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鑑定士は主役になれない  作者: 藤
プロローグ
8/53

案内人と彷徨人⑥


機嫌を悪くした彼女をなだめるのに少々時間を浪費。

その後は時間の許す限り彼女からセラトスに関する話を聞いた。何せ海外ってレベルではない初めての場所だ。情報はあればあるだけいい。


どれだけの時間、そうしていただろうか。


饒舌に語り続けていた彼女が、ふと目を閉じた。


「……そろそろのようです」


どうしたのかと問いかけると、彼女は時間が来ました、と答える。


時間……ああそうか。


「ここにいられるタイムリミットですか」

「ええ。私にできるのはここまでのようです」

「いや、いろいろと助かりました。地上に行ったら君を女神として信奉させて頂きます」

「やめてください。女神じゃないです」


苦笑いを浮かべているので、まぁこっちが本気じゃないのに気づいているんだろう。

彼女、人間味がありすぎるからな。信仰の対象というよりは推しにしたい感じがする。


そういえば


「名前も聞いてませんでしたね。というかこっちも名乗ってなかったかな」


人に名前を聞くときはまず自分からって奴だ。


「冬住 尚之。この世界に姓の概念がなければただの尚之です。貴女は?」


彼女は少し寂しそうな顔を浮かべて答える。


「フラウベル、です。もう会うことはないとは思いますが……」


ゆるやかに意識が薄くなっていくことを感じる。眠りにつく直前のそんな感じだ。

おりる瞼の向こう側、彼女、フラウベルは頭を下げ


「あなたのこれからの人生に幸いがありますように──」


途切れる。


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