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魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
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109話 特に意味もなく不法侵入



 翌日。ちょっと聞きたいこともあったので、お城にやってきた。


 フリードとは警備のレベルが違うし、素直に不法侵入することにする。 なんだか久しぶりのインビジブルだな。


 ちなみに、いつも通りキリエ達はお留守番です。



 透明になり、音も気配も遮断されたチートモードで、お城の内部通路をずんずん進んでいく。


 すれ違う人々は、全く私に気づいていない。


 こういうとき、露出狂なら願いに願った状況なんだろうな…。 まぁ生憎私は露出狂では無いんでね。さっさと探しますか。


 ってか、探すって言っても全く見当がつかないわけで。 朝って言うと何処に居るんだ…?


 ………そういえば人間だったか。 食堂にいるかな?


 

 食堂の扉は閉まっていた。 耳を当ててみると、中からは話し声が聞こえてくる。 どうやらビンゴのようだ。

 

 外に出てみると、厨房の窓が空いていたのでそこから侵入。 厨房と食堂は繋がっているので、そのまま食堂へ。



 そしてそのまま、何の話をしているのか聞いてみようと近寄った時だった。


「何奴ッ!!」


 御影が小太刀を抜き放ち、おもむろに私の方を薙ぎ払った。 危なかったが、ギリギリで回避。 顎の下を擦った気がする。


 そしてそれに反応するように、皇帝が立ち上がり、姫は少し場の雰囲気にビビった後、手の中に魔方陣を出現させる。


 何で私に気づいたんだ?


 とにかく、今にも空間に向かって斬りかかってきそうなので、絶影で皆の後ろに瞬間移動。そしてインビジブル解除だ。


「いやぁ、お騒がせして申し訳ない。 私だよ!!」


 ちょっとネタを挟んでおく。空気が読めない?知ったことか。



 バッと後ろを振り向く一同。


「お、お姉様でしたか…。もう!驚かせないで下さいまし!」


 お姫様が“ぷんすか”という効果音でも聞こえてきそうな感じで頬を膨らませる。 ……言いたくなかったが…可愛い。


「ツボミ殿…。普通に正門から入れるように手配しておいたのだが…」


「あっ、そういえば、そう言う手もあったな…」


「何かを考えて、一番に侵入が思い浮かぶとは…。クロユリ様、同業ですか?」


「違う」



「して、ツボミ殿、何か用でもあったのか?」


「用…って程じゃ無いんだけど、ラネシエルの件、どうなったかなって。 あと、個人的に人捜し、かな」


 結局、罪悪感につけ込む作戦のはずだったが、現在の進行状況はどうなっているんだろうか。


「現状で出来る準備は全て終わらせた。後は内戦待ちだな。偵察部隊によると、もうあと数日で始まりそうな勢いだそうだ」


 そうか。 なるほどな。


 だが、警戒すべき事は他にもある。 リスティだ。


 連中は他国に侵入し、テロを起こすような連中だぞ? ラネシエルの王はリスティと繋がっているわけだし、介入はほぼ確実と考えた方が良いだろう。


 戦力的にはよく分からんが、あの量産型アーティファクトがあるならば話は変わってくる。


「人捜し、と言ったか? 一体誰を探しているのだ?」


「ウァレオスと言う男。知ってるかな? 裏の業界の仕事人だと思うんだけど」


 すると、皇帝は表情を変える。


「ウァレオスと言ったか?あぁ、知っているとも。ギルド関係者を始め、裏の業界においても、誰もが恐れる名だ。 金さえ積めばどんな仕事でも受け、成功させる。 いろいろな意味で恐ろしい奴だ。 不覚だが、私も一度、依頼をしたことがある。 しかし、少し前からウァレオス達は消息不明になっていたはずだが…」


 そんな感じの奴なのか。 確かに手慣れではあったな。


「奴らの居場所とか、分からない? ちょっと会いに行こうかなって」


「以前までの居場所なら分かるが…。今そこに居るとは限らんぞ?」


 そう言って、皇帝は私の地図に印をつけてくれた。


「ツボミ殿、奴に会って何をする気だ? と言うか、口振りからして以前にも会ったことがあるのか?」


「うん。だって、私がラネシエル中に悪評を広めた手段は、奴らだからね。 まぁその調子ならちゃんと仕事してくれたみたいだな」


「なっ…そうだったのか…。 確かに奴らならば確実だろうが…。 少し無謀が過ぎやしないか?」


 無謀?何のことだ?


「だって、私が奴らをボッコボコにしたら、自分から“私達に依頼しません?”みたいなこと言ってきたし、問題ないんじゃない?」


 はぁ、とため息がこぼれた。



「でね?研究所からは、今何も無いから適当にしててみたいなこと言われて、ぶっちゃけあと二日くらい暇なんだよね。 何かイベントない?」


「ふむ。そう言う事なら良い案があるぞ。 実は、明日、フリードと合同訓練があるのだ。 そこに参加してはどうだ? 私や弟、メアリア殿や御影殿も参加するのだが」


「いや、私が出たら訓練とかじゃ無くならない? 言ってしまうと私の中にはちょっと危ない奴がいるんだよ?」


 すると姫が、それについては問題ありませんわ、と、言葉を続けた。


「訓練は、あの結界の中で行われます。 勿論絶対安全ですわ」


 おう、わざわざあの結界持ってくるのか。


 いや、結界を作れる技師でも連れてくるんだろうか。


 そういえば、フリードとグラスティアはどうやら結構ガチな同盟を組むらしいし、これからも共闘していくんだろうな。



「そういえばツボミ殿、朝ご飯はもう済んだのか?」


 皇帝が外と私を交互に見ながらそう言った。


「いや、私魔物だからご飯とか要らないし。基本食べないんだよ。 昨日美味しい物頂いた後だし、その後にも衝動的にご飯作って食べたし、別に良いかな」


「ふむ、そうか?」


 そうなんだよ、と頷いておく。


「じゃあ邪魔しても悪いし、ウァレオス達の居場所も聞いたし、そろそろお暇するよ。じゃーねー」



 ちなみに、帰りは普通に正門から出ました。

今回なんか短いです。

そして、急な話ですが、明後日28日の更新はお休みとなります。


次回更新は30日(土)の20:00です。

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