが同時回復はそれでもいいと思えるほどに魅力的なので、必要なお金だと思って割り切ることにした。
透『お願いします。』
星華『50エンカ、確かに受け取りました。』
星華『ポーションを買っているということは君は冒険者なのかな?』
透『はい、一応冒険者をやっています。て言っても知らないことばっかりで振り回されっぱなしなんですけどね。』
実際この第三階層の階層主と今日は戦うが今に至るまで知らないことがたくさんあったから、やっている。というよりかはギリギリ成り立っているくらいなのである。
星華『そうなんだね!』
そして、
星華『それなら、いつか会えたらいいね。』
と、俺には聞こえない声で言った。
ん?今なんて言ったんだろ?まあいいか。
星華『それじゃ、頑張ってね。』
と、ポーションを渡しながら送り出してくれたのだった。
誰かから、応援されるのってとても嬉しいことなんだ。と、俺は感じた。
そして俺はギルドのポーションを多少買った後混沌の核に行った俺は一度第一階層に来ていた。
理由は一つ、魔法を試すためだ。
スライムなら攻撃も攻撃じゃないし、避けるとかそういう行動もあまりしないから試し撃ちには丁度いいと思ったからである。
ということで早速、
透『火素作成!』
俺は、この魔法により何が起こるかがわからないためとりあえず手に宿らせるイメージで魔法を発動した。
すると俺の手に火が灯った。
しかし、俺の手は燃えるわけではなかった。
試しにこの火をスライムに近づけてみると、
スライムが焼けた。攻撃をするつもりで火を当てると、それに対し、現実の火と同じ効果を発揮するのだろうか?
まあ、それは今後検証していくとして、次は
透『付与』
俺はこの火が俺の剣に移るイメージでこの魔法を使った。
すると、俺の剣に火がついた。
おお!すごい。剣自体は燃えていない。だが、周囲には火の影響が出ている。今俺自身そこそこ熱さを感じている。
ちなみに手についていた火は消えている。剣に乗り移ったのだろう。
だが、驚くほどの温度ではない。また、スライムに試し撃ちすると、面白い現象が起きた。
まず、スライムを切断した。すると、スライムは分裂したのだが、その断面があった場所から火がついて、スライムを燃やし尽くしたのだ。
だから、切る→燃やす。と言った感じだった。見た目的には本当に火属性の剣。というものだった。
それに、切ったら終わりとかいうわけではなく、いまだに燃え続けている。となると、シルバーメタルソード+火素作成は、シルバーメタルソードとはほぼ別物と考えていいだろう。
名前をつけるなら、そうだな。鉄火剣。そしてそれによる攻撃を断火。とでも名付けよう。
理由は、シルバーメタルソードのメタルと、火素作成のファイアをとって、鉄火剣。
そして、火による断絶という意味で、断火。
である。
にしても魔法って最高だな!
ちなみに防具につけたらどうなるんだろう。
透『火素作成、付与!』
とりあえず白チェストプレートにつけてみたら、防具の周りに火のようなものがついた。
丁度スライムが攻撃してきたので、このチェストプレートで受け止めてみる。すると、スライムが焼けた。
ということは先ほどの手に出現させた火素作成のように自分は焼かず、他のものを焼くような状態なのか。
これも名付けるなら、炎の壁と言ったところかな。
火素作成のファイアを炎として解釈して、防具を壁と見立てて、決めた名前である。
ということで、魔法の検証もだいたい終わったので、次は第三階層に行って、新しい防具を試してみようとおもう。
なぜ、第一階層で試さないのか?
それは支配者が家に出る直前、第三階層で使って欲しい。と言ったからである。
ということで第三階層に俺は行った。
支配者によると。どうやら、追加装備は、その場でつけたり外したりできるようだ。ということで、第三階層に来た俺は、すぐさま足にそれをつけるのだった。
まあ、つけた感想としては、特に何も感じないというのが本音である。今俺に何かしらの追加効果がついているのだろうか?そう思っていると、どこからかデカイトカゲが現れた。まあ仕方ないので戦闘をすることにした。
とりあえず、距離を離すために後ろに―――!
その瞬間、俺はこの防具の効果を理解した。
この防具の効果は、泥による、足の気持ち悪さ、移動速度のある程度の減少を無効化する、いやそれどころか移動速度の上昇と言えるようなものだった。
理由は簡単だろう。
泥の地面でも、変わりなく動けるデカイトカゲの皮膚を使っているんだ。そりゃ、泥の地面でも全然動けるようになるわけだ。
そしてこの移動速度が上がった状態なら、簡単にデカイトカゲを倒せるだろう。
なら、火素作成+付与を剣に施した鉄火剣による断火も試してみよう。
mpは、今日はまだ、《ディフェンスレートアップ》を使って10mp、火素作成と付与による実験を2度行っているため、32mpを消費しているが総mp量の112には全然届いていないのでおかまいなく、
透『火素作成……付与……鉄火剣、断火!』
機動力が向上した俺はより的確にデカイトカゲの真ん中あたりを狙うことができた。
そして、そこを断火により切断し、その断面から火が燃え上がり、デカイトカゲを焼き尽くした。
おお!スライムの時はよくわからなかったが、鉄火剣、断火。これはかなりすごい攻撃なのかもしれない。
これなら今回の階層主は簡単に倒せたりして………
そんな淡い期待を抱きながら俺は階層主部屋に行くのだった。




