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魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
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114話 破壊者の敗北



 長い長い螺旋階段。そこを一歩一歩、確実に降りてゆく。


 しかし、終わりが見えてきた頃、私の体に異変が起きた。


 纏っていた赤いオーラが霧散し、再び全身から力が抜け落ちる。 牙や翼も消え去り、獣のようになっていた姿は、再びただの人型に戻る。


 それだけでは無い。


 まるで全身の力を吐き出したかのような脱力に襲われ、人型に戻ったはずの体は白い獣の、マンティコアの状態まで戻ってしまった。



 視界が霞み、脚がふらつくのをなんとかこらえ、螺旋階段の果ての大ホールのような場所に、ドサリと倒れ込む。


 もう一歩も動けない。立ち上がるのも無理そうだ。いや、それ以前に体を動かすことも出来ない。


 恐らく、さっきの力も制限時間があったのだろう。


 そして、開いた口から血が流れ出しているのと、体内を駆け巡る激痛から、肉体的にも相当のダメージがあったことが伺える。



 クッソ…。マズったな…。これじゃあどこからでも襲って下さいと言っているようなものじゃ無いか…。


 そうは思うが、体が動かないので、どうすることも出来ない。今はただ、回復を待つだけだ。


 どうか何も起きませんように。



 しかし、そんな私の願いは届かない。


 再び壁が障壁に覆われる。そして、カタカタと骨の音が響き、馬の蹄の音が近づいてくる。


 ぼやけて霞む視界に写るのは、炎の中から引き抜かれる黒い槍。


 次の瞬間、私の胴体に激痛が走る。


 回避不能。 そして、今更気づいたが、この槍、どうやら自然回復を阻害する効果でもあるらしい。


 そうで無ければ、マンティコアと不死鳥の力で傷口が急激に回復する私の怪我が一向に回復しない理由が分からない。


 ……これで本当に終わり、か。


 …くだらない終わり方だ。


 …まだまだ色々出来たはずだ。手はあったはずだ。


 …それなのにこの有様…か…。



 2本目の槍が突き刺さる。


 ついに精神力にも限界が来たのか、私の体は早急に意識を手放そうとする。


 眼が閉じきる瞬間、私の視界には2つの影が映り込んだ。


 しかし、それが何かを確認するよりも早く、私の意識は闇に飲まれていった。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



「黒龍拳:壱ノ型!『砕牙衝』ッ!!」


 緊急で、ツボミが危ないという連絡を受けた僕達は、早急に合同訓練を抜け、ダンジョンに訪れていた。


 転移石で現れた騎士団長の焦り方からして、尋常ならざる事が起きているのだけは理解できた。


 そしてただいま、床破壊中である。


 しばらく破壊したところで、真っ白で大きな部屋に出た。


 壁には何かが突き刺さった跡があり、至る所が破壊され、床にはべっとりと鮮血が。


「……ツバキ……この下…居る……倒れて…る…?」


 キリエが扉を指さす。その奥は、巨大な螺旋階段が続いていた。


「行ってみるか…。」


 手すりを飛び越え、螺旋階段の中心から飛び降りる。 キリエも、自身のスキルでふよふよと浮遊しながら降りる。



 そして、地面に近づいてきた頃、僕の視界に信じられない光景が映り込んだ。


 ツボミがマンティコアの姿で倒れ、体から2本の槍を生やしている。 そして、3本目の槍を構える、骨の馬に乗った骸骨の騎士。


 横たわったツボミは脱力しきっていて、目も虚ろ。動く気配も無い。


 あのツボミがタイマンで負けるなんて…。 最初に一撃貰ったとは聞いていたが、その程度の傷はすぐに治るはずだ。


 キリエから聞いた話だが、左手を吹き飛ばしても一瞬で再生するらしい。 そんなバケモノがこの有様だと?


 この骸骨、果たして僕達で勝てるのだろうか。



 そんな考えは、着地と同時にいったん捨てて、拳を構える。


 今は、ツボミの回復をキリエに任せるとして、コイツを出来るだけ引きはがすんだ。


「黒龍拳:参ノ型!!『無影連翔(むえいれんしょう)』!!」


 絶影で骸骨の後ろに移動し、馬ごと大きく蹴り上げる。


 そして、自分自身も飛び上がり、空中で無数の拳を叩き込んだ後、最後の一撃でツボミとは反対側に吹き飛ばす。



 本体への連撃は、槍によって防がれたため、途中から馬に狙いを変えたが、そっちは手応えアリ。奴が吹き飛んだのも馬を吹き飛ばしたからだ。


 正直な所、騎馬兵相手は、結構得意だし、有利に立ち回れる自信あるんだ。 昔、結構そう言った機会があったからね。


 それに、僕自身、絶影を習得したり、いろいろと以前よりは強くなってるんだ。


 ツボミと引き離されないために、キリエと特訓してるからなんだけども、それでもまだ追いつけていないだろうと考えると、結構悔しいな。



 砂埃が収まった頃、その中からゆっくりと立ち上がった影は、馬には乗っていなかった。


 と言うか、馬が完全に崩れ落ちて、骨の束になっていた。 どうやら、馬はおまけ程度だったらしいな。


 さて、問題はここからだ。


 あの骸骨、さっき僕の攻撃を全て槍一本で弾きやがったんだ。


 ツボミでさえ、数発は当てられるだろうという攻撃を、いとも簡単に馬に乗ったまま弾きやがったんだ。


 僕で勝てるのか?


 そうして、後ろを隙の出来ない程度にチラッと見る。


 キリエは、既に離れた場所に移動し、ツボミの回復を始めていたが、どうも芳しくないらしい。


 ………僕1人で勝つ必要は無い。 キリエが、あわよくばツボミが加勢してくれるまで、負けなければ良いんだ。



 やってやる…。今が龍の根性の見せ時だ…。


 そう覚悟を決め、拳を強く握りしめた。


改稿作業が全ッ然進んでねぇ!!

一体どうしてこうなった。

私を遊戯王のショップ大会に誘ったS氏のせいか…。

それとも私を遊戯王の身内オフに誘ったA氏のせいか…。

身内でTRPGやり始めた私のせいか…。


いや、全部私のせいです。本当に申し訳ありません…。

毎日少しづつ改稿していこうと思います。


次回更新は10月12日(木)の20:00です。

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