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魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
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85話 ツボミ、倒れる

今回ちょっと短いです

「お腹空いた…」


 雫がお腹を鳴らしながら呟く。そういえば私達と違って雫は食べないとヤバいんだったな。宿探し中だったが、先にご飯にしようかな。


「皆何食べたい?」


「「ツボミごはん」」


 うーむ。そう来たか。嬉しいが今は無理だなぁ…。しかも雫は話にすらついて来れてないし。そういえば雫って私が料理出来るの知らなかったような気がする。


「それ以外で頼む」


「蕾ちゃん、アレなんてどう?」


 雫が指さした先には露店で出ている串焼きの店が。肉だけで無く魚介類もあって種類が豊富だ。いいね。アレにしよう。


「じゃあ一人2本ずつ選ぶか。値段は一律銅貨3枚だし、何でも良いよ。雫も奢ってあげるから」


 そんなこんなで好きな物を選ぶ事になった。露店に近づくと、香ばしい良い匂いが漂ってくる。


 ふうむ、色々あるなぁ。ケミカルな色の魚なんかも居るなぁ。良く見知った魚なんかも居る。面白い物も食べてみたいが…。ここは安全に行こう。


 私が手に取ったのはツブ貝のような貝が刺さった串と、牛串。安定だろう?


 では早速頂いてみましょうか。近くのベンチに座って食べようね。まずは牛串から行こうか。ぱくっと。

 うむ。あまじょっぱくて良いね。噛む度に肉の旨みが出てくるのもグッドだ。次はツブ貝だね。独特の風味とほろ苦い後味が美味しい。


 なかなか良いごはんでした。ごちそうさまです。


「さぁて、宿探しに参りますか」


 すると、キリエがある一軒を指さす。


「……あそこ…安くて…部屋も空いてる…」


 ん?なんで知ってるんだろ?まぁ良いか。


「んじゃ、行ってみるか」


 そういう訳で訪れた宿は、マジで安くて、四人部屋が空いていた。キリエ凄いな…何で分るんだ?


 てな訳で1週間分の部屋代として金貨5枚をわたし、部屋を借りる。


 やっぱり質素で簡易的な部屋だったが、作戦会議と寝泊まりが出来れば十分だ。料理に必要な器具はいくらでも持ってるし。


「さて、この後はどうするよ?勇者は後でも良いよね?」


「そうだね…。聞き込みで国風調査がいいかな?」


「僕もそう思うんだけどねぇ…。問題はツボミとキリエが聞き込み苦手そうな事だよねぇ…。先入観だけど。」


 よく分ってるじゃ無いかツバキ。わたしは聞き込みしても数人目で飽きて帰るタイプだ。


「じゃあ二人で聞き込み行ってきてくれ。わたしとキリエは寝てる~」


「……ん。…寝てる」


「この怠惰どもめェ…」


「僕はあんまり人のこと言えないんだけどね…」


 そんなわけでツバキと雫は街頭聞き込み調査に向かわれました。


「キリエ、何で私のインビジブルとか、宿とか分ったの?」


「…ワルキューレの加護…何でも…探知できる…」


 へぇ、そんな効果だったのか。何でもレーダーねぇ…。良いなぁ。


 答えるだけ答えてキリエは寝てしまった。私眠くないなぁ…。暇だ…。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



 暇すぎたので戸締まりして出て参りました。聞き込み中の二人には見つからないようにインビジブル使ってるよ。裏路地なんかも入り放題だね。


 そうは言っても目的も無いんだよなぁ、これが。ってかこの町何もねぇなぁ…。フリードみたいにコロシアムがあるわけでも無いし…。特産品っぽい物も無いし…。


 そうだ。鍛冶屋行こう。めぼしい物があるかもしれない。


 そんなわけで近くの鍛冶屋へ。聖刻のナイフ的な増やせる物があると良いなぁ。


 店頭を見て、目に付く物を探す。ここは剣が少ない代わりに槍や斧が多い印象を受ける。剣で十分だし、今は他の武器種には手を出さなくて良いかもしれない。


 色々見てると、奥から出てきたおっちゃんが話しかけてくる。


「姉ちゃん、もしかしてアレかい?変わった物好きかい?ちょっと良い物があるんだが…。見てみるかい?」


「良いですねぇ。見ます見ます」


 おっちゃんは奥へ引っ込むと、ある物を手に持って戻ってきた。


「これはな。運良く手に入った龍の鱗から作った短剣で、安直にドラゴンダガーって言うんだ。炎と光の属性を持っていて、ものすげぇレアもんなんだぜ?」


「うーん。良いですねぇ。して、そのお値段は?」


「金貨20で手を打つぜ?何度も言うが、凄ぇレアものだからな?」


「18になりません?」


「しょうがねぇなぁ、19でどうだ?」


「買いましょう」


 衝動的に19万円の短剣買ってしまった…。しかも私は使わねぇ…。とりあえずしまっとくか。


 そろそろ帰らないとね。二人が戻ってくるよ。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



「キリエ、ただいまー」


「……ぐぅ」


 まだ寝てる…。二人はまだ帰って来てないみたいだ。


 うーむ、疲れてしまったのかな…。体が重い…。一眠りしようかな。






 ぬぅ…。うーむ。すっかり寝てしまった。今どのくらいの時間だ?


 辺りを見回すと、ツバキと雫は既に戻ってきているし、日も落ちてすっかり暗くなっている。キリエも起きてるよ…。


「蕾ちゃん、お疲れモード?」


「……私より…寝てるなんて…珍しい」


「そんなことは無い…と思う。そうだ、聞き込みどうだった?」


「僕たちは結構粘ったんだけどねぇ…。傀儡状態は結構前から続いてたみたいで世間的に最近のニュースはあんまり無いみたいだったよ。」



 そうか…最近何も無いのか…。まぁ平和で良いが、こっちとしては少し困ってしまうなぁ…。


「そうだ、雫、ごはんは?」


「食べてきちゃった。蕾ちゃん達、どうせ食べないんでしょ?」


「まぁ、ね?」


 うーん、やっぱり疲れてしまったんだろうか。怠いし視界がぐらぐらするぅ…。


 あっ…、もうダメだこれ、そこにベッドがあって良かったな…っと。


 私はそのままベッドに倒れ込むと、早々と意識を手放した。


 周りからはぼんやりと私を呼ぶ声や悲鳴が聞こえた気がするが、既に私の意識は闇の中だった。

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