第2章 〜欲望と未来のインターセクト〜 ➖調査編➖ ②
「海ちゃん!」
勢いよく図書館の扉を開ける。図書館は前に来た時よりも明るかった。そして、机の前に海ちゃんは椅子に座って机に顔を伏せていた。
「海ちゃん?」
海ちゃんのところにいき、体を揺さぶるが返事がない。
「え!?」
これは本当にやばいかもしれない。あの二人に続き、海ちゃんまで死んじゃったら!
「海ちゃん!海ちゃん!海ちゃん!返事してよ!あなたまでいなくなったら私――」
そう思うと、いても経ってもいられず、海ちゃんの体を思いっきり体を揺さぶる。
「うるさいわね……って、なんであんたは泣いてんの?」
海ちゃんは顔を上げ、こちらを見る。よかった……生きてて……
あれ?私、泣いてた?気がつくと私は涙をこぼしていた。
「べ、別に泣いてないし!そんなことより、何してたの?」
「うちはあのあとここに残って本を読んでた。そしたら眠くなっちゃって寝てたんだけど……」
確かに、海ちゃんの横には本が山積みに積まれていた。それも15冊ほど。あの短時間でこれを全て読もうとしていたのか。
「なんでそんなこと聞くの?」
鋭い顔つきで私に問いただす。隠していても仕方がない。私は覚悟を決めた。
「また事件が起きて、彩里ちゃんとミソナさんが犠牲に……」
「彩里が……!?そ、そう……」
椅子から立ち上がり、一瞬驚いたものの、すぐに真顔になる。私にはどこか辛さを隠しているように見えた。
彩里ちゃんと海ちゃんは同じ学校で同じ部活だった。そんな友達が死んで悲しくないはずがない。
だけどそれは海ちゃんのプライドだ。ここはそっとしておいてあげよう。
「そういえば、スタンガンがないわね。たしか、机の上に置いておいたはずなんだけど……」
スタンガンか。
たしか、そのスタンガンで私は事件が起きる前に海ちゃんに攻撃されてたんだっけ。
それが今はない。でも、もしかしたらあの場所にあるかも。
「とりあえず、現場を見ないことにはわからないわ。案内してもらえる?」
「うん」
私は海ちゃんを連れて行き、大浴場へと向かった。
「酷い有様ね。現場も死体も……何もかも」
流石の海ちゃんもこの反応だろうね。お風呂場の床は焼き焦がれ、死体は見るも無残な姿になっている。高校生の私にすれば刺激が強すぎだ。
すると海ちゃんはケータイを取り出し、中を開く。
「何してるの?」
「前、殺戮ちゃんが配ってたでしょ。殺戮カルテ。それが今回もあるんじゃないかなって思って」
そういえばそうだ。調査が始まる前、殺戮ちゃんは殺戮カルテをケータイに送っておくと話していた。
海ちゃんに続き、私もケータイを開く。
あった。殺戮カルテのアプリを開き、内容を確認する。
【被害者は、主婦ミソナ・エレガント。死体発見現場はスローテッドロケット4階の大浴場。死亡時刻は21時55分。死因は窒息死と焼死。気管熱傷による呼吸困難と一酸化炭素中毒による窒息死。全身90%以上に2度から3度の熱傷もあり焼死とする】
殺戮カルテ2にはミソナさんのことが書かれており、前回も詳細に書かれていた。死因が二つ?こんなことがあるんだな。
それにこの死亡時刻、おそらく私がお風呂から出でどのくらい経っているんだ?まさかこんなことになるなんて思わなかったし、時計を見る余裕もなかったため、私がお風呂から出た時刻は覚えていない。
もう一つは――
【被害者は、元七岡中学校生徒山村 彩里。死体発見現場はスローテッドロケット4階の大浴場。死亡時刻は21時58分。死因は窒息死と焼死。気管熱傷による呼吸困難と一酸化炭素中毒による窒息死。全身90%以上に2度から3度の熱傷もあり焼死とする】
ミソナさんのに比べて彩里ちゃんのは死亡時刻に多少誤差はあるものの、それ以外は全く同じことが記されていた。
これをベースに時間を考えろってことか。
「ねえあなた。彩里たちとお風呂に入っていたんじゃないの?」
「そうなんだけど……」
「ていうか、花は? そういえば、大黒先生までいないじゃない」
「ああ、そのことなんだが」
畑山さんが近づいてきて声をかける。
「花は事件の時に気絶していたみたいでな。さっき大黒先生から電話があって、死体発見ブザーとともに目を覚ましたらしい。だが、あいつにとってダメージが大きかったみたいでな。今、パニックになってて、大黒先生が落ち着かせてるみたいなんだ」
「……」
花ちゃんは彩里ちゃんのことを1番大切に思い、ミソナさんのことを本当のお母さんのように慕っていた。そんな彼女だからこそ、ショックが大きかったのだろう。
「とりあえずうちは適当に調べるわ。今回の事件、殺戮カルテが前回と違って詳細に書かれているから検視の必要はないみたい。じゃあ」
そういうと海ちゃんはお風呂のところへ向かっていった。
ここからは私単独で頑張らないと。




