第2章 〜欲望と未来のインターセクト〜 ➖探索編2➖ ⑫
「えーい!えーい!」
「やったなあー!」
花ちゃんと彩里ちゃんは海の方へ行き、水をかけ合っていた。うん、素直に微笑ましい。
やっぱり、友達が近くにいるっていうのはいいことだな。困ったときは支え合い、協力する仲。彼女たちはそんな仲なのだろう。
「元山さん!あなた、そのお腹はなんなんですか!?」
畑山さんは元山さんのお腹を指差していた。たしかに、いつも服の上だからわからないけど、こうして見るとお腹は少し出ていた。
それに対して、畑山さんの身体はかなり鍛え上げられ、筋肉がバキバキに割れていた。さすがは体育教師……
「いや……これは……なんというか……その……」
「うおーーー!鈍った身体は身体に毒だ!この砂浜を俺と一緒にランニング!まずは軽く15周!行くぞ!!」
「ひ、ひい〜〜〜!」
元山さんは畑山さんに追いかけ回されていた。なにをしているんだ、あの二人は。
でも流石に、元山さんも少しは動いた方がいいと思う……
「ミソナさん……この紳士があなたの体にサンオイルを塗って差し上げ――」
「岩下サン!山村サン!私モ混ゼテクダサイ!」
「ガーン!!」
大黒さんの方を見ると、サンオイルを持ってミソナさんに話しかけたが、スルーされていた。かわいそうに大黒さん。
すると私は大黒さんと目が合う。大黒さんはこちらに向かってきた。
「結衣さん……この紳士がきめ細やかな結衣さんの肌に塗って差し上げましょ――」
「気持ちが悪いんでとりあえずセクハラで訴えますね」
「冗談ですね〜!!」
流石に訴えるのは冗談だけど、少し気持ち悪いと思った私であった。とはいえ、なぜこんなに平気で言えるのだろうか。大黒さんの考えがよくわからないな。
みんな、思い思いに楽しむ。とはいえ、私はまだ楽しめそうにない。殺戮ちゃんを警戒するあまり、案の定、身体が固まっている。
当の本人はあれから姿が見えないし……
そして、私以外にも楽しめていないのが2人。
「……」
「……」
橋田さんと海ちゃんはむすっとした表情でみんなと離れた場所で立っていた。あの二人は相変わらずだな。
橋田さんはともかく、海ちゃんはまだ子供だ。これから人間関係を築いていく年頃。
よし!ここは私が大人になって話しかけてみよう!
遠くにいる海ちゃんの元まで歩き出した。
「ねえ、海ちゃ――」
私の声を聞いた途端、海ちゃんは走り出してさらに奥の方へ行ってしまった。
どうすればいいんだろう……
すると、こちらに向かってくる一人の男性がいた。
「振られちまったみてえだな。まあ仕方ねえよな!お前、裏切り者だもんな!」
橋田さん、相変わらずうざいな。挑発的な態度で言うから余計にくるものがある。
「仲間を作らない橋田さんにだけは言われたくありません」
「んーだとごらああ――けっ。まあいい」
怒り出したかと思うと、突然冷静になる。その表情はどこか冷たさを感じるものであり、孤独感を感じられた。
「お前、今のうちに楽しんどいた方がいいぜ。幸せってのはな……突如奪われるものだってあるんだよ……」
そう言うと橋田さんはどこかへ消えていった。今の言葉にはどこか重みを感じた。橋田さんは次また私たちの中で殺人を犯す人がいるとでもいうのだろうか?
でも、こうやってみんなで集まれたのもみんなと打ち解けあえるチャンスだ。
橋田さんの言葉にのるのは釈然としないけど、楽しまなくちゃ!
そして私は花ちゃんたちの方へ走り出した。
「おーい!私も入れ――」
「お遊びの時間はここまで♡みんなー♡ビーチにある銅像前に集合ー♡ドキドキするものを見せてあげる♡」
どこからかスピーカーで殺戮ちゃんの声が聞こえる。
遊ぶことができなかった……
いや、そんなことよりもドキドキするもの?
嫌な予感しかしない。やっぱり、殺戮ちゃんが私たちを集めたのには他に理由があったんだ。他のみんなも戸惑いながらも銅像の方へと歩き出した。
私も行こう。




