第一章25 伐採
俺は変異種の麻痺木蜥蜴と戦っている。なんとか冒険者さんの麻痺が回復したが、俺はある実験をしようとしていて……
冒険者『え?ちょっと待って?』
そして俺はその血に触れた。
触れたと言っても本当に左の小指の先なので多分大丈夫。
すると、俺の左小指に変化が起きた。少しづつ腐食し始めたのである。麻痺とは違い少しづつ俺の指先が侵食されていく。感覚は残っているが、だからこそ痛い。それに、左小指の指先にとどまらず、どんどん俺の手全体を侵食し始めている。このまま何もしなければ俺の左腕全部、いや全身が腐食しきる可能性がある。だからまずはポーションを飲んでみよ………って左手はもう使えないのと同じだし、右手は麻痺しているのか。とりあえず、まずは情報提供をしないと、
透『あの!こいつの血には腐食効果がついているので、確実に触れない方がいいです!ていうかまともに攻撃しないで、防御することを考えてください。とりあえず自分の体に薄防御をした方が……』
冒険者『いや、できない。薄防御は自分以外の人間にしか効果がないんだ。だから僕はこのモンスターの攻撃を受けてしまったんだ。』
まじか、確かにそれなら攻撃を受けてしまった理由にも納得がいく。しかし、自分以外の人間にしか効果がないのか、薄防御……。有能だが、自分に使えないのなら、この人はきついだろうな。せっかく手に入れたスキルが他人専用でした。なんて。
俺だったらまじで落ち込むだろうし。
しかし薄防御が自分に使えないのならもし攻撃ができたとしてもそれはただただ自分の身を滅ぼすことになる。だから
透『それなら、今は攻撃はしないでください!今は防御だけにしておかないと、こうなりますよ。』
そう言って俺は自分の左手を冒険者に見せる。
すると、冒険者は
冒険者『うわー、痛そう、流石に僕もそうなりたくはないから、君のいうとおりにするよ。あ、いい忘れていたけど、僕はドウノ・レグ。気軽にレグと呼んでくれ!』
透『そういえばまだ自分も名乗っていませんでしたね。自分は幾星 透です。この戦い絶対勝ちましょう!』
そう言って冒険者――レグはモンスターの攻撃を防御することだけを意識するようになった。
レグside
どう考えてもおかしいと思う。
まず、普通復活した途端に、今からとある実験をするので動けなくなる可能性があります^_^
って。せめて、何か断りがあればさ、まだ理解できるのにな。と僕、ドウノ・レグは思うのです。
さっきだって僕が薄防御を発動していなかったら多分死んでいた。という状況を経験したにも関わらず何を考えているんだろう、この幾星 透とかいう冒険者は。
そう言いながらも、レグはかなりこの幾星 透とかいう冒険者には感謝しているのである。
実際この無遠慮な行動には腹を立てているが、彼がいなければ今頃もう死んでいるのも事実ということをわかっているから、今も逃げ出さず、必死に彼とこの場を納め、生きて帰ろうとしているのである。
彼はレベル5の冒険者である。
だが、持ち合わせているスキルは、先程から使っている
防御魔法薄防御と、武器スキル《刺突》だけなのである。しかし、彼の持つ《刺突》は幾星 透の持つ《刺突》とは効果が異なる。幾星 透の《刺突》は、剣により、攻撃対象を突く時、刺しやすくなり、衝撃波が出るようになる
というものである。
だが、レグの持つ《刺突》は
短剣により対象を攻撃する時、攻撃力、貫通能力が向上する。
というものなのである。
つまり同名のスキルでも効果が違うことがわかる。
そしてレグが主に使う武器は短剣である。
短剣は、幾星 透の持つシルバーメタルソード(約85cm)
を基準とし、10と表すのであればレグの持つ短剣は3、多めに見ても4程度である。だからかなり接近しなければ攻撃が当たらないのである。だからこそ油断していたレグはこのモンスターを普通のデカイトカゲと見間違え、重い一撃を喰らったのである。
また、なぜレベル5の冒険者であるレグが苦戦しているのに、なぜレベル3である幾星 透がギリ対応できているのか。それは一旦置いておこう。
くそ、僕の頼みのスキルである《刺突》も現状では使えない。もし、僕の短剣がこのモンスターを貫いてしまったら僕の顔、いや全身は彼の左腕のようになってしまう。それだけはごめんなので頑張ってスキル無しで対応している。
そうして時間稼ぎをしていると、何やら彼がいた方から何かを切る音がして………。
透side
やばい。とにかくこの腐食が侵食してしまった左腕をどうにかしないとやばい。だが、もうそろそろ右腕の麻痺が解けるはずだ。その時が来たら、やろう。多分これが今は一番手っ取り早い。そしてレグさんに戦闘をしてもらっていると、
来た!右腕の麻痺が解けた。
そして俺は自分の左腕の腐食した部分を右腕に持った剣で切断した。ポーションを飲んで回復する可能性もあった、だが、それが効かない場合を考えて、その腕ごと切った。部位欠損級のダメージだが、前回黒い部屋に閉じ込められた時も、それぐらいのダメージを受けていたので大丈夫。
そして俺はポーションを飲んで、よし、左腕も生えてきた。まじで怖かった、これで部位欠損したら洒落にならなかったからな。ん?右腕が麻痺した時も同じことすればいいじゃん。確かに。だけどこうして時間があるのは左腕でモンスターの攻撃を耐え、レグが復活したからなので、結果オーライ。
そして俺はレグと合流し、麻痺木蜥蜴を倒しにかかるのだった。
透『レグ!右腕が回復した!ここからは反撃に入る。できればレグに防御役をやってほしい。こいつの血の腐食効果を受けるには薄防御が必須になる。だけど、レグはそれができない。ならレグに防御役をしてもらい、俺に薄防御をかけてもらい俺が攻撃した方が確実に倒せる確率が上がると思います!』
レグにはある程度の危険を押し付けてしまう形になるが任せるしかない。
レグ『確かに今はそれが一番確実だね。なら仕方ない。
僕に任せて君は攻撃だけに集中して、なるべく早くこいつを倒してくれ!』
透『了解!』
なるべく早くという言葉からあまり自信がないことがわかる。本当に早めに倒さないとやばそうだ。
そして、今モンスターはレグに攻撃を仕掛けたが、レグはしっかりと受け止めた。
まだ、《筋力増加》による身体強化の感覚はある。そしてレグが受け止めてくれているおかげであいつは今隙だらけだ。それに攻撃する前に薄防御をレグにかけてもらうようにしている。なので、血の腐食効果も気にする必要はない。
なら!
《コネクトスラッシュ》(一撃目)+《会心刺突》を食らわせた直後、多少こいつは押されたが、吹っ飛んだわけではなかった。だが、流石に一撃目でそこまで大きな効果は、期待していない。
そしてその直後(二撃目)+《会心刺突》を決めると、かなり飛ばされたものの、おそらくこいつ自身の防御の動きもあったのだろう。やはり2%程度。
まあ、一撃目と合わせたら3%程度だろうが。
そして俺とレグは、この動きを続けていた。
このまま順調に進んでいくと思っていたのだが、
レグ『え?』
という、唖然とした声によってその均衡は崩れるのだった。
その声を聞いた俺はすぐにレグの方を見る。
確かにレグはこいつの攻撃を受け止める動きをしていたし、短剣をからぶったわけではない。
なら、何が起きたのか。それは
短剣が折れてしまったのである。
確かに俺よりレグの方がステータスでは強いだろう。
だが、明らかにもっている剣は、俺の持つシルバーメタルソードよりも質が低そうなものだった。おそらく俺のように素材を集めお金を貯めて良質なものを買うのではなく。
そのままどんどん進んできたのであろう。そのまま変異種とばったり、だろう。
そりゃ短剣もこのレベルのやつの攻撃を受け続けるのは厳しいだろう。だが、どうしようこのままでは防御役がいなくなり倒せなく……。いや、それよりも武器を無くしたレグが不安だ。となると今取るべき行動は……
透『レグ!一回下がれ!攻撃は俺が受け止めるから、レグは下がって俺の補助をしてくれ!』
レグ『具体的には何をすればいい?』
透『とりあえず俺にずっと薄防御をかけてほしい。後何か気づいたことがあったら俺に報告してほしい。ていうか今さらかもしれないが、そのレグは薄防御し続けて、mpは大丈夫なのか?』
レグ『mp自体は大丈夫だよ。人にしか使えないし一回しか効果がないから1mpだから全然大丈夫。
だけど………透の言うずっと薄防御をかけるのはできそうにないかなあ。』
透『なんで?――ッ!』
一回下がっていたレグが麻痺木蜥蜴に追われていた。
透『なんで!確実に俺の方が距離が近いはず、だからレグの方に行くなんて――』
レグは攻撃を木を使って避けていたが、いつ攻撃を喰らうかわからない。それに攻撃に一度でも当たればそれで死んでしまう。その状態でレグは言う。
レグ『透、こいつは変異種なんだ。ただ近くにいるからって襲うのではなく、君が攻撃できる前提となる僕を狙うくらいの知能………いや、本能かもしれないけど。を持っているからじゃないかな。だから僕には一つ考えがある。』
透『………なんだ?』
なんとなく嫌な予感はしていただが、一応レグが後悔しないように聞くことにした。
レグ『このまま僕が囮になるからそのまま攻撃してくれ、あ!後攻撃する時は僕が薄防御をしてからにしてくれ!』
透『それじゃレグが危険だ!駄目だその作戦は了承できない。だから別の―――』
レグ『駄目だ!そうしないともう僕も君も生き残れない、僕はせめて君には生きてほしい!だからわかってくれ!』
透『……嫌だ!』
レグ『透!』
その時、レグがまた攻撃を避けた。すると、レグが転んでしまった。ああ!駄目だレグが!
レグ『早くやってくれ!薄防御!』
やらないと駄目なのか?でもやらなかったらこのままレグが、それなら……いや、そもそもなんで俺はあんなに攻撃してるのに倒せない?なんで?だからこんなにレグが危険な目にあうんだろうが!レグを死んでも助けろ!
幾星 透は人を見殺しにしていいのか?
違う!助けるんだ!絶対に!
【全スキル総動員】でやるんだ!
レグside
あーあ、ここまでか。ま、変異種にあうなんて幸運を引いたんだ。そりゃそうなる。
あとは任せたよ…透………
ん?なんだ
ゴウ、ゴウ
炎?火でも燃えているのか?
ていうか透の剣白く光って………。
透side
助ける!絶対に!
ウオオオ
透『《筋力増加》、《コネクトスラッシュ》、《会心刺突》!』
その攻撃はきれいに麻痺木蜥蜴に突き刺さり、内側から爆発するようにその身体は弾け飛んだ。
だが、これを透は知らない。
良かった、なんとかレグがやられる前に攻撃を決めれた。
危なかったなあ。
そういえば麻痺木蜥蜴はどこに行ったんだ?
レグ『すごい、すごいよ透!まさか一撃で倒しちゃうなんて!そんなのあるんだったら最初からやってよ!』
透『え?倒し……た?何を?』
レグ『変異種の麻痺木蜥蜴を、だよ!』
透『そう、なのか。え?』
レグ『何戸惑ってるんだよ!』
レグはそう言って俺の肩を叩いていた。
何が起きたのか全くわからないが。とにかくこの場にあいつの姿が見当たらないからとりあえず俺はレグと一緒に帰ることにした。
ギルドに帰った。
レグも今回の戦闘を超えた自分のステータスが気になるのか俺と一緒にすぐにステータスを測りに行った。
まあステータスを測る時は別々の場所でするんだけどね。
(速度ゼロキロメートルのステータスからの成長です)
幾星 透
ステータス
レベル3→4※変異種討伐報酬
レベル上昇条件???
HP105→150
MP67→112
STR95→125
DEF78→110
AGI110→140
???53→75
武器スキル
《コネクトスラッシュ》
《会心刺突》
能力上昇スキル
《筋力増加》
《ディフェンスレートアップ》
常時発動スキル《アラガウモノ》
選択スキル強化or新スキル入手
ええ!レベルアップ!?まじか変異種討伐したらレベルも上がるんだ!これなら変異種を討伐する意味も……いや、確かにレベルアップは魅力的だが、変異種は危険すぎる。俺はレグの薄防御があったから倒せただけだ。超ハイリスクハイリターン。どう考えても危険すぎる。にしてもスキル強化or新スキル入手か〜。
正直言ってスキルは強化する必要はないように感じる。
《コネクトスラッシュ》でも全然戦えるし、《会心刺突》は使いやすいし、変に強化したら相手の最大hpの99%を確率で削る効果も消えそうだ。《アラガウモノ》はいつも通りの理由で却下。《筋力増加》
そして《ディフェンスレートアップ》はもう充分だ。
なら新スキル入手の方が魅力的だ。
なら
新スキル入手を選択する!
了 新スキルを作成、贈与します。
幾星 透
ステータス
レベル4
レベル上昇条件???
HP150
MP112
STR125
DEF110
AGI140
???75
武器スキル
《コネクトスラッシュ》
《会心刺突》
能力上昇スキル
《筋力増加》
《ディフェンスレートアップ》
常時発動スキル《アラガウモノ》
魔法
NEW《火素作成》消費mp15
NEW《付与》消費mp1
う、うおおああ!魔法だ!魔法が来た!やった〜!!!
何々!?効果は?
《火素作成》
効果
火の魔法物質の素を作成する。
(作成場所は自分の身体のどこかを選択可能。)
《付与》
効果
自身が身に付けるまたは持っているものに魔法などの特殊効果をつけれる。
(無から何かの特殊効果をつけることは不可能)
うおおああ!火かあ。かっこいいなあ!早く使いたいなあ!そして《付与》この魔法は消費mp1だ。さらに効果も汎用性がとても高そうで使い勝手がいいんだろうなあ!
ていうか魔法もスキルの一種だったんだな。後mp管理はしっかりしないと。なんかmp0で魔法を使うと魔法を使えなくなるかもしれないらしいしな。
それにこの二つの魔法が同時に贈与されたってことは……
両方を使うことで真の効果を発揮するってことだろう。
まあ一番実用的なのは剣に火素作成によって作成した火の魔法物質の素を付与することなんだろうな。いろいろできそうで楽しみだ!
にしても魔法!ついにきた!早く使いたいなあ。
そして俺はギルドを出ようとしたのだが。
レグ『なあなあ!透、お前レベルアップしたよな!』
とレグが興奮気味に話しかけてきた。
透『ああ、俺もレベルアップした!』
レグ『お互い頑張ったもんな!にしても変異種にもいいところあるな!この情報を拡散すれば…』
まあそう考えるよな。だけど
透『いや、レグ。この情報は拡散したら駄目だ。』
レグ『どうして?』
透『まず、今回俺らが勝てたのはたまたま相性がいいスキル、魔法があったからだ。普通に考えて変異種は危険すぎる。この情報を拡散して、変異種を探したり、倒したりしようとする人がいたらその人たちが死ぬかもしれない。だからこの情報は拡散したら駄目だ。』
レグ『う〜ん。まあそれもそうだな。わかった。』
良かった。
透『わかってくれてありがとう。』
レグ『ま!とにかく今日はありがとう!また会えたらよろしくな!』
透『ああ!こちらこそありがとう!じゃあまたな!
レグ!』
そう言って俺たちは、互いの帰るべき場所に
帰るのだった。




