7話 どうしよう
「オッサン、遅いな。日が暮れてきたぞ。」
神に会いに行ったみたいだが、何をしに…まぁ十中八九俺の事だろうな。
俺自身もがっかりだ。まさか両方の適性が無いとはな。
どうなるんだろう、俺。神に『やっぱりお前いらない。死んどけ。』とか、ファンキーな死刑宣告されるんだろうか。
逃げるか?いや、神の事だ。夢に出てくる。そして死刑宣告。
人生詰んだなぁ。まぁ滝壺で一回詰んでるから良いんだけどさ。
「ミズホ。居るか?」
オッサンか。
「おう。居座らせて貰ってる。ところでさ…」
「明日。入隊試験を実施する事になった。」
「は?」
「試験の内容は模擬戦。王城警備隊副隊長と1対1で戦う事になった。」
「待てよ、オッサン!」
「なんだ?」
なんだ?って…俺が言いたい位だ。
「俺、適性無かったんだろ?試験なんて受けられるのか?」
「逆だ、逆。適性無いから試験を受けるんだ。普通は適性と素質で通るんだよ。試験なんて俺も初めての事だ。」
「誰がそんな事決めたんだ?オッサンか?」
「俺と陛下だ。」
ふーん。
「なぁ、王城警備隊?の副隊長ってどれくらい強いんだ?オッサンよりは弱いだろ?」
「魔法無しなら多分俺が負けるな。魔法有りなら俺の余裕勝ちだ。」
その副隊長さんは、魔法使えないのか?それに…
「仮にも隊長のオッサンより強いかも知れないヤツとサシでやれと言うのか?」
「陛下のご意見だしな。それに、王城警備隊は魔法を使わない。陛下の仰る事が本当なら、ミズホでも勝てるかも知れんぞ。」
あのマフィアは何を言ったんだ。
「なんて言ってたんだ?」
「ミズホは達人級だぞって仰っていたな。つまり強いって事だろ?」
「あぁ?うん、まぁ2つ前の職業柄でね。そこそこ。でも達人って程じゃ無いんだがなぁ。」
一般人より強い位かな?
「けど陛下は、確かに仰っていたぞ。達人級だって。」
「あぁもう。いいだろ、その話は。俺は普通。分かった?」
「まぁ、明日には分かるからな。」
「それよりさ、その試験って素手でやるのか?」
ファンタジックな武器が出てきたらどうしよう。燃えてる剣とか
「相手には、訓練室の武器は何を使っても良いって言ってきたぞ。ミズホはどうする?その、腰の短剣使うか?」
アーミーナイフとスローイングダガーか。愛着があるわけでも無いしなぁ。惰性で身に付けてるって感じだったし。
「オッサン。その副隊長さんが、何を使うか分かるか?」
「直剣か短槍、あと体術位か。警備隊の特徴でな、長物はあんまり使わない傾向があるんだ。」
ふーん。やっぱりあれか?城の中で戦うことを想定してるのか?
「じゃあ、スローイングダガー…投げ短剣?って言えば良いのか?これ使うよ。あとは素手で。」
ダガーは3本しかないけどさ
「それだけでいいのか?長槍とか、弓とか、鞭とか、いろいろあるんだぞ?明日見てから決めたらどうだ?」
オッサン必死だな。あいにく、全部使ったことが無い。
「オッサンが言ったヤツ、全部使ったことない。使えない武器を持つとか、頭の悪い子がする事じゃないのか?」
「う…。心配してやってるのに。もう、知らん!あっちの部屋で寝てろ!負けちまえ!」
入り口の対角線上の角にある部屋を指差し、ぷいとそっぽを向いたオッサン。 俺の部屋か?
「なんだよ。本当の事言っただけだろ?拗ねるなよ。な?な?」
「………」
無視かよ。
「飯は?」
「………」
ナシかよ。
「じゃあいいや。部屋、有りがたく使わせてもらうぞ。」
メシどうしよう