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記憶の固執

作者: 佐藤山猫

同窓会があって

止まっていた時計の針が

チーズみたいに溶け出した


明日も会える

当然だった

未来も過去も知らない子とした


ひさしぶり いまなにしてんの?

グラス片手に立ち歩いた

思い出話は語らない

呼吸のように自然にそうしていた

あの頃だってそうだった


制服を着て

自転車を漕いで


早弁をして

居眠りをして


机合わせて

宿題を写して


寄り道をして

じゃあまたねって


かけがえのない記憶の固執

輪郭をなくしてもまだ残っている


同窓会があって

止まっていた時計の針は

チーズみたいに溶け出していた

こんな機会じゃなきゃ

思い出しもしなかった


私服になって

駅で待ち合わせ


揺れる電車で

話題に困って


映画を観て

ひとつのポップコーンで


フードコートで

次はどうしよう


囁きあって

片耳のイヤホンで


まだ半分も

経っていなくて


かけがえのない記憶の固執

輪郭をなくしてもまだ残っている


僕たちがなくした輪郭を


明日も会える

当然だった

未来も過去も知らない子とした

おとなになった今だって

こどもに戻った今だって


それでも僕は今日ここに来てよかったと心から思うのです


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