第2章 〜欲望と未来のインターセクト〜 ➖調査編➖ ③
まずは脱衣所からだ。
その場であたりを見渡す。
私が最初に目についたのは床に落ちていたスタンガンだった。
それを拾い、スタンガンを観察する。
見た目は普通のスタンガンみたいだけど……確かこれ、気絶して起きた時に私の手に握られていた。
もちろん、私がスタンガンを使うわけがない。きっと、今回の犯人がなんらかの理由でスタンガンを握らせたのだろう。
あとこれ、海ちゃんの持っていたスタンガンと同じやつだ。
まさか、海ちゃんが犯人……?
いや、それは安直すぎか。
ケータイにスタンガンの情報を記録した。前回同様、証拠になるやつは記録しておこう。
次に目がいったのは固定電話だった。これは、事件が起きる前に鳴って、私が応答したけど返事が返ってこなかったやつ。
あれ?私、受話器を元の位置に置いてたっけ?電話に出てしばらくしてスタンガンで打たれた。その時に受話器を床に落としたような……誰かが戻したのか?
あと、気になるところといえば固定電話に貼られているシール。ここには番号が書かれている。「00012」。これはもしかしてこの固定電話の番号?一様、記録しておくか。
そういえば、彩里ちゃんとミソナさんが着ていた服はまだカゴの中に置いてあるまんまだ。
何もないかもしれないけど見てみよう。
それから丁寧に畳んである服を取り出し探る。
とくにこれというものはないな。
あるのは2人のケータイくらいか。
「結衣ちゃん……ちょっとそのケータイ貸してくれるかな……」
「え?」
振り返るとそこには元山さんが手を差し伸べていた。だが、その目は死んだ空の目をしていた。
「ミソナが持っていたものは形見として持っておきたいんだ……それと、彩里さんのもくれると助かるよ……」
何か小細工をしようとしているようには見えない。だけど、さっきから瞬き一つしていない。
「それは構いませんが、元山さん大丈夫ですか?」
「俺のことなんてどうでもいいんだよ……俺は今回の犯人だけは絶対に許さないんだ……」
少し心配だが、元山さんにケータイを渡した。
「ありがとう……」
一言だけ言うと少し距離を置き、二人のケータイをいじりだした。
今回の事件もそうだけど、元山さんのことが心配だ。無事デス会を乗り越えたとして、元山さんは正常でいられるのだろうか。
いや!その時は私が……
そんなことを考えていると、角材に目がいく。
確かこれ、私が目を覚ました時にお風呂場の扉につっかえてて、スライドできなかったやつだ。
これも何かの手がかりになりそうだな。
それとこの入浴剤。
手に取ったのは封が切れた5パックほどの入浴剤だった。
これって確か――
最初に目についたのは、小さな籠に入った五つほどの緑色の袋だった。
私はそれを手に取り、まじまじと見つめる。
「殺戮印の入浴剤強?」
「お客様、お目が高い♡それは、殺戮印の入浴剤強♡それをお風呂場に入れるだけで、5メートルの範囲でどんな匂いでも完全に消せちゃうし、美肌効果もある優れもの!♡」
胡散臭い説明を始めた。美肌効果はともかく、匂いを消せれるのは入浴剤と言えるのだろうか。
言葉通りの意味でいえば言えるけど、匂いを完全に消されるなんて聞いたことないし。
殺戮印の入浴剤強だっけ。大浴場が入れるようになってから殺戮ちゃんが胡散臭い説明を言ってたやつだ。でもこれ、あの時は未使用だったけど、全部使われてる。
流石に入浴剤がトリックに使われるとは考えられないけどメモしておこう。
脱衣所はこんなところか。手掛かりになりそうなものがあるかと言われたら微妙だけど、調査をしないよりかはマシだ。
そんな気持ちを胸に、次はお風呂場を調査することにした。




