第2章 〜欲望と未来のインターセクト〜 ➖調査編➖ ①
ブーッブーッブーッブーッ
「死体を見つけたみたいだね♡君たち、死体発見場所の大浴場に集合しちゃってね♡さあ、デス会に向けて思う存分調査しちゃってください♡」
どれ程の時間が経っただろうか。私たちが大浴場のお風呂場に入って、死体発見ブザーが流れて……誰かが集まるまで、私たちは一歩も動けなかった。だけど、集まったのは一人だけだった。
「ああ……ああ……」
元山さんはその場で立ち尽くし、声にならない叫びを発する。
「ああああああああああああああああああああ!!」
元山さんは叫んだ。ただひたすらに叫んでいた。動揺していた。
「ミソナが!!ミソナが!!ミソナがあああああ!!」
川山さんの時とは明らかに反応が違った。それはもう、明らかにわかる。元山さんはひたすらに泣き叫ぶ。苦痛の叫びを。
「落ち着け、システムエンジニア。俺の鼓膜も死にそうだ」
冷静な口調で橋田さんは言った。物凄い落ち着いている。人が焼き死んでもこんな状態だなんて……
「落ち着いてられるかよ……」
ボソボソと畑山さんは何かを呟いた。
「人が死んでんだよ!!数時間前に話してたやつが死んでんだよ!!なのにどうしてお前は冷静なんだ!?」
「決まってるだろ。俺は人の命に対してそれほどの価値を持ってないからさ。どうでもいいな」
「貴様ああああ――」
畑山さんは激怒した表情で橋田さんの前まで近づき、胸ぐらを掴む。だけど、橋田さんはニヤリと歯を出して笑っていた。
何がおかしいのだろう。一発殴ってやりたい。
「くっせ!♡何この煙?♡よくあんたたちそこにいられるわね♡」
大浴場の入り口から足音が聞こえる。その足音は私のすぐ後ろで止まる。振り返るとそこには、杖を持った殺戮ちゃんがいた。
「殺戮魔法、ドレイン♡」
殺戮ちゃんがよくわからない言葉を言って杖を前に出すと、煙が杖の先端に吸収され、徐々に空気が戻っていく。
呼吸もようやくまともにできるようになった。
殺戮ちゃんは死体のすぐそばに行き、その場で座って焦げた二人の死体を交互に見て真顔になる。
「しっかし、今回の殺戮者も派手にやってくれたねえ♡お風呂場をこんなにめちゃくちゃにしちゃってさ♡」
殺戮者?
「殺戮者ってことは、今回も私たちの中にいるってこと?」
「当然です♡」
殺戮ちゃんは立ち上がり、腰に手を当てて自信の溢れるような顔をする。
何が殺戮者だ。私たちの中に2人を殺した人なんて――
そう考えたかった。
だけど、頭の中にフラッシュバックされる。川山さんの時だってそうだった。川山さんは上村さんに殺された。
だから、今回もまた仲間を疑わなければならない。私たちの中に2人を殺した人がいるかもしれないんだから。
「ってことはよお、またやるのか?デス会ってやつを」
橋田さんは畑山さんの手を払う。
「もちろん♡またデス会が始まるなんて、ワックワクだよ♡」
デス会。デス会で殺戮者を当てないと私たちも死ぬ。でも、当てれば犯人が処刑。でも、私たちは逃げられないんだ。
「じゃあ、殺戮カルテ2と殺戮カルテ3をケータイに送っておいたから見ておいてね♡」
2と3というのは1が川山さんだから。そして、今回は殺されたのが2人いるから2と3ということか。
「ではここからは調査時間としますか♡放送で呼び出すまで最善を尽くし、しっかり調査してね♡ふふふふふふふっ……はっはははははは!♡」
挑発的な笑い方と共に、光に包まれて消えていった。私たちは誰も喋らなかった。ここは私が言うしかないか。
「あの、今回の現場の監視役はどうしますか?」
現場の監視役は必要だった。犯人が証拠隠滅に来たりするからだ。
「俺にやらせろ……俺がミソナの仇を……!!」
元山さんはお風呂場に入っていった。だけど、いつもと口調が違った。ミソナさんの影響だろうか?
そんな中、私は元山さんが小さな声で何かを言ったのに気づいた。「殺戮者は俺が殺す」そう聞こえた。
「あと一人は俺がやる……彩里のそばに誰かがついてやらねえと……」
畑山さんは着ている防火服を脱ぐ。それに気づき、私も防火服を脱ぐ。
そうだった。前回も畑山さんが現場の監視役を務めてくれた。あと一人は確か海ちゃんだったけど――
海ちゃん?
あたりを見渡すが、まだ海ちゃんは来ていない。海ちゃんと会ったのは図書館が最後……
「すみません!海ちゃんを探してきます!」
「海だと?」
私は大浴場を抜け出し、走り出した。海ちゃんにもしも何かあったら……!海ちゃんまで死んじゃったら私は……!そんなことを考えながら、図書館まで走り出した。




