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死贈りの歌姫(旧タイトル:死に急ぐ冒険者は踊り歌って愛叫ぶ)  作者: 青海夜海
第二章 星蘭と存続の足跡
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第二章66話 死ねない灯火

青海夜海です。

遅くなってすみません。

 

 時は遡り、死滅の儀式が行われたその時間。

 死滅の運命によって怪炎人(ヤモモデオート)に与えられた恩恵は『覚醒』であった。そのためにヤモモデオートは(まゆ)に籠り数多のパンテオン化したカバラ教徒を養分として摂取することを始めた。

 死滅の儀式が与えたヤモモデオートの力は、ただの養分とすることではなく力として蓄積し成長すること。その力を奴は手に入れた。よって、ヤモモデオートはパンテオンだろうが人間だろうが喰えば喰うほど能力や身体が強くなる。

 そうして、ヤモモデオートは今世に再度復活したのだ。


 その光景を見届けたのは一人。嫌な予感と共に死を覚悟で化け物の下に訪れた一人の女。

 女は見た——同族喰らいの化け物が繭を破りその身をこの世に真なる姿で顕現させたその瞬間を。


「孵化……したというの?」


 瞠目(どうもく)するカトレアは呼吸すら忘れ目を奪われた。優美や美麗さの欠片もなく、(おぞ)ましく醜穢しゅうわいで物語る糜爛(びらん)な様は正しく人の形を保って顕現する。その有様に酷い逃避と拒絶が生まれながらに、釘付けとなる。

 眼にしたくなどないが、目にしなければならない。でないと死んでしまうからだ。

 戦慄は醜さと共に奴の脅威ももたらしていた。

 カトレアは直観的に死ぬことを悟った。ここで眼を背け現実逃避すれば、この身は容易く熟肉となり化け物の養分となる。永遠に帰還することのできない炎獄の中で、炎と穢れの汚染に永久の痛苦を上げ続けることになる。それは、どんな死にも引けを取らない最悪な結末だった。

 だから、カトレアは見つめ続けた。呆気と驚愕から覚めても、見つめ続けた。そうすることで思考を整理し相手の動きを観察しこの後どうするか考え続けた。


「…………」


 一度交戦した手前、ヤモモデオートの特性はカトレアも知るところ。音を立てず息を止めて気配を消し遠ざかるのを待つ。

 そう、ヤモモデオートに視覚はなく聴覚ですべてを読み取る。だからカトレアの咄嗟の判断は正解だった。もしも、ここに第三者が関わっていなければ。

 理屈はわからない。ただ、緋色の魔術陣より命令を受けたヤモモデオートは潰れた黒い眼でしっかりとカトレアを照準に定め、甲高い咆哮……人間の叫び声をあげた。


「なんでよ⁉」

『ラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』


 初見での邂逅であればカトレアはこの一撃で死んでいたであろう。加えて騎士としての経験が彼女に反射反応をさせた。

 一息で詰められた百メルの距離。叩きつける二メル越えの腕にレイピアで守護する。


「ぐっ!」


 想像以上に重い一撃はカトレアを中心に大地に罅を入れ瓦礫を浮かせてみせる。数メルのクレーターを波紋のように築き、カトレアの足腰に凄まじい痺れとなって衝撃を加えた。が、鍛え上げられた肉体はこの程度で揺らぎはせず。


「私に歯向かうなんて……いい度胸ね。いいわよ。貴方をここで跪かせてあげるわ!」


 腕を押し返し風の膜を纏い直しヤモモデオートの懐へと踏み込む。風魔術で周囲を大きく揺らめかし音を混在させ分散させる。呼吸を小さく踏み込む脚音も軽く、けれどぐっと踏み込んで。


「ふっ————」


 心臓を穿つ一撃を放った。レイピアの突撃はヤモモデオートが纏う炎を貫き人間の左胸にある心臓へと一直線に閃撃が渦を巻いて放たれる。

 仕留めた——と思った矢先のことだ。カトレアは己の眼を疑わざるを得ない。なぜなら突き刺す剣の先には炎と肉の残滓しかいなかったからだ。


(避けられた⁉)


 ヤモモデオートの誇る超速移動がカトレアの意識内で計算された、一度目の邂逅の時との速度が一致しない。繭に籠る前より遥かに増した速度はカトレアの度肝と混乱を突く。


「奴は——」


 はっと空を仰げば跳躍しているヤモモデオートがおり、奴は着地と同時にカトレアの背へ驀進した。まるで風を切る所業。目では追いきれず気配と温度と感覚だけでカトレアは斬撃で迎え撃つ。

 そうして、防戦に回りがちになりながらカトレアとヤモモデオートの死闘が始まった。





 その死闘が始まるほんの少し前、イリュジアンは保護した少女ヒマリをどうするか考えていた。

 空に緋色の魔術陣が浮かび上がり暗雲立ち込める変貌を見せ、同時にヤモモデオートの静けさに嫌な予感を覚えカトレアが偵察に向かったその一方でイリュジアンにはヒマリを生かすための非道な役割が与えられていることに、そっと自覚していた。


(恐らく僕らはあの化け物と戦う羽目になる。この子を庇っていられるほど余裕がある戦いになるとは思えない)


 あの化け物——ヤモモデオートは瞬間的な速度と超速から繰り出す威力を持ってイリュジアンの部隊員たちを瞬殺してみせた。三十人ほどいた部隊はイリュジアンとカトレアの二人だけとなり、奴の炎獄のせいで都市ウルクから逃走することも応援を呼ぶことも不可能。残された物資と後は自分たちの気力のみでなんとかしなければならない。


「…………」


 その時に、一般人のヒマリを守りながらヤモモデオートを対処できるのか。


(理想は、できるに頷きたい。でも……現実的に無理だ)


 それがイリュジアンの見解だった。ヒマリを守りながら戦うことはできない。その選択をすれば必ず全員が死んでしまう。


 イリュジアンは精鋭部隊の部隊長であるが、自分が特別強いなどと過信していない。むしろカトレアと力比べをすれば八割で負ける確信がある。魔術においても全属性適応の才能はあるが、セルリアのようにバカげた威力を披露できる才はなく、指揮能力において優秀だがそれで軍司になれるかと言われれば頷けない。事、錬金物(アルケミア)を用いる戦法ならアディルとリヴのコンビに軍配があがる。

 劣っているとは言わない。確かにどれを取っても優秀だ。才能には恵まれている。だが、天才ではない。特質した才能ではない。凡才に等しく優はあれど勝ることはない。

 それがイリュジアン・ザードの戦力としての見分だ。

凍結時計(フリーズ・テンプス)】。かの神聖魔術すらもあらゆる欠点を抱えている。一線を画す魔術であることに変わりはない。だが、その力で戦場を一変させすべてを救えるかと言えばそんなことはなかった。

 休息なしの戦闘で使える回数は精々三回が限度。連続で使っても十五秒の間しか時間を凍らせることはできず、その間に動けるのは自分のみ。それで何ができるかと考えれば、何もできない。できることはある。不可避の一撃から救うことはできる。一体や二体くらいなら心臓に剣を突き刺すこともできる。

 それでも——本当の英雄には遠く及ばない。


「…………」


 優秀でありながら、あらゆる面で劣るイリュジアンは己に過信などしない。男の矜持など既に持ち合わせていない。


「カトレアは僕のこと、勇者なんて言うけど……君の足元にも及ばないよ」


 だからと言って顔を俯くことはしない。それをしてしまえば最早イリュジアン・ザードに価値などなくなってしまうから。

 顔を上げ思考を回し皆が生き残る最善策を考える。

 そして、その最善策は単純明快だった。

 息を微細に吐き切りイリュジアンは隣に並ぶヒマリを見る。二〇のイリュジアンより二つほど幼い彼女は名前の花のように大きな瞳を不安と恐怖に染め上げ、マメのできている白い指先が震えている。その手がぎゅっと持つロケット。

 名前の花と同じ髪色の奥で疲弊と哀しみに暮れた相貌を覗かせる彼女に、それでもイリュジアンは決断せねばならなかった。彼女に生き残るための過酷を与えなければならなかった。


「ヒマリ……だったな」

「は、はいっ」


 唐突に名を呼ばれ身を縮こめるヒマリ。色々と思う所はあるが、今は彼女の心情を無視してイリュジアンは語る。


「僕たちはこの都市ウルクに在中している化け物を倒さないといけない。今よりもずっと悲惨で激しい戦場になる。僕らは君を守りながら戦うことは……恐らくできない」

「…………」


 息を詰めるヒマリに、だからとイリュジアンは眼を見て。


「君は逃げるんだ。僕たちと反対方向へ逃げろ」

「わ、わたし一人で……」

「ああ。今は炎獄のせいでこの都市からできることができない。でも、必ず僕たちが君を救いだす。だから、そのロケットをしっかりと握って生き延びてくれ」


 地獄だ。その選択……などと言い難い選択は地獄を彼女に強制する選択肢だった。

 彼女を再び孤独に晒す。ロケットの効果も効果時間もわからないまま、何がいるかわからない灰燼の都市を徘徊する。すべては生き残るために、ただ一人で。

 ヒマリは絶句した。またも、自分が逃がされる事実に。またも、孤独なる運命に。そして——

 遠くから大地を震え上げる爆破と共に立ち上がった青年に。


「約束だ。騎士イリュジアン・ザードとしてここに誓おう。君を必ず生還させると」

「…………」


 まるで、祖父のような言い分に。

 手を掴まれ無理矢理に立たされる。呆気が恐怖を上回り、淀みない碧の瞳が勇気を灯し。


「さあ、逃げろ」


 そう、背を押されヒマリは何も言えず、ただただどうしようもないやるせなさを胸に軋ませながら激しい音のする方と反対の方向へと走りだした。

 その今にも泣きだしそうな背を見つめながらイリュジアンは己の不甲斐なさを嫌悪しては戒める。

 息を吐いて視界と思考を切り替え、足の爪先は戦場へと向けた。


「絶対に生還させる」


 意気込みを誓いに、イリュジアンは戦場へと向かった。





 時は戻る。

 そうして幕の上がった聖戦は一触即発の超速激戦へと到り、剣と怪腕が交差する度に大気が大きく爆ぜ時に炎を咆哮させた。

 都市を揺るがす幾度の爆発。かなり距離が離れているはずの少女の所まで響いてくる。

 少女のヒマワリ色の髪を揺らし生き物のように所々で発火。その度に声を上げては懸命に逃げ続ける。飛んできた瓦礫に太ももの皮膚を裂かれ、風に巻かれる灰に眼を痛め、悲惨な死体に嘔吐し、生き延びているパンテオンに見つからないように殺せない息を殺して逃げ続ける。

 痛苦を声にする暇などなく、どうすればいいか考える余裕すらない。緊張感と孤独と恐怖に埋め尽くされた心は声を噛み殺しながらずっと絶叫していた。

 それでも生き残るために懸命であれているのは。


「はあはあっ……おじいちゃんっ」


 生き残ることを託され、この身は彼の献身と愛によって残された命だから。

 少女――ヒマリは生きることに懸命にならざるを得なかった。


「はあはあっ、はあはあっ」


 だが、心は限界だ。ヒマリは強靭な精神も鍛え上げられた肉体も絶境で打ち勝つだけの勇気や自信も持ち合わせてはいない。数多の愛に包まれ鍛冶師となるために研鑽を続けていた、そんなどこにでもいるような娘でしかないのだ。

 物心ついた頃には両親はおらず、祖父と近所の人たちに実の娘のように愛されて生きて来た。未だかつて死の危機に直面したことはなかった。誰かが死ぬ瞬間を見たこともなかった。それらに実感はなかった。アディルも終ぞそういった話しは一切しないまま旅に出てしまった。だから知らなかった。

 つい数日前までは。


「こわい、こわい……よ」


 目の前で家族が殺された。赤い血を噴いて倒れていった。


「死にたくないっ……死に、たくないぃ」


 首が切り跳ぶ。身体が粉砕される。腕と脚がもげる。身体が吹き飛ぶ。炎が絶叫ごと奪い去る。


「おじい、ちゃん…………たす、けてっよっ」


 助けられた。祖父アンベルが命に代えて守ってくれた。生かしてくれた。家族のような近所のおじさんやお姉さんたちが守ってくれた。

 彼らはもういない。


「助けてっ助けてっ! た、すけてよ! もう——いやだぁ……すん」


 涙が溢れ出ていた。鼻水がみっともなく流れ出る。走る脚が止まり、膝が折れて両手で顔を覆う。絶望に押しつぶされ、ヒマリはその場に両ひざをついて蹲ってしまった。


「嫌だ! 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ! 嫌だよっこんなの! もうっイヤ!」


 みんな死んでいく。みんな死んでいった。みんないなくなる。みんないなくなった。

 もう、ここには誰もいない。家族も友達も趣味仲間も顔見知りもあの兄妹も。

 もう、ここには誰もいない。全員が死んでしまった。自分一人を残していなくなってしまった。生かされてしまった。死ねなくされてしまった。だからといって死ぬのは怖くて、だからどうしようもなく嫌だった。


「イヤ! イヤ! イヤっ! イヤァァァァァァァァァァァ!」


 麻痺していた絶望感が恐怖の抑圧により決壊する。


「死んじゃイヤだよ! 勝手にっいなくならないでよ! あたしっ、一人なんてイヤだ……もう、寂しい想いはしたくないのに……おじいちゃんが、みんながいてくれたら……それだけで、よかったのにっ。あたしだけ、生き残っても……何もできないよ……」


 痛苦の嘆きは悲惨を呼び込み孤独に押しつぶし愛を蔑称する。


「アディルくんのバカ……おじいちゃんのっバカっ! リヴちゃんのバカ! エリさんのバカっ! モルドおじさんのバカ! キルネお姉さんのバカ! バカっバカっバカっっバカバカバカっ! 痛いよ……こわい、よ……だれか、いてよ……たすけてよっ……もう——いやだぁ」


 その身は落ちて行く。どこかずっと暗い所へ、どうしようもなく落ちて行く。どうしてか、その怖いはずの闇に安心感を抱き、その静けさが心地よくその身を解脱させる。

 枯れることのない涙は萎れ、途方の無さに見上げる赤黒い空が肯定し、脱力が手に握るロケットを手放してしまう。


「帰りたいよ……」


 零れた一音。剥きだしの切願が流れた。

 その願いを叶えんと、跋扈するパンテオンたちがぞろぞろと近寄ってきた。何も握りしめぬ手に集ってくる。唸り声を上げ四本の腕をうねうねと動かし、ヒマリの様子を窺いながら着実に距離が詰められた。

 その足音と気配に「なに?」と振り向くヒマリにパンテオンは充血した赤い眼で見返し、殺意をこれでもかと浴びせてきた。一瞬、ヒマリは恐怖に叩きつけられ硬直したが、それも束の間のこと。なら無様に後退したかと聞かれればそうでもなかった。ヒマリは叫ぶことも逃げることもなく、ただ唖然とあるいは諦観的に。


「なんだ……あたしも死ぬんだ」


 逆らえない死の運命に悟りを開いた。いや、ただ何もかもを諦めた。

 だって、ヒマリに戦う術は何もない。立ち向かう勇気だってない。希望もないのに逃げるだけなんて怖くて痛くて寂しいだけだ。それは、誰かが死ぬのとそう変わりはないこと。

 ヒマリは思ったのだ。

 ——やっと解放されるんだ、と。


「…………」


 迫りくる死。おじいちゃんたちを殺した化け物。憎くて怖くて悲しくて。ぎゅっと目を瞑ってその時を待った。奴らの腕がこの身を引き裂いて死ぬ時を。


「ん—————」


 だが、いくら待ってもその時はやって来ない。不審に思いながら恐る恐る目を開いて——


「え……」


 そこには目を見張る光景があった。この手から離れたロケットがひとりでに浮かび上がり、黄色に輝いていた。パンテオンたちはその光に怯むように困惑の声を上げ後退る。だが本能なのかパンテオンたちは怯みながらも奇声を上げ背中から生える両腕を伸長させて攻撃してきた。


「いやぁあ⁉」


 声を上げるヒマリを守るかのように一際強く輝きを放つと、そのロケットを心臓の位置にとある幻想が顕現した。

 その存在は透けるささやかな幻想体の腕を伸ばし、目を凝らしてわかる口元が何かを唱えると伸ばした腕の指先から数多の光線が迸り、パンテオンたちの腕を吹き飛ばす。

 実態のある光線——魔術は容赦なくパンテオンたちの胴を貫きそのすべてを沈黙させた。

 再び訪れた沈黙と生かされた刹那。思わず顔を守るようにした腕を退かし、ヒマリはやはり恐る恐ると現実を目にする。


「…………これ、あなたが……」


 光に透けて消えてしまいそうな透明な幻想体は人の形をしているように見えた。その幻想体はゆっくりと振り返り。


 ——私の信じる、貴女を信じて


 微かでささやかで小さな女性の声音は、そう確かに語り風景に溶けるように消えていった。

 コトンと地面に転がるロケット。中が開かなくパンテオンを寄せ付けないロケット。ずっとヒマリを守ってくれているロケット。


「今の……」


 ヒマリは恐る恐るロケットを拾い上げじーと見つめる。なんの変哲もないフェロクロムという金属で作られており、デザインはいたってシンプル。どこにでも売ってそうなロケットだ。

 なら、さっきのは見間違いだろうか。そんなことはない。見間違いでも虚像でもない。

 だって、ヒマリの魂が言っているのだ。


「……お母さん?」


 わからない。ヒマリは両親に会ったことがない。何度か写真を見せてもらったことはあるが、今ではその記憶も曖昧で幻想の人物が母親という確証など一つもない。

 だけど——


「…………信じて、くれてるの?」


 母親の香りがした。その温もりがあった気がした。いつかこの身が抱かれたその温もりにあなたの声音がある気がした。

 なにより、そう信じることでヒマリには救いとなった。だって——


「お母さん……なのかわからないけど、あなたがいてくれたらあたしは一人じゃない」


 孤独じゃない。守ってくれる存在がいる。それだけでヒマリには十分だった。それだけでヒマリは顔を上げて歩き出せた。


「うん。あたし、がんばるよ。おじいちゃんの命を無駄になんてしない」


 ヒマリは決意を新たにロケットを胸に抱き寄せ、そして踵を返した。

 西区画のとある場所へ向けて。そこは激しい戦場の近くだけど、イリュジアンには戦場から離れろと言われたけど。


「待ってて。あたしが、みんなの無念を果たすから」


 ヒマリは駆け出した。

 その身を焦がす灯火はなにか。

 少女は走る。ただ一つ、生まれた時から目に焼き付け耳に覚え鼻で嗅ぎ熱を知る、彼らが打つ槌と鉄の矜持を追いかけて。

 ここにとある運命が顔を覗かせた。


ありがとうございました。

次の更新はなるべく早くに頑張ります。

それでは。

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