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パーティーナイト その六

 『神生(じんせい)ゲーム』。今話題のすごろくゲーム。今宵、美神(みかみ)家の四人兄弟である千草(ちぐさ)桃華(とうか)紬希(つむぎ)兎作(うさく)、そして母の冬柚(ふゆ)が挑戦し、幼神期(ようしんき)フェーズ、青年期(せいねんき)フェーズが終わり現在このゲーム難所と言われる成神期(せいじんき)フェーズへと舞台は移り、桃華のターンとなった。


———

動物を守護する神(あなた)の元に一つの知らせが入った。死して自我を失った動物が暴れ危害を加えている、早急に対処を願う、と。記憶を失い、理性が働いていないようだ。これ以上被害が拡大しないようにしなければならない。さて、あなたの次の行動は?


一、少しの間術で眠らせる

二、飯をやったり撫でるなどで落ち着かせる

三、欲が満たされるまで自由にさせる

———


「三番って言うなれば放置ってことでしょ?流石に自我がないものを放置はしないかな」


そう言い兎作は一と二の二択で迷い始めた。一は凶暴化した動物を強制的に鎮め、二は三と違い一緒に欲を満たすという方法だ。


「一番は術でって言っているから強制的に眠らせるんだろうな。僕的には強制的な解決はしたくない。だから選ぶなら二番かな」


兎作には強制的という言葉が引っかかったようで、二を選択した。画面に映し出されたものは『失敗』という文字。


———

失敗


この動物は自我が無いといえ、他の動物に危害を加えている。危害を加えているのなら半ば強制的にでも鎮なければならない。このものを鎮られなかったあなたにはそれ相応の罰を受けてもらいます。


罰:妖怪堕ち

———


そして画面には先ほど鎮められなかった動物に神としての力を食われ動物妖怪へと堕ちていく自分が映っていた。


「そっか、危害を加えているから強制的でも鎮なきゃいけなかったのか。動物妖怪。見た目的に兎の妖怪なのかな?」

「名前通りの動物になったね」


画面で妖怪となった自分の姿は耳が長く、丸い尻尾が生えていた。兎作という名前通り、兎の妖怪となったのだろう。


「楽しいね、このゲーム。初見殺しの所もあるけどストーリーとか神様の役割とかしっかりしてて、本読んでる気分になる」

「確かに。ひとつの物語を見ている気分になるね。他の人のターンの時も見ていて面白いし」

「誘ってくれてありがとう、とか(ねえ)


このゲームはストーリーや役割が凝っているため、小説や漫画などが好きなこの家族には刺さったのだろう。勧めてきた桃華に感謝の言葉が飛ぶ。照れくさそうに言葉を受け止めた桃華は、どういたしまして、と答えるのだった。そんな風に会話が弾んでいると紬希が、画面が変わったよ、とゲーム画面を指差した。ようやく今回一番謎めいた神、死者を司る神(冬柚)の番となった。


———

死者を司る神(あなた)が祀られている神社に一人の少年がやってきた。生気が感じられないため亡くなっていると悟る。少年はあなたの前へ行き『———とずっと一緒にいさせてください』と願った。さて、あなたの次の行動は?


一、———を生者として自身の神域へ招待する

二、———を死者として自身の神域へ招待する

三、少年の遊び相手をする

———


「あれ?死者って願い事言うの?遊び相手するだけじゃなかったっけ」

「この子がイレギュラーなのかな?」


そんな疑問が四兄弟の頭を支配する。そんな中ひとり、答えが決まっているのか選択しようとしている者がいた。


「答えは一だね」


そう言う冬柚に悩んだ形跡がなかった。それほどまでに即答だった。なんで、と質問が飛んでくる。


「三はまず除外ね。願い事を言われたなら叶えなくちゃ。遊ぶだけじゃだめ。次に一か二なんだけど、ずっと一緒がいいって願い、この少年は生きた彼がいいんだよ、きっと」

「彼?問題には線しか書かれてないのにどうして男だと分かるの?ていうか人なんだ。飼ってたペットとかの可能性もあるのに」


冬柚の答えに対し紬希から疑問が飛んでくる。


「死者って言ってるからまず相手は人だね。性別に関しては」


そこで言葉が詰まる。そんな冬柚に対し桃華が、腐女子思考なんでしょ。男同士の方が想像膨らむから、とツッコミを入れた。そうそう、と冬柚は返しほっとしていた。


「ていうか、すごい即答だね。経験あったりする?」


あまりの即答に兎作がそんなことを聞く。


「ないよ。全部憶測で妄想で想像でただの勘だよ」


そう言い、一の選択を選んだ。画面に映し出されたのは『成功』という文字。


———

成功


死者の遊び相手はもちろん願いを叶えることも重要。死者の願いを叶えることもあなたの仕事。死者の願いなら相手の生死は問わない。しかし、この少年は一緒にいたいというだけで、相手の生死は重要ではないのだろう。であれば、相手は生きていた方が得策であろう。

———


「すごい。即答にしては筋が通ってる」

「ふふん。こういう物語大好きな私にかかれば勘でいけるのよ」


自慢気に話す冬柚に実際本当にすごいと思う四人は冬柚を褒める。ドヤ顔を決める冬柚は本当に四児の母なのか疑うレベルで無邪気な顔をしている。


 成神期フェーズの一ターン目が終わり、桃華と兎作が脱落した状態で二ターン目に突入するのだった。未だ前人未到の旧神期(きゅうしんき)フェーズへ辿り着くのは誰なのか。

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