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「雨、上がる」 -第五部-  作者: 天空 京一
36/120

三十六雨 「バルナウルにて」

挿絵(By みてみん)


"バサッ!!


「—————編集長、社員名簿です」


「・・・・ん、」


"ガササッ!!


ロシア、バルナウル。


「(  成り行き、か____________  それとも


  'コンファメーション'を重視して、利回りに重点を置くかᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  !)」


"ガサッ ガササッ!


相変らず、全く愛想の無いロシア人と自分の母国である日本人の


クォーターである部下が捨てる様に自分のデスクに資料を


放り投げている事を気にせず、机の上に置かれたパソコンで自分の業務である


新聞業務の傍ら、男が新規のネットコインのページを確認していると、


どうやら今日のネットコイン相場は自分の予測とは完全に外れており、


すぐにその事を忘れると、男はそのままデスクトップPCのブラウザを


食い入るように眺めだす____________


"バシッ!"


「—————てっ!」


突然肩を叩かれ、驚いた表情で思わず椅子に座ったまま男が後ろへと


振り返ると、そこに自分の部下である'太田'が相変わらず


締まりの無い表情で運動のできない同級生を見ている様な


態度で話しかけてくる___________


「————また'FBR'っスか?? この間も軽く


 シャレにならないくらい、貯金減らした、っつってたっスよね??


 「センス」無いんじゃないんスか??」


「 ┈┈┈┈放っとけ....」


「 .. . .. .お先っス。 チィ~っす」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


何故最後の去り際に二度挨拶したのか分からないが、どう見ても舐めている


自分の部下の態度にやや気落ちした様な様子を浮かべると、男は


座っていた椅子から立ち上がり、すぐ側の窓を覆い尽くしているブラインドを


軽く人差し指で上に上げ、その窓から自分が以前勤務していたモスクワから


配置転換を受けた出向先。


'バルナウル'の雪景色を覗き見る____________


「( … … …まぶしくて、よく見えないな.. . . . .)」


「ツー」


「 —————アンタッ! アンタッ!?」


「(  宏江…┈┈┈┈)」


何も考えずただブラインド越しに、雪の光の反射で殆ど何も見えない


バルナウルの景色を眺めていると、自分の机に置かれたPCから、


懐かしい'声'が聞こえて来る___________


「アンタッ!? あんったッ!?? ——————イサオっ!?」


「昆虫と成虫本当の幼虫はどちらかなのかが


 区別がつかないです。 裁判は拒否させてもらいます」


「功 ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ


ふと、ブラインドから机の上に置かれたPCの方に振り返ると、


そこに置かれていたアプリから自分が日本に残して行った妻である'宏江'


そしてすでに大学生になった息子の'功'の声が聞こえてくる____________


「  入学式、と入社式の区別はつく様になりました。 


 あとはここから会社への辿り着き方を上手く調べるだけです」


「功ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ! ああ.. .. . その通りだ…┈┈┈┈」


「 あんたっッ!? —————あんっ  'タ'ッ !??」


「┈┈┈┈┈…ああ、分かってるよ 


 '日本からバルナウルに行くためにはイスタンブールを経由しろ'


 だろ??


 以前にも話したじゃないか.. . . .!」


「アンタッ —————アンッ ! ”タ”っ!?? ブツッ


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ   


「ピッ


PCをスリープモードにすると


「(バルナウル.. .. . .  ロシア____________


  今日もバルナウルは'雪'の様だ.. . . .. . !


男は窓の側の冷気で曇った眼鏡越しから、ブラインドの外の


陽の光が積もる、雪に反射して曇るロシアの


街並みを見ていたᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ  !


「( … … …青、いな┈┈┈┈┈… ロシア、は.. . .. . !

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