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死贈りの歌姫(旧タイトル:死に急ぐ冒険者は踊り歌って愛叫ぶ)  作者: 青海夜海
第二章 星蘭と存続の足跡
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第二章12話 覗く笑み、狙う牙

青海夜海です。

眠い。

 

 十六日。

 ルナは朝から無法都市外の草原で心歌術(エルリート)による魔術の練習をしていた。


「~~~~っ」


 綺麗な歌声が土のエレメントに干渉して魔術を発動させる。迫りくるクリックベアの足下から樹根が突起し絡め捕る。そのまま息の根をとめた。沈黙したクリックベアを解放しながらルナは額から落ちる汗を袖で拭う。


「はあはあっ……やっぱり、倒すのって難しい」


 現状、ルナが使える魔術は治癒魔術と土魔術の応用、言い換えれば植物魔術と言ったところだ。恐らくルナの性質に依存する形で、極めて殺傷力が低い抑制と回復などに特化したものとなっている。もちろん、ルナが正しく想像すればリヴと同じように土魔術は行使できるはずなのだが……。


「うーん、心歌術(エルリート)なら倒すイメージができるんだけど」


 心歌術(エルリート)による精神解離は幾度と使ってきたことから明確なイメージができあがり、弱いパンテオンならばそのまま霧散させることもできるだろう。

 しかし、こと凡庸魔術に限ってはどうにも思うように発動しない。いや、ルナの本能的な殺傷を嫌う性質が強く反映されており、望まぬ殺傷に無意識的な抑制力が働いているのだろう。


 昨日、リヴが帰ってこない間にアディルに特訓をつけてもらった時のアドバイスだ。アディルの治療は順調で、今日にはもう宿を出て一人でどこかへ行ってしまった。

 リヴもいない今、ルナにできることは特訓くらいしかない。


「少しでも強くならないと」


 クルールとの戦闘で突きつけられた。ルナ一人では何もできないことを。

 いつでも歌う猶予があるとは限らない。もしくはその時間を自分で作らないといけない時が来るかもしれない。その時、精神解離だけに頼った戦法ではロクに戦えやしないだろう。

 大切な人を助けるためには、自分一人で助けられるくらいに強くならないとだ。


「よし! もう一回!」


 先のパンテオンで最後だったが、岩を敵に見立てて石の巨大な棘を想像してみる。その巨大な棘で貫き殺すイメージを。


「ん~~~~」


 土のエレメントにナギで干渉し土魔術を発動させているのに、形状が安定しない。


「やあ!」


 声をあげて解き放つが、駆けた歪な石棘は威力が足りずガンっと弾かれた。


「ま、まだまだ!」


 次はお得意の樹根の魔術だ。ルナにとって一番イメージしやすい樹根で胸を貫くイメージで放つ。樹根は岩を絡め捕るように巻き付き、それから胸を貫く。


「やっぱりだめみたい。どうしてだろう? アディルさんの言っていたように抑制してるのかな」


 傍からみればルナが思うように魔術を行使できない理由が明確にわかった。そう、わかるのだ。ルナの愚かな優しさを知っていれば。


「全部、無力化しようとしてるからできないの。ルナってやっぱり殺すとかできないじゃん」

「え?」


 唐突な批評に振り返ると、そこには怒った顔のリヴがいた。


「リヴ!」

「なんで? あんたはそうまでして特訓してるの?」


 駆け寄りかけたルナをその言葉が制止させる。特訓の意味は簡単だ。


「強くなってリヴを、みんなを守るためだよ」

「――――でも、殺せないよね?」

「昨日、アディルさんにも言われたの。殺すことができないから殺す魔術がうまく使えないって」

「お兄ちゃんの言う通りだよ。ルナは、やっぱり人殺しになっちゃダメ。ルナには似合わないから」


 (うつむ)きかける目線をあげてルナの返答を待つ。ううん、待たなくてもわかりきっている。ずっとずっと、リヴを見つめる瞳は同じ輝きを放っているから。


「私はね。誰にも死んで欲しくないって思ってるんだ。あはは、矛盾してるよね」

「…………」

「……でもね、やっぱりリヴもアディルも大切なの。うん、大切なんだ」

「…………」

「だからね。また、アイレさんたちみたいなことがあっても、きっと私は同じことをするんだと思う」

「どうして?」


 ルナは苦笑を含んだ微笑みで、ちゃんと言葉にした。


「だって――私たちめんたいこ仲間だから」


 そんなちゃんちゃらふざけた回答にリヴがバカみたいと吹き出した。

 その表情が張り詰めていたものから和らいでいく。久しぶりに見て恋しいなと思ってしまう、そんな笑みで笑い声をあげた。


「ふふふ、あはははははははははは!」

「笑い過ぎだよー」

「だ、だって……それって悪口じゃん」

「そ、そうかもしれないけど、そうじゃないっていうか」

「あーもう、なんでルナはそんなに眩しいのかなー。イヤなのに離れられないよ」

「イヤ⁉ わ、私のこと、そ、その……嫌いなの?」

「今のめんたいこっぽいルナは好き」

「それって褒めてるの? 今更だけどめんたいこってなに?」


 リヴには罪を認めて罪人になるなんてことはできない。いくらでも免罪符と言い訳を探して正義で保護しようとするだろう。そうしないとリヴは前を歩けないから。

 反対に、ルナは罪人となっても前を歩いていける。それだけの強さを持っている。自信があってアディルみたいに明確な生きる意味を持っている。

 自分とは違う彼女が眩くて自分が間違っているみたいに感じて嫌だった。なにより……


「ううん。……はあー、しょうがないなー。ルナは仲間だから、この天才錬金術師リヴちゃんが魔術の指南をしてあげる」

「? ようわからないけど、お願いしてもいいの?」

「バッチコーイ! こう見えてもあたし魔術は平凡だから」

「一流とかじゃないんだ……」


 罪が怖い。罪人になりたくない。あんな出来事はもう嫌だ。裏切られるのはもうたくさんだ。だからこそリヴは依存する。不都合なものには蓋をして目を塞ぎ耳を閉じ口を噤み。


「ついでに素材の採取もしちゃおっか」

「もしかして、私都合よく使われるの?」

「大丈夫大丈夫。ぜんぶルナの修行だから、都合よく利用しようとか、戦うのめんどくさいとかまったくこれっぽっち思ってないから」

「リヴの大丈夫は信用できないよ!」


 リヴは【道化】を演じる。それこがリヴが『リヴ』として生きられる瞬間を繋ぐ日々だから。






 二人が無法都市郊外の平地で素材採取に出かけた頃、アディルはアンギアと密会していた。

 場所はアンギアの家だが、防音保護魔術の錬金物(アルケミス)で外に漏れ出ないように細工がなされている。万が一にでも会話内容が漏れ出てしまえば、二人の命の保証がなされなくなる。いや、そもそも命に保証などないのだが、より命が危ぶまれる状況に陥ることを差す。


「借りはァ返すゥ。それだけだァ」


 それがアンギアの妥協だった。義理堅いとは言わないが恩を仇で返すまでの卑劣さは持ち合わせていないようだ。

 状況としてはアンギアとリヴが対峙した時と酷似し、しかし雰囲気はシリアスよりも威圧的な緊張感で満ちている。

 階段から顔を覗かせたネルファは、異様なそれこそ殺し合いを始めるような空気感にバタバタと自室へ引っ込んでいったほどだ。互いが互いのことを嫌いという点も原因の一つだろう。

 しかしだ。今回はアディルがアンギアから情報を引き出す権利がある。諸々のことから借りがある分、アンギアは強く出られない。

 量産型の安く苦いだけのコーヒーを啜り、吐き出す息を整えカップをテーブルに置く。数秒の沈黙を置いてアディルは訊ねた。


「オマエに俺らの件を依頼した軍の野郎は誰だ?」


 都度二回。最初はアディルたちがネルファを無法都市に送った際。二回目は『青鈴の蘭草原』でクルールとの戦いの際。どちらに置いてもアンギアは軍から受けた依頼を遂行するために動いていた。


「一回目だが、あれはギウン・フォルス・サリファードだな?」

「アア。テメェーの言う通り、ギウン、あいつだァ」

「内容はなんだ?」

「……ここにテメェーらがァ来やがるからァ、包囲させろってなァ。最初は俺も断ったぜェ。けど、憲兵を配置するだけでェいいって……それに、クソ野郎だろうがァ同期の仲間とあっちゃァ簡単にィ断れねェーよォ」


 これはアディルが予想していた所だ。

 天場に連れ去られた後の十日間。ノアルとマリネットを使ってギウン・フォルス・サリファードを含める軍の動向などを調べた。そこで判明したのがギウン・フォルス・サリファードを含む東部戦線を守護する軍主貴族サリファード家がカバラ教徒だったこと。

 事実、彼ギウンはカバラ教の信者であり、サリファード家が周囲の零落寸前や問題を起こした没落貴族をカバラ教に入団させ自陣に引き込んでいたこと。何より、ギウン自身がアディルとリヴを【エリア】への行進を(はば)むべく、カインとネルファを利用していたこと。ネルファとカインに悲劇が起こったのは(ひとえ)にアディルたちが無関係とは言い切れず、アディルの偽善は今こうしてネルファがアンギアの下で暮らせるようになっている。

 けれど、その闇はあまりにも深く彼女の失ったものは大きすぎた。

 どこまでも落ちて行きそうな思考を拭い去り、今は現状に注意する。


「ッチ。そういうことかァ。あいつはァ俺だけじゃねェー。カインも騙しやがったかァ」


 どうやらネルファとカインの事情を他人よりはよく知る彼は、ギウンとカインの同期という親しさの観点から思考してなんとなく事実に到ったようだ。これについて深く真言するつもりはないが、忠告だけはしておく。


「ギウンはカバラ教だ。あいつ単体で動いてたかは知らねーが、あいつの息がかかった奴がいる可能性はある。軍にカバラ教徒がいた時点で軍兵のほとんどは信用するな」

「はっ。つまりだァ。テメェーはァ二回目の依頼もカバラ教絡みって考えてェやがるわけだァ。軍じゃねェー。ギウンの息がかかったァ手下どもってなァ」


 最初はアディルも軍が優秀な駒であるアディルたちを逃さないための施策だと思っていた。しかし、実際にはカバラ教徒のギウンの仕業であり、最終的には殺そうとしてきた。それを踏まえて考えれば、軍が大罪人を処刑するための依頼ではなく、軍に偽造したカバラ教の計画だった可能性が高く浮上する。歌姫(ディーヴァ)のルナを回収する旨は軍を意識させる口実。


「あいつらが俺らに何を望んでやがんのかは知らねーが、軍……いや、トマト総司令官は【エリア】に逃げた罪人なんざを殺す暇を持つような馬鹿じゃねー。むしろ、俺らの存在をカバラ教への抑制力に使ってやがったのかもな」

「だとすればァだァ。軍そのものが既に機能してねェー……違うなァ。これは」

「ああ。軍は奴らカバラ教によって利用されてやがる。そして、無法都市の公益序(ギルド)にカバラ教が既に関与してやがる可能性がある」


 公益序(ギルド)とは、嫌い合う冒険者と天場の人間が交易のために使う仲介所だ。天場と地下の公平性を求められる職員たちはギルドに所属する形で、地下と天場それぞれから選出された者が多くの試験と審査を越えてギルド職員という地位につける。

 つまり、軍で何年もカバラ教だと隠していたギウンがいるのなら、ギルド職員の中にカバラ教徒がいても不思議ではない。加えて天場、地上共に互いの情報を得られる情報源こそが『ギルド』なのだ。


 例えば、軍がアディルたちを永久帰還不可条約の処罰を降したという情報も、アンギアがギルドが発行する情報誌から得た天場の情勢だ。アディルたちの殺害処罰の旨と軍の行動を見れば、一見カバラ教と軍が繋がっているように見えてくるが。


「軍もギルドも隠れ(みの)か。その上でいつでも罪を擦り付けられるように背後から操ってやがる。下手に動くと俺らを悪者にして殺す。そんな算段かもな」

「ッチ。ネルファがァ生きてやがる時点でェ相当あぶねェーじゃねェーかァ。……待てェ。まさかァ、二回目の依頼はァ——」


 ふと気づく。軍とギルドの裏にカバラ教が動いている可能性から、そのカバラ教がネルファたちに何をして、そして与えられた依頼内容にアディルとリヴの始末があったこと。あらゆる情報を並べていくと見えて来たのだ。

 驚愕と苛立ちに舌打ちしたアンギアにアディルが顎を下げる。


「――俺を殺す気ィだったってかァ」


 そう、それが歌姫(ディーヴァ)の存在。


「ネルファとカインはギウンと接触してやがる。つまり、カバラ教が関わってることに」

「アア、カイン(あいつ)ならァ気づいてやがんだろうなァ」

「でも、ネルファは気づいていない。それを知る術はないわけだ。攫猿(サル)に攫われたネルファを俺らは届けた。その時点でネルファは一人になり殺せるはずだった」

「俺の存在とォネルファ(あいつ)が思ってもねェー行動をしたせいかァ」

「それに、アイレの存在が事態を掻き乱した。だから、ネルファに接触したオマエとオマエの仲間ごと殺す策略にでたわけだ。そこに(キー)となったのが」

ルナ(ディーヴァ)ってわけかァ」


 今一度、アンギアは軍の将官と名乗る男から出された依頼を思い出す。


「――”アディル二等兵、リヴ二等兵の殺害。歌姫(ディーヴァ)のルナを保護したのちに軍に譲渡。歌姫(ディーヴァ)の保護を最優先事項とすること“――。

 これが二回目の依頼内容だァ。追加報酬の話しもありやがったァしィ、アアそうだァ。行方不明の件だがァ、テメェーらにィ依頼する提案をしやがったんはァギルドの女だァ」


 やはり、すべては仕組まれていたようだ。

 軍の罪人処分を偽造利用した明確な殺害の意志。治安の悪い無法都市では、アディルとリヴがルナを一人にしないことを先読みしてのギルドを隠れ蓑にした誘導操作。アイレがカバラ教に関与しいていたとは思い難いが、三百年に渡る千人の生贄の準備は気づかれていた上で利用されたと見るべきだ。


「ッチ。クソがァ。ここまで来やがるとォそもそも無法都市(ここ)で多発したこと事態がァ怪しくなってきやがったァ」

「依頼人はどんな奴だった?」


 アンギアは腕を組んで思いだそうとするが、まるで(もや)がかかったように男と将官以外に思い出せないようだ。悪態をつき壁を殴りつける。

 下からの凄い音にネルファが「きゃっ⁉」とびっくり跳ねた。


「つまりだァ。奴らカバラ教はネルファと俺を口封じしようとしやがったァ。そのためにィテメェーらはァ利用されたってわけだなァ」

「恐らく俺らに対する殺意も本当だろう。奴らの目的は判明しねーが」

「死んでねェー俺らはァまだ狙われる可能性がァあるってわけだなァ。ッチ。んなふざけやがったァことはァさせるかよォ。二度はねェー!」


 思い到ったのだろう。五年前の『ジェヴーダンの蹂躙』の二の舞いの可能性に。だが同時にだ。


「待て。なら俺はァまだ生きてやがるゥ? 依頼失敗は通達したぜェ」

「希望観測で言えば、何も知らないと断定されてターゲットから外れた可能性」

「バカが過ぎんだろォ。三流でもォ証拠が出るまでェ疑いやがんぞォ」

「カバラ教の基本なんてわかるわけないだろ。心でも読めんじゃねーのか」

「ハッ! 神の寵愛でもォ受けやがったかァ。ならっ、神ってのも頭が大概おかしいぜェ」

「まったくだ。救世主(メシア)を求めるくらいなら脳を注文しろよな」


 そう言うとアンギアはバカにするように大声を上げて笑った。

 そうさ、笑えるようなことじゃなくても笑ってないとやっていけないだろ。こちとら命を狙われてやがんだから、とばかりに叫ぶように笑う。


「アンギアさん、次はなんだかご機嫌みたい……ん? 叫んでるのかなこれ?」とネルファは困惑していた。


 色々話は錯綜したが、事実は一つ。


「奴らは確実に色んな場所に潜み俺らを殺す、あるいは利用する機会を窺ってやがる」

「ッチ。カバラ教ってのはァ演者の集まりか何かかァ。あー大道芸人かよォ」


 今までまったく気づかなかったことから精巧にその人を演じているようだ。疑心暗鬼は争いを生む種ということは理解しているが、こうも敵の陣地が広いと疑わずにはいられなくなる。それが裏目にでてカバラ教に関係のない重要なことを見逃す可能性もあるわけだ。これも一種の精神攻撃と見ていいだろう。

 そもそも、ギウン以外に自らの手で殺そうとしてこない分、今はまだ様子見なのかもしれない。

 だが、アンギアと情報を照らし合わせたことで大部分の真相が見え、カバラ教の特徴を掴むことができた。情報としては些細だが意識での対策には充分だ。

 ここで一つ、アディルは偽善を尽くす。


「それでだ。この考えに到った上でそれでも信頼できる奴らがいる」

「テメェーのダチかァ?」

「いや……悪友に近い」

「はっ! 男ってのはァめんどくせェーなァ」


 どうやら彼にも似たような経験があるらしい。


「でェ、それを俺にィ教えて何がしてェー」

「オマエのためじゃねーよ。……ただの偽善だ」


 ああそうさ。アディルに優しさはない。すべては偽善で自己満足の利己心だ。罪の意識があるならそれを拭い去るための慈善活動の一環だ。彼の優しいさは自分のためであり、相手のためではない。

 アンギアは難儀なクソ餓鬼に。


「テメェーらめんどくせェーな。兄妹かよォ」


 と呆れられた。兄妹だよ。


 兎にも角にもネルファのためにもアディルはノアル、セルリア、ヘリオ、マリネットの四人の情報を伝え腰をあげる。


「テメェーらはどうしやがるゥ?」


 玄関に歩を進めた脚を止め振り返り。


「明日には二層にいくつもりだ。危険とわかった所でジッと怯えててもどうしようもねーからな」


 そうさ、変わらない。変わらないのだ。


「誰が邪魔しようが、俺の邪魔は許さねー」


 決してアディルの目的は変わらない。その意志は揺らぎない。歪で強靭的な強固な使命感は何人たりと動かせない。彼は歩を進め扉のノブに手をかけ。


「守れよ」

「……たりめェーだァ。二度はねェーよォ」


 そんなアンギアに一定の信頼を置き、ネルファを任せると彼の家を後にした。

 そして見上げた白い空に舌打ちを零すのだ。


「カバラ教……嫌なことをお思い出させやがる」


 ずっと昔の、自分がずっと無力だった時のこと。

 決して忘れられない、否、忘れたくなどないあの雪辱と後悔を。

 それは余計にアディルを強靭な意志へと突き動かした。


ありがとうございました。

カバラ教が少しずつ見えてきましたね。

感想などあれば宜しくお願い致します。レビューなどもよければお願いします。

次の更新は金曜日に行います。

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