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一色捨人 独白
人に魅力を感じるのは何故か。
一貫した性格か、悠々たる態度か、それとも扇情する肉体か。
おそらくそのどれもが正解で、それひとつでは完成しないのだろう。
嘘つきも、臆病者も、不健康な肉体も、それだけで魅力は落ちる。
信用でき、信頼でき、信仰できる。
どれか一つでも欠けたなら、魔法は解けて夢から覚めてしまう。
夢をミせる力は、俳優にとって何よりも必要だ。
映像も舞台も、観客を惹きつけるのは演者がミせる夢。覚めてしまえば、待っているのは目覚めの悪い酷評か、夢の如く忘れ去られるか。
だからこそ、魅力がいる。
観客を現実に帰さない檻のような強い魅力が。
能間真理と出会ったのは奇跡に近い。
触れたくなるほど魅惑的で、引き返せなくなるほど蠱惑的。足りないものも多いが、彼女は自分の魅せ方を知っている。
ダイヤモンドの原石。安い言葉だが、磨けば目を離せなくなるのは間違いなかった。
それでも。
その輝きが齎すものは、安易な栄光だけではないとわかっていたはずだ。




