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異世界転生したのに無双できない  作者: 星野 夜月
第一章ただの始まり
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第一章23 compound pain

 俺はニース、ラギに裏切られ、モンスターの部屋に閉じ込められたが、生き残ることにギリギリ成功した。だが、その後ニース、ラギは死んでいることがわかった。あまりに意味不明なので、俺たちを閉じ込めたあの部屋について一応聞いてみることにした。


 透『ナディスさん聞きたいことがあるんですけど……』

 ナディス『何?』

 透『第三階層でのことなんですが、変な蚊?みたいなを潰したら黒い部屋に転移されたんですが、何か知っていますか?できれば教えて欲しいです』

 ナディス『うーん、よくわからないかな。そんな黒い部屋も、蚊も、聞いたことがないな〜。まあ、一応調べておくね。』

 透『わかりました。』

 わからないのか、考えられる可能性は、

 1.今回のが初めての可能性

 2.生き残れた人がいなかった

 だろうな。とりあえず、ギルドに頼るだけでなく、自分自身でも探索してみるか。限界とは言え、今の俺でも、ギリ生き残れるクラスのものだった。普通に考えれば大抵の冒険者なら生き残れるはず。となると、1.の今回のが初めての可能性が高めだろう。まだ、検証不足だからな。可能な限り探そう。まあいいやとりあえず帰ろう。


 帰った後俺は一度支配者(マスター)と、第三階層にあるであろう、素材について話していた。

 透『とりあえず今回取れそうなのは、トカゲみたいなのの皮膚。そして周辺にある木ぐらいです。使えるものとかありますか?』

 支配者(マスター)『できればトカゲの皮膚は手に入れて欲しいかな。そして木は絶対取っちゃダメ。前雇っていた冒険者がそれを取ろうとして、毒にやられそうになってしまったようだからね、やめておいて欲しい、いや、やめてね。』

 透『わかりました。』

 まじかよ、あの木毒あったのかよ。ていうか前の冒険者も可哀想だな。大変だったんだろうな。ていうか第三階層まで進んでいるのなら白鉱石(ホワイトストーン)も手に入れているはず、ならどうして支配者(マスター)は、白鉱石(ホワイトストーン)を使用した防具の作り方を知らないんだろうか、まあ前にいた冒険者ってことは死んだか、支配者(マスター)を裏切ったんだろうな。それに、まともに仕事をしなかったのだろう。それぐらいしっかりやれよと思うのだが、まあいいや。

 もういなくなったやつのことを考えても無駄だ。今考えることを絞ろう。まず、あの黒い部屋について調べる、しかし、第三階層にはとどまらず先の階層にもある可能性を考え、普通に階層は進み続ける。

 といったところだろな。あとトカゲの皮膚かな。

 と目標を定めた俺は明日はどうしようかと考えながら寝た。



 そして俺は、すぐに混沌の核に向かった。

 とりあえず今まで通り階層を進んでいた。普通にデカイトカゲと戦っていた。だけどあの地獄を超えたからだろうか、あまり強く感じなかった。だからそのまま普通に数を倒して行った。そして俺は、トカゲの皮膚を手に入れた。何というか気持ち悪いものだった。ヌメヌメしていて、何というかすごく生々しかった。正直言って素材袋に入れるのも抵抗がある。それほどに気持ち悪かった。まあ手に入ってよかった。にしても最近順調だな。いや順調ではなかった。だが、今俺は生きているし、この冒険者生活にも慣れてきた。本当にあの裏切りは衝撃的でつらかったが、いうてそれぐらいじゃないだろうか。

 ???『キャアアアアア!』

 まただ、また俺の平穏が破壊されようとしているようだ。叫び声、それも悲鳴のような声を聞いてしまった、無視できないのでとりあえずそちらにいってみることにした。すると其処にはデカイトカゲ………いや、違うな。

 其処にいたのは、少し変わった姿のトカゲだった。通常種に比べて長い手と足、そして今まで見てきていたデカイトカゲは皮膚と見えるものを纏っていたのだが、このトカゲは、木の表皮のような見た目の皮膚?のようなものを纏っていた。さながらそいつは、木のトカゲと呼べるような容姿だった。さらにそれに襲われていた冒険者は、どうやら倒れたまま固まっているようだ。

 固まっている?おかしいどこかに氷もない、だが強いて言うなら腕に多少の穴があるくらい。

 それが痛くて動けないのか。とか思っていたのだが、その考えはすぐに否定された。痛みで動けない場合、基本的には、気絶したり、痛みに悶えたりしているのが普通だろう。だが、倒れている冒険者は、何かを訴えるように口をパクパクさせているだけである。だが、体は動いていない。いや、動かせないのか。

 だが、今はそんなことを考えている場合ではない。今やるべきなのは、木のトカゲの対処だ。

 俺は違和感を感じながらも木のトカゲと戦闘を始めた。


 この時の俺は気づいていなかった。まず、俺は《ディフェンスレートアップ》を発動(アクティベート)していないことに。俺は今日、軽くデカイトカゲを倒せてしまっていた。だからこそ気づかなかった。だが、そのただ一つの歯車のズレが俺に多大なる影響を与える。


 来た!木のトカゲは、迷うことなく俺の方に突進、いや噛みつきをしてきた。受け止められるかはまだ不明のため、俺は避けることにした。

 何だ?このトカゲ、今までのトカゲの噛みつきの速度とは圧倒的に速度が違う。それこそ、第二階層階層主を彷彿とさせるような速度だった。

 ただの噛みつきが、突進とすら思えるような速度。

 これだけでこのトカゲの異常性がわかる。さらに避けた後のこの木のトカゲは、木の方向に突っ込んでいった。あの速度ならブレーキをかけれるわけがない。木に突進して、ぶつかって、怯んでいる隙に、この冒険者と逃げよう。

 しかし、現実はそうはいかなかった。恐るべきことに、そのトカゲは、受け身を取り、さらにその反動を利用してこちらに再度攻撃をしてきたのだ。

 透『クッ、《筋力増加(ストレンジブースト)》!《会心刺突》!』

 今、《コネクトスラッシュ》の二撃目を用意している暇はない。なので、今は、《会心刺突》の方が威力が高いと判断。しかしその剣は、木のトカゲと当たると同時に、ギィィィィィンという音と共に、防御を完遂せず、吹っ飛んでいった。

 さらに、その攻撃は勢いを多少削がれたものの、依然俺の方に向かっている。

 今の俺に、剣はない、だからといって無抵抗のままこの攻撃を受ければ致命傷を喰らう。なら!

 俺は左腕に装備している、白ライトアームアーマーを木のトカゲに振りかざし、何とか致命傷を避けた。だが、その攻撃は、俺にかすってしまった。それが俺に敗北を告げる合図となる。

 その瞬間俺の右腕が急に痺れたように動かなくなった。

 だが、不幸中の幸いというものだろうか全身が痺れているわけではない。

 透『マジですか、とりあえず剣を取りに行かないと』

 先程飛んでいった剣は近くの木にぶつかり、落ちていたのでそれを左手で拾う。

 右手ではまともに剣を振れなくても、左手なら痺れた右手よりは断然マシだろう。

 そう思っていたのだが、現実は

 攻撃する側に一度も回れず、ただただ防戦一方なだけであった。一応、最悪の場合も考えて、《ディフェンスレートアップ》を再度(今日はまだ発動(アクティベート)していないので正確には一度目)発動(アクティベート)した。

 すると多少は、攻撃を受け止めれるようになった。このことから俺は気づく。

 あれ、俺もしかして《ディフェンスレートアップ》してなかったんじゃね。

 ということに。

 《筋力増加(ストレンジブースト)》で分かったのだが、何度も何度も発動し、重複させようとしても結構は変化なしであった。ちなみにこれは《ディフェンスレートアップ》でも試そうと思ったのだが、それは不可能と判断した。《ディフェンスレートアップ》は確率に影響するスキルなので、何度発動(アクティベート)しても効果が上がったのか分かりずらいためである。

 その点、《筋力増加(ストレンジブースト)》は、ステータスに直接影響するからわかりやすい。

 じゃなくて!今はこの状況をどうやって変えるか、だ。

 恐らく、この手の状態異常は、時間経過で治る、というのがお決まりのはず。だから、今やるべきことは、左手だけで、どうにかして木のトカゲからの攻撃を受け止め続ける必要があるな。出来ればこの倒れてる冒険者からも話を聞けたらいろいろやりやすいのだが。

 また来たよ、噛みつき攻撃。

 先程、避けた結果さらに勢いを増してきたこと、そして何してるんだよという感じだが、《ディフェンスレートアップ》を使っていなかった。だが、今は使っているし、確実にこの木を蹴るなどをしていないこの噛みつきなら、ギリギリ耐えれるはずだ。

 まだ、《筋力増加(ストレンジブースト)》は発動しているはずだ。

 透『《会心刺突》!』

 突き出した剣は、キレイにとは言えないが、確実に爪に当たった。結果としては相殺、というところだった。

 お互い後ろの方に下がった。

 いやあ、ふざけてスライムぶっ倒しまくって素材集めする時に左腕で剣を使って戦っていて良かった。

 その成果が何の偶然か出たようだ。

 いやあ、あのふざけ……違う違う、努力の成果が出たようだ。意味のないことはこの世にないってことか。

 そんなことを考えていたのだが、また噛みつき攻撃をしてきた。先程同じことをして相殺、相殺、相殺という風に現状を維持しているものの、これでは何も解決しない。

 これはただただ問題を先に伸ばしているだけである。

 そして、こういう時はだいたい何処かで相殺できなくなる

 というのが俺なんだよな。

 あ、やべフラグ立てた。

 そうした矢先だった。

 フラグを立てるとすぐ回収しないと気が済まないのだろうか。空振った。だが、またこれも不幸中の幸いだろうか。木のトカゲも攻撃を外していた。

 だが、それはつまり木の方向に向かっていることと同じである。

 そして木のトカゲは、こちら側にさっきより速い速度で俺の方に突進してきた。

 まずい、まずいまずいまずい。

 このままだと何もできずに俺の体は貫かれる。

 もしそうならなくても俺の身体は麻痺して、結局俺は終わる。動け、動け動け!せめて避けろ!生きることを諦めるな!とにかく時間を稼いで可能性を広げろ!

 火事場の馬鹿力というものだろうか。先程の突きの余韻で動かなかった俺の足は、どうにかして横に飛ぶことに成功した。よし!避けれた!次、次だ!

 そう思った時にはもう遅かった。

 その時、木のトカゲの爪は、俺の目の前まで来ていて!?


 その瞬間俺は思った。

 負けた……終わった……だけど嫌d――――



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