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パーティーナイト その七

  『神生(じんせい)ゲーム』。今話題のすごろくゲーム。今宵、美神(みかみ)家の四人兄弟である千草(ちぐさ)桃華(とうか)紬希(つむぎ)兎作(うさく)、そして母の冬柚(ふゆ)が挑戦し、幼神期(ようしんき)フェーズ、青年期(せいねんき)フェーズが終わり現在このゲーム難所と言われる成神期(せいじんき)フェーズへと舞台は移り、一ターン目が終わった。このターンでは桃華と兎作が選択ミスによって脱落した。脱落者を出しつつゲームは進んでいく。一ターン、二ターンとゲームは進み三ターン目の千草のターンとなった。


「二ターン目は誰も脱落しなかったね」

「そうだね、このままクリアできたらいいんだけど」


二ターン目は全員成功し、三ターン目となった。


———

縁結びの神(あなた)の元に一人の子供が訪れた。子供は鳥居をくぐり、真っ先に本殿まで来た。(あなた)が視えているかのようにこちらをじっと見つめている。そして一言『あなたと結ばれたい。』そう告げた。神と人との恋愛は禁じられている。さて、この子供をあなたはどうする?


『 回答を入力しろ 』

———


 回答方法が三ターン目になってガラリと変わった。今までは選択問題ばかりだったが自分で入力するものへと変わり、全員が驚きを隠せずにいた。


「これがこのゲームを更に難しくしている入力問題か。確かに選択肢が無限に広がるから大変だね」

「普通に問題の難易度も上がってるよね」


そう。このフェーズの問題は段々と難易度が上がっていっている。それに加え、入力問題は三ターン目から発動し、ターン数が増えるたびに選択問題が減っていく仕組みになっている。問題の難易度と無限に広がり続ける選択肢。これがクリア者を出さないこのゲームの全貌である。


「一応真面目に考えてはみるけど、神と結ばれたいってことだよね。この子供は」


どれだけ問題が難しかろうが選択肢を無限に広がらせようが考えなければ始まらない。考えを放棄してしまえばクリアはできない。そう考えた千草はこの問いに真剣に向き合う。子供は神様である千草と結ばれたいと願った。しかし神と人との恋愛はタブー。普通ならこの子供の願いは叶えてあげることはできない。普通ならば。


「どうしてこの子供は縁結びの神と結ばれたいんだろうね」


そう言ったのは冬柚だった。回答を考えるばかりに子供が何を思ってそう告げたのかを考えていなかった四人はハッとする。確かになぜこの子供は神と結ばれたいのだろうか。そしてなぜ、神が視えているかのようにこちらを見つめているのか。そういう疑問が次々と浮かんできた。聞いてみようかな、ポツリと千草はつぶやいた。この質問が子供に聞こえるかはわからないし、そもそも質問するという行動に対する答えがプログラムされているかもわからない。しかし興味が勝ってしまったので聞いてみることにした。


『 どうして結ばれたいの? 』


決定ボタンを押す。そして五人は驚く。


———

『神様なら私を守ってくれるでしょ?嫌なの。パパとママが私の将来の旦那さんを決めちゃったの。でも、その人が怖いの。変な目で見てくるあの人が。神様はお願い叶えてくれるんでしょ?助けてください。私はあなたを視ることも声を聞くこともできる。お願い…助けて…』

———


子供からの返答後、ザッ、ザッ、という砂利を踏むような音と共にムービーが止まった。五人は言葉を失った。質問に対する答えがあったこともそうだが、それよりも子供の返答に驚いていた。


「最後の足音的なのもしかして親か将来の旦那さんだったりするのかな」

「だとしたらやばくない?」


迫り来る子供への危機に焦り始める五人。含みのあるムービーに全員がどうしようと口にする。


「この子供を救ってあげよう。神を捨ててでも」


千草はそう言いムービーの後にもう一度出た選択入力画面に文字を入力し始めた。この回答に反対するものはいなかったが、いいの?、そう紬希は最後に聞いた。いいよ、とだけ言い決定ボタンを押した。


『 この子供と縁を結ぶ 』


———

失敗


あなたは神としての禁忌を犯しました。子供を救うとともに縁を結んだ。それ相応の罰を受けてもらいます。


罰:妖怪堕ち

———


この結果には皆そうだろうと勘づいていたため何も思うことはなかったが、失敗という言い方に対しては少し不満があるようだ。言い方酷くない?や、良いことしたのに、などと文句を放つ。


「でも『救うとともに』って書いてあるから救ったことは認めてるみたい」


画面を指差しそう言った。ちゃんと子供は救えていたようだ。みんなが安心していたとき桃華がある疑問を口にした。


「このゲームの問題になってる話、めっちゃ凝ってるよね。元ネタとかあるのかな?」


確かに言われてみると内容が濃いものが多く見られる。そう考えるのも無理はない。


「きっと、いつか分かるよ」


冬柚がそう言った。この意味深な発言に桃華や兎作は、どういうこと、何か知ってるの、と食いつくが紬希のターンだとはぐらかされてしまった。


そして海を司る神、紬希のターンへと移った。

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