第2章 〜欲望と未来のインターセクト〜 ➖探索編2➖ ⑩
―13日目―
あれから3日経った。
他の人たちには会うものの、一部の人たちは会えていない。その中には元山さんも含まれていた。
このままだとみんながバラバラになってしまう。
どうすればいいんだろうか。なにか、私にできることはないだろうか……
キーンコーンッ
「みんなー♡おはようございます♡朝だよ♡起きて♡全員、水着着用で外にあるビーチに集合♡あ、水着なら自分の部屋のクローゼットの中にいくつかあるからそれを着てきてね♡」
いつものように耳障りな朝のアナウンスが鳴る。
ん?今なんて言った?外に水着を着て集合?
水着なんて恥ずかしくってとても着れない。
だけど、着ないと何されるか分からない。
着るしかない……か。
私は恥ずかしい気持ちを押し殺し、水着に着替えて外に出た。
ビーチに集まると、すでにほとんどの人が水着姿で集まっていた。
「けっ!なんで俺までこんな格好を……」
橋田さんは不機嫌そうにぶつぶつと呟く。確かにそうだ。集まるのはまだしも、水着の格好をする意味はあったのだろうか。
集まる……
嫌な予感しかしない……
「きゃはっ!海ちゃんがいるー!あれ?お母さんは?」
ここに集まったのはミソナさんを除いた8人。前回の動機のせいで単独行動をしていた海ちゃんや、ミソナさんのそばにいた元山さん、それに、橋田さんですら来ている。
ミソナさん……
元山さんは腕を組みながら口を開く。
「あいつには来るようには言った。だが、応答はなし。今はやはり、そっとしておくのがベストだろう――」
「その必要はないよ♡」
この甲高い声。
そして、私たちを呼び出した張本人。
「この声は……!!」
来る……!!
「は〜あ〜い♡水着が似合う女ベスト1位、殺戮ちゃんだよ♡」
銅像の後ろから現れたのは、水着を着た殺戮ちゃんだった。
白い肌に赤色の水着。ぶっちゃけ、似合ってるのが腹が立つ。
「うおーーー!!出たな、クソ女!!」
「さっさと要件を言ってうせろ」
殺戮ちゃんへのアンチがかかる。だけど殺戮ちゃんは口を尖らせ、ジト目で遠くを見つめた。
すると、殺戮ちゃんは人差し指で一人一人私たちを指していく。
「ひー、ふー、みー……あれ?8?ミソナちゃんがいないじゃない♡」
「あいつが来れないのはお前も知ってるだろう。伝言なら俺が伝えておく」
口を開いたのはやはり、元山さんだった。
「今回ばかりはそうも言ってられないのよね♡こうなれば、私が無理やり引き摺り出すか」
殺戮ちゃんは不気味な笑みを浮かべて、空を見上げた。
「やめろ……!!」
元山さんが止める理由。それは、なんとなく察することができた。今、彼女を無理やり部屋から出せば、それがストレスになり、余計に精神的部分に来てしまう。そう思い、元山さんは止めたのだろう。
「じゃあこのまま、命令違反で殺戮しちゃう?」
「ふざけるな!!」
命令無視でも殺されるって、そんなめちゃくちゃな……!
どうしてもこれない人だって中にはいる。
それが怪我であろうが精神的ものであろうがそんなのは関係ない。
「だったら君が選んでよ、元山ちゃん♡このままミソナちゃんの殺戮を私がするか、私が無理やり引き摺り出すか……ふふっ♡」
「……っ!?」
元山さんの顔は一瞬にして青ざめる。
「今から10数えるから、その間に決めなければ殺戮ね♡はい、10ー♡9ー♡」
殺戮ちゃんはカウントダウンを始める。
「待て!!待ってくれ!!」
元山さんは大声を出す。だが、そんな言葉は殺戮ちゃんには通じない。彼の選択で、ミソナさんが生きるか死ぬかが懸かっている。
「8♡7♡」
「待ってよ!こんなのおかしいよ!」
「そうだよ!卑怯だよ!」
「6、5、4♡」
私たちも止めるが、カウントダウンは進んでいく。私たちじゃ、もう止められない。
「やめろ……やめてくれ……あいつが死んだら俺は……」
元山さんは震えていた。ミソナさんを救えるのは元山さんしかいない。
彼が答えないことにはミソナさんは……
「3♡2♡」
「ああ……あああ……」
ダメだ、今の元山さんはかなり混乱している。その証拠に、彼の目からは大粒の涙が溢れていた。
「1♡」
「やめろおおおおお!!」
「私ナラココニイマース!」
遠くから大きな声が聞こえる。それと同時に、殺戮ちゃんのカウントダウンも止まる。
なんだ?
なにが起きて――
声の方を振り向くと、そこには見たことのない水着姿の女性が立っていた。




