檻
檻だ。
四方を柵で囲まれ、脱出を拒む。
檻だ。
上は天井を見上げる事が出来るのに、非力なこの身では出る事は出来ない。
檻だ。
食べ物も配給される物に限られ、その殆どはミルクにも劣る、薄味の水。
檻だ。
後数年、私はこの檻から出る事は敵わない。
どれほど足掻こうと、どれほど喚こうと、看守の気まぐれで外を見る事はあれど、己の意思に置いて出る事は出来ない。
なるほど、悲鳴とは正しく、この状況を嫌うが故にあげるのかもしれない。
「■■■ちゃん。ごはんでちゅよ~」
ああ、解ってるよ今回の母。
母乳ではなく、せめてミルクにしてくれ。薄味すぎて死にそうだ。
「うんうん。よく飲んで、大きくなりましょうねー」
飯を、固形物をくれ。恥など大昔にすててきたけど、乳にしゃぶりつくのはもっと歳をとってからの方が良いんだ。
「はい。ポンポンも良くなったみたいだし散歩に行こうか。それともお昼寝にしましゅか~」
とろけきった言葉使いは構わない、それでも私を押し潰しそうになった母と寝るのはゾッとしないな。
生後1年で死ぬ事は経験したが、6ヶ月は初だ。
やめてくれ。
ああ、私は何故悲鳴をあげるのだったか。
なんて不憫な主人公なんだ…




