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昔の記憶

 ここはある王国の王城。この国は今滅びの時を迎えようとしていた。


「陛下お逃げください。今の戦況では遅かれ早かれ、門は破られます! 陛下が安全な所まで避難するだけの時間は必ず我々が稼ぎ出します!」


 王の間で王が報告を受けていると、警護をしていた近衛隊の隊長がそう進言してきた。


「いや、わしは逃げぬ。同じ反帝国同盟の国を信じる!同盟が背後をつけば、帝国は混乱しこちらにも勝機がある」


「しかし、帝国の新兵器に苦戦し背後をつくのは難しいと連絡がきているではないですか!」


 そう。帝国の非人道的な研究により生み出された兵器により反帝国同盟は防戦を強いられているのだ。


「確かにな。だが危ないからと言って王が自分の命欲しさに簡単に逃げ出せば軍の士気は一瞬で崩壊するぞ」


「それは、」


 隊長は国王の言葉を否定できなかった。


「それに我が王家にはまだ切り札がある」


 王にそう言われた隊長は顔をうつむかせ、やりきれない表情を浮かべていた。無理もない。その切り札を発動するためには王族の命が必要なのだ。そこへ住民避難の指揮を取っていた第2王子のモリスが秘密通路を通って戻ってきた。


「父上ただいま戻りました。最後の領民の脱出を確認しました」


「うむ、ご苦労 ではモリス、お前も脱出し王太子と合流しろ。わしは精霊召喚の陣を発動させるためここに残る」



「そんな!!父上、それでは父上が死んでしまうじゃないですか! そんなの認められません! その役目僕にやらせて下さい」


「いや、それはならぬ! これは老い先短いわしの役目だ!」


 国王は絶対にこれは曲げぬと強い意志を持ってそう宣言した。日頃から言い切ったことは絶対に曲げないためモリスは引くしかなかった。


「わかりました。父上。ですが私が兄上の元に行くのは儀式が済んでからです! これは絶対に曲げません!」


 父親に似たのか言い切ったことはてこでも曲げないため国王は仕方無しに折れることにした。


「はぁ、仕方がないな。それでは皆、壁際に移動してくれ」


 移動したことを確認した国王が呪文を唱えると部屋の中央に丸い輪っかの形をした魔法陣が浮き出してきた。


「それではな。皆今まで世話になった」


 皆が涙し顔をうつむかせる中、国王は魔法陣へと歩き出した。

 あと少しで魔法陣の中に入るというタイミングで横から突き飛ばされた。


 ふっ飛ばされたがすぐに起き上がり、辺りを探すとそこには息子のモリスが立っていた。


「すいません。父上。やはりこの役目私が行わせていただきます。賢王と呼ばれる貴方を民は頼りにしているのです!まだ死ぬことは許されません。この国をお願いします」


 そう言うとモリスは魔法陣の中に消えていった。






 

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