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ブラコンな兄の日記を漁ってみた

作者: 下菊みこと

父さんも母さんも会社の経営で忙しくて、兄ちゃんは部活と生徒会で忙しい。


だから必然的に家事担当は俺になるわけで。


料理も洗濯も掃除も忙しいけれど、でも家族の役に立てるのが嬉しい。


「さて、兄ちゃんの部屋の掃除もおーわりっ」


そこでふと棚に目があった。


そこには兄ちゃんの日記がある。


「兄ちゃん、小さい頃からマメだよなぁ」


子供の頃からの日記に、ふと興味が湧いて手を伸ばした。


『今日から日記をつける!可愛い弟との日々を忘れないために!こんなに可愛い弟との日々を忘れるなんて勿体ないからな!』


冒頭からもう飛ばしている兄ちゃんに笑う。


ページを飛ばしつつ、ペラペラと日記をめくっていく。


『今日も二人で一緒に手を挙げて横断歩道を渡った。もちろん手を繋いで。爽熾は本当に良い子だなぁ!お兄ちゃん鼻高々だ!』


「懐かしー…」


そんな小学生時代が懐かしい。


ちなみに中高一貫校だったから兄ちゃんが高二の時中一だったけど、小中高と割と一緒だった。


今は兄ちゃんは大学生だから別々だけどね。


『今日から俺と爽熾が二人で家事担当になることになった。まだ小さいのに俺のお手伝いをしてくれる弟マジ天使。兄ちゃんご飯出来たよーって自信満々に言うのがまた可愛い』


恥ずかしいな、兄ちゃんが小学生高学年になった時の話かぁ。


あの頃は料理下手だったのに、兄ちゃんも父さんも母さんも美味しい美味しいって食べてくれたんだよなぁ。


『今日は秘密で、爽熾とお肉屋さんのメンチカツを買い食いして帰った。秘密でな!爽熾がすごい笑顔でめちゃくちゃ可愛かった。天使』


「俺は天使じゃないよ兄ちゃん…」


ふふっと笑ってしまう。兄ちゃんは本当に大袈裟だ。


『中学の生徒会に入って、部活も忙しくなった。家事を弟に任せることが多くなってしまった。でも弟は応援してくれる。爽熾、ありがとうな』


優等生の兄ちゃんは中学生になってから忙しくなったんだよな。


『今日は部活の試合で、爽熾の作ってくれたお弁当を持っていった。めちゃくちゃ栄養満点で可愛いお弁当で、みんなに羨ましがられた。さすが爽熾。やはり俺の天使』


あ、そうだったんだ。


喜んでくれてたのは知ってるけど、羨ましがられたとは…嬉しいな。


褒められたとは聞いてたけど、そこまでとは。


『今日は体育祭だった。お弁当を作ってきてくれた弟に良いところを見せるため、めちゃくちゃ張り切った。兄ちゃんカッコいい!と喜んでくれた。兄ちゃん、お前の自慢の兄ちゃんでいられるようこれからも頑張るよ』


「頑張らなくても自慢の兄ちゃんだよ、兄ちゃん」


クスクスと笑う。


兄ちゃんはいつも俺にカッコいい背中を見せてくれるんだ。


『今日は久しぶりに俺が手料理を作った。爽熾が作ってくれるみたいに綺麗には出来なくて、ところどころ焦げてたけど美味しいって食べてくれた。弟が天使すぎる』


あの時かな?


俺の誕生日の日。


好物ばかり作ってくれて、お世辞抜きで美味しかったんだけどな。


『爽熾が中学に上がってきた。これでまた一緒に通える。なんたって中高一貫校だからな!入学式では高等部二年生生徒会役員の俺が爽熾のブレザーに花を飾ってやったんだ!兄ちゃんカッコいいってまた言ってくれた!嬉しい!』


あの時は俺も嬉しかったなぁ。


なんたって自慢の兄ちゃんだからね!


『入学したての弟が、俺の弟だと知られて色々影で言われているらしい。俺の絞りカスとか、兄の七光りだとか…親の七光りは俺も言われたことあるな、全員実力で見返したけど。…さあて、弟にちょっかいをかけようとするカスどもをどうしてくれましょうかね』


え、俺そんなこと言われてたの?


全然気づいてなかった…まあでもたしかに兄ちゃんの絞りカスかもな。


兄ちゃんは最高の兄ちゃんだし、その絞りカスの俺も実際それなりに優秀とはいえ兄ちゃんの前では霞むし?


でも別に言われても気にしないのに、兄ちゃんは心配症だなぁ。


…カス呼ばわりされた俺にちょっかいをかけようとした人、顛末が書いてないけどコッテリ絞られたんだろうな。可哀想。


『なんだかファンクラブみたいなものがあるらしい。全然気づいてなかった。そのファンクラブの子達に、なんであんな似ても似つかない弟ばかり可愛がるのかと詰め寄られた。爽熾の可愛いところを一時間超聞かせてあげていたらいつのまにか全員いなくなってた。後日弟のファンクラブが出来てた。やったぜ』


何がやったぜなの兄ちゃん。


そして俺のファンクラブなんてあったの!?


『大学に進学した。弟が超祝ってくれた。幸せ。父さんと母さんは、いずれは俺と爽熾の両方に会社を任せたいらしいので期待に応えられるよう頑張ってきたつもりだけど…感慨深いな。将来は俺が会長で爽熾が社長の会社で、どんどん会社を成長させて…あー、楽しみ!』


え、待って聞いてない、俺も会社継ぐの!?


一般企業に普通に入社するつもりでいたんだけど!?


父さんも母さんも言ってよ!


別に嫌じゃないけど!


『明日は弟の誕生日。どんなプレゼントがいいかな』


あ、そういえば今日は俺の誕生日か。


すっかり忘れてた。


ということは兄ちゃん、今誕生日プレゼントを買いに行ってくれてるのか。


「ただいまー!」


「お帰り兄ちゃん!」


ということは今から、二人で誕生日会だ!


楽しみだなぁ、どんなプレゼントをくれるんだろう。


俺は兄ちゃんの日記を片付けて、玄関まで走った。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました!


楽しんでいただけていれば幸いです!


下のランキングタグに連載作品いくつかのリンク貼ってます!


よろしければご覧ください!

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