WHO WANTS TO LIVE FOREVER…
深夜のN分小説執筆 2018年 09月 01日分
お題:「任意の楽曲をテーマ及びタイトルとする」
第一の友人は3万年、それとも4万年生きた。
第二の友人は、1,000年生きた。
私は1万年生きている。
生きることに飽くことはない。だが、変化にはとまどう。
いや、私はとまどっているのだろうか。第一の友人はとまどっただろうか。第二の友人はとまどっただろうか。
とまどったという言葉で適切ではないように思えた。
二人とも、行く末を見たからであるように思えた。自分たちのではなく、人間の。社会の。
それを進歩と呼ぶ人もいるだろう。
人間の知性は性選択の対象であったとも言われている。ならば、どこまで発達するのだろう。
どこまでも。私が旧型と呼ばれるほどにどこまでも。
もし、そうであったならと思う。
だが、6,000年ほど前から、人間はそれを手放し始めている。それは、環境への過適応を避ける選択でもあったのかもしれない。種の存続、進化。そのために特性を手放せるのは、おそらく人間の特徴だろう。そうでないなら、孔雀の尾、ヘラジカの角のように、自身から滅ぶ方向に進むしかない。
たった1万年。第一の友人ほどに見たわけではない。第二の友人ほどに洞察できたわけでもない。
それでも、やっと見えたかもしれない。
私は生き続けることを、もはや望まない。滅ぶ過程は、できることなら見たくない。
それができたなら。私は初めて祈った。祈る相手がなんなのかは知らない。ただ、他の人間の所作をまねて祈った。
了