第2章 〜欲望と未来のインターセクト〜 ➖探索編2➖ ⑰
「あれ……」
気がつくと私は木製の床に裸で倒れていた。体を起こし、とっさに胸を隠す。
よかった。
誰も見ていない。
「はぁ……」
一息つき、胸に手を当てる。
ん?何か右手に何かを握っている?恐る恐る、左手を見る。
「えっ……!?」
左手を見ると、そこにはスタンガンが握られていた。
待って。私、スタンガンを使った覚えなんて……
自分の中にある記憶を辿る。確か私はお風呂場から出て、お風呂場にある固定電話の受話器をとって……
それから……
それから……
スタンガンで首を打たれた。
誰が?
何のために?
あたりを見渡すと視界に入ってきたのは、彩里ちゃんとミソナさんの服だった。服は2人とも籠の中に丁寧に畳んである。
ということは、お風呂場からはまだ出ていない――
「なにこれ!?」
お風呂場から出ていないということは、まだ中にいる。そう感じた私は後ろを振り返り、お風呂場の扉の方を見る。
扉はスライド式。
だが扉は角材のようなものでつっかえていて、スライドさせることが出来なかった。
スタンガンを床に置き、角材を外してお風呂場の扉を開けようとする。
「ふっ……!!」
びくともしない。
まずい!!このまま本当に中に彩里ちゃんとミソナさんがいたら……!!
そう思うといても経ってもいられず、バスタオルを体に一枚巻き、大浴場から出る。
「花ちゃん!?」
廊下に出ると、今度は花ちゃんが大浴場から3メートルしたところで倒れていた。
「花ちゃん!!花ちゃん!!」
必死で揺さぶるが、返事はない。
首元には何か、赤く腫れた跡が付いていた。
手首を触り、脈を測る。
意識はあるみたいだが、花ちゃんをこのままにするわけにはいかない。
でも、お風呂場のことだって――
「誰か!!誰か助けて!!」
私は泣きながら大声で叫んだ。
この際、誰でもいい!!だから助けて!!
「どうした!?」
「なにがありましたかね〜!?」
走ってきたのは畑山さんと大黒さんだった。
「花ちゃんが倒れてて……!!でも、中には彩里ちゃんとミソナさんが閉じ込められてて……!!」
「なにい!?大黒先生!!花を医務室へ!!俺は彩里とミソナさんを助けにいく!!」
畑山さんはアクセルを踏むかのように大浴場に向かって走り出した。あれ?でも確か大浴場に関しての束縛があったはず……
「ちょっと!?畑山先生!?違う異性は入れないっていう束縛があるですね〜!?」
「馬鹿タレ!!そんなもんかんけえねえ!!生徒1人助けられねえで教師なんてやってらんねんだよ!!」
畑山先生はあと数歩で大浴場に入ろうとしていた。
「ひぃ〜!!畑山先生のサイコロステーキなんて見たくないですね〜!!」
「畑山先生、止まって!!」
「うおーーーーーーーー!!」
畑山さんはその足を止めない。
手を伸ばすが、届かなかった。
畑山さんはそのまま中へ入ってい――あれ?
「今は捜査中だから大浴場のセンサーは切ってあるよん♡」
スピーカーから殺戮ちゃんの声がした。
「冷や冷やさせないで欲しいですね〜」
捜査中はセンサーを切るなら初めに言って欲しい。でもこれで人手が増えた。
今なら彩里ちゃんとミソナさんを助けられるかもしれない!!
「大黒さんは花ちゃんを医務室に運んであげてください!!私は大浴場へ行きます!!」
「わ、わかったですね〜!!」
大黒さんは花ちゃんを背負って医務室へ向かった。
私も畑山さんを手伝わないと!!
「うるせえぞ、アホども!今何時だと思ってる!?」
怒りながら歩いてきたのは橋田さんだった。今はこの人に構っている場合ではない。でも今はこの人の力も必要だ。
「橋田さん、中に彩里ちゃんとミソナさんが閉じ込められてるんです!助けてください!」
「けっ。俺の知ったことじゃねえな。勝手にやってろ」
「仲間がまた死んでもいいんですか!?」
「仲間?笑わせるな!お前らを助けたところで俺にメリットなんて何一つねえんだよ!!」
橋田さんはすごい顔をして怒鳴っていき、その場を去っていった。
あの人と協力なんて無理だ。もうあの人とは金輪際話さないでおこう。
私は怒りを抑えて、再び大浴場へと向かった。




