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魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
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リスティ王国侵入



 リスティ王国付近の森にて。


「さて、準備は良い?」


 私の問いかけに無言で頷く2人。 既に雫への事情説明は済ませ、突入の段階へと入っていた。


 この森はグラスティア帝国とリスティ王国の境界にある森。 勿論警備は厳しいが、私達にはそんな物関係ないので、絶好の侵入スポットだ。



「あっ、そうだ。忍者に渡したい物があったんだ」


「ツボミ様?」


 急にごそごそし始めた私を不審げに眺める2人。


 そんな中、私が取り出したのは1本の短剣だ。


「以前、衝動買いしたんだけど、よく考えたら私には本数無限の耐性無視ナイフがあるから使わないなって。 だからコレあげるよ」


 忍者は私からそれを受け取ると、不審そうに確認する。 そして、刀身を引き抜いた瞬間、表情を変化させた。



「これ!ドラゴンダガーじゃ無いですか!!こんな代物、受け取れませんよ!」


 ……別に驚くような事か?


 鍛冶屋さんの言ってた事だと、炎と光を両立してるとかなんとか。


 でも私の武器達に比べたらなんとなく粗悪品な感じがする。手入れが必要で、使ってると壊れるとか、論外だ。


「蕾ちゃん?これ、そんなに凄いの?」


「いや、私も知らんよ。ホントに衝動買いしただけなんだって」


 私達のやりとりを聞いて、忍者は呆れたような表情を浮かべる。



「そういえばお二人とも、存在が異常なんでしたね…。忘れていました…。 良いですか?この武器は炎属性と光属性を両立しているんですよ?」


「「……それで?」」


「本来、光属性は聖騎士だとか、そんな感じの素質があって尚且つ選ばれた数少ない人にしか扱えないんですよ! しかしこの短剣は、魔力を込めるだけで、一般人にもそれが可能なのですよ!?」


 雫と一緒に顔を合せて首をかしげる。


「……私選ばれてないと思うけど使えるよ?」


「……今は無理だけどちょっと前ならほんのちょっとだけ使えたよ?」


 今の私は属性の適応率が格段に落ちているせいで光と水と地は使えないが、以前は使えていた。 ……使えていたと思う。



「まぁよく分からないけど、私は要らないから貰っておいて?プレゼントだから」


「……ツボミ様からのプレゼントならば受け取らないわけには行きません。大事にしますね。ありがとうございます」


「蕾ちゃん、私には無いの?」


 雫め…がめつい奴だ。


「前に私のナイフ一本パクっていったじゃん。それはどうなるの?」


「……なんのことか分からないなー」



 雫は以前、コロシアム内で私から奪ったナイフをまだ返していない。


 別に数少ないわけでも無いし、私は気にしていないが、借りパクは人間としてどうなんだろうか。 私と違って雫は今でもしっかり人間な訳だし、その辺はしっかりして貰いたい物である。


「まぁ忍者にあげて雫だけ無いってのも可哀想か」


「えっ!なんかくれるの!?」


 急に耳と尻尾を浮かべる雫。コイツの場合、わんこと言うよりはハイエナだろう。


「コレとかどう?」


 私が差し出したのは真っ赤な石。雫は見覚えはあるが思い出せないような表情を浮かべる。


「……これ、何だっけ? 見たことある気がする」


「ツボミ様!そ、それは!悪魔の涙じゃ無いですか!危ないですよ!!」


 どうやら忍者は知っているらしい。


 この悪魔の涙は、持っているだけで、耐性や耐久力がガタ落ちする代わりに攻撃力が上昇するという呪いにかかってしまう、なんとも恐ろしい物だ。 そして、私のような脳筋アタッカーには素晴らしい物である。


「そんなの要らないよ!! ほら、早くしまってしまって!」


 むう、そう言われたなら仕方ない。ありがたく持っているとしよう。



「そういえばツボミ様、この頂いた短剣、相場が気になるのですが…」


 あぁ、いくらだったかな。結構した気がする。


「……19か20だったと思うなぁ…。忘れちゃった」


「……銀貨?」


「金貨に決まってるじゃん?」


 忍者はぽかんとし、雫はやれやれと言った表情を浮かべる。


「そんな高額な物を頂くわけには行きませんよ!やはりコレはお返しします!」


「いや、別に良いって。こう見えて私お金持ちなんだよ」


「………蕾ちゃん、家でも買ったら?」 


「もう買ったよ?てか、今手持ちでもう一軒くらい買えると思うよ」


 雫の嫌味のような言葉も、お金の前には後の言葉を詰まらせることしか出来なかったようだ。


 やっぱりブルジョアって素晴らしいな。お金に困らない暮らしとか、もう天国だ。



「さて、そろそろ行こうか?」


 私の一言で、まったりしていた空気が一気に鋭さを帯びる。


「準備は出来ています」


「私もオッケーだよ」


 三人同時に透明化し、そのまま森を駆ける。


 迫り来る木々や枝葉をかいくぐり、圧倒的なスピードで走り抜けていると、ついに視界に人影が映り込む。



「あー。面倒くせぇなぁ…。こんな所、誰が来るってんだよ…」


「まあそう言うなって。こんな所でもしっかり給料は出てるんだからよ」


 どうやら警備の奴らのようだ。 むしろこんな所だからこそ、厳重な警備が必要なのだろう。なんて言ったって、ここは他国との境界なのだ。


 しっかり警備していないからこそ、私達のような侵入者を見逃してしまう。


 まぁ警備が厳重でも見つかる気は無いが。



 さて、こんな端っこじゃ国の様子も分からんからな。早急に中央部へ向かうとしよう。


リスティではどうやってご飯作ろうかなぁ。メニューも考えておかないといけませんね。

あと、三連休でも私の休日はありません。


次回更新は11月3日(金)の20:00です。

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