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魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
42/158

70話 サクサクと迷宮攻略3

 21層。


 20階からの階段を降りると、そこは氷で出来た迷宮だった。足元は滑りやすいから気をつけなければいけないな。

 それにしても、氷が鏡のように反射して周りが見づらいな。道も分かりづらくて困る。まぁ、今回はくまなく探索しないといけないから気にしなくて良いか。

 

 じっくりと宝箱探しをしていると、急に雑魚敵が現れた。氷の中からね。今までは駆け抜けてきたから雑魚は無視できたが、今回は探索だ。無視は出来ない。

 

 現れたのは幽霊というか、亡霊というか、まぁそんな感じの奴だった。長い髪をだらーんと垂らし、前屈みで、その顔は真っ青。体は非常にやせ細り、白いぼろぼろのワンピースを身につけた女性だ。まるで背中を糸でつられてるようにゆっくり浮遊して近づいてくる。


 かなりショッキングな敵だ。私がノータイムで眉間に銃弾をぶち込む位には。

 キリエは少し怖かったのか、私の腕にしがみついている。かわいい。


 じっくり探索していると、やっと一つ宝箱を見つけた。探していないときは結構見つかるのに、探すと全然見つからないのは何でなんだ。物欲センサーか。

 とりあえずエドワードさんに開けて貰う。

 鉄の箱の蓋を開けると、そこに入っていたのは1本のナイフだった。

 ハズレかな。


「ツボミ様!コレは凄い物が出ましたね!“刻印のナイフ”ですよ!」

 おっ?エドワードさんが良い反応してる。魔眼で見てみようか。


【刻印のナイフ】

 特殊な刻印が施された投げナイフ。

 魔力を込めることで、一定時間相手の耐性を無視してダメージを与える。


 ほう。素晴らしいじゃ無いか。しかも鞘付き。安全性もばっちりだね。しかも投げナイフだったのか。

 そういえば私の【悪魔の外套】には、ナイフを隠して刺せるような所が左右3カ所ずつ、合計6カ所あったな。流石セリアさん。利便性もばっちりだな。暗殺者みたいだ。


「コレはツボミ様が持っていると良いでしょう」

 と、エドワードさんが渡してくれる。ありがたく貰っておこう。いざという時用だね。遠距離攻撃の手段は多い方が良い。


 21層には、それ以上の宝箱は無く、ボス部屋にたどり着いた。

 そこに現れたのは氷の甲冑の騎士だ。大きな剣と盾を携え、静かに佇んでいる。


 エドワードさんが、先手必勝とでも言うかのように、再び剣に氷と炎を纏わせる。

 騎士は動かない。だが、騎士の両脇の地面が急に盛り上がる。そして、その盛り上がった地面は、全く同じ騎士の形になった。


 私達に向けて、騎士がそれぞれ一体ずつ向かってくる。

 エドワードさんは、振り下ろされた大剣を右の剣で受け止め、左の剣で攻撃する。

 キリエはライトアクセルで加速しながら『斬撃波』を放ち、敵を寄せ付けない。


 さてさて、1テンポ遅れてやってきた私の番だ。

 だが、氷なんて相手にならないな。私は振り下ろされた剣を横に移動して避けると、マンティコアに戻る。そして、脇腹に獄炎ブレスだ。

 ゴオォォォッ、と吐き出されたブレスを、騎士は盾で受け止める。

 だが、盾で獄炎が防げるわけも無く、盾ごと溶けて消滅した。


 エドワードさんの方を見ると、お得意の魔法剣で華麗に騎士を翻弄し、丁度とどめを刺したところだった。

 キリエは、距離を取った後、ホーリーバーストで消し飛ばす。


【生物図鑑により、アイスナイトから『分裂』を取得しました。スキル同士で複合し、派生しました。】


 派生?何だろうか。


『作成+』

・武具作成+10『素材から形を作る』

・複製『1つだけの物質で出来た物で、魔力が籠もっていなければ、素材が無くても一瞬で全く同じ物を生み出す』


 oh…遂に私も無から物質を作り出してしまうようになったか…


 って言うか、コレがあれば、さっきの刻印のナイフを増やせるんじゃ無かろうか。

 あれは魔力を流すと発動する物が掘られているだけで、魔力は込められていない。やってみるか。


 私がナイフに触れながら『複製』を発動すると、ナイフが2つに分かれる。それも一瞬で。

 コレ便利すぎるぞ。


 楽しくなった私は次の階への階段を通っている間、ナイフと鞘を増やしまくって、インベントリに入れまくった。

 コレで投げナイフの数には困らないな。


 遠距離武器が増えるのは良いね。後で練習しておこう。



 22層。


 バァン バァン ズバァン バァン


 うーん。危ない。至る所で音のめっちゃしょぼい爆発が起きている。

 どうやらガスでも吹き出しているようだ。エドワードさんは毒耐性があるようで、私達もマンティコアの加護で効かないから良かったけど、このフロア超危険じゃないか。

 とりあえず火気厳禁だ。自爆なんて目も当てられないからな。


 ここもフィールド系のフロアで、探索は楽そうだ。宝箱は2つ。


 まず一つ目の錆びた鉄の箱を開ける。

 中身は黒っぽい石ころだった。


「火薬石ですね。火をつけると激しく爆発するんですよ」

 エドワードさんが解説してくれる。要りますか?と聞かれたが、危なそうなので断っておいた。


 もう一つは黒みがかった石の箱。

 中身は火打ち石だった。


 何だ?爆発させろってか?絶対嫌だね。

 コレもエドワードさんに渡しておく。



 さて、ボスだ。ここの雑魚敵、突っ込んできて自爆する鳥で、なかなか面倒くさかった。やっとここまで来た。


 現れたのは、イグアナみたいな、コモドドラゴンみたいな奴。体の周りでは、土が浮かび上がっていたりする。

 イグアナは、私達を視界に捕らえるなり、「ガアァァァァァッ!!」と咆哮を上げる。すると、咆哮に呼応したかのように、周りで数カ所爆発が起こった。

 なんだ?よく分からんが厄介そうだ。早めに倒すに尽きる。


 エドワードさんは火気厳禁なので、2本の剣に吹雪を纏わせ、キリエは様子見で斬撃波を飛ばす。

 電気も不味いかな…


 ならばと思って私は死影弾をリロードする。リロードが完了して、私が引き金を引こうとしたその時、イグアナが再び激しく咆哮する。

 私は本能的に危険を察知してその場を飛び退くと、私がさっきまでいた場所で爆発が起こる。


 よく見ると、キリエの放つ斬撃波はイグアナを守るように生まれては消える土の壁に阻まれ、エドワードさんの剣技は鱗に弾かれている。

 どうやら物理耐性があるようだ。エドワードさんの剣技を弾くとは…それしか考えられないな。


 私はリロードが完了した死影弾を撃とうと、その引き金に手をかける。

 だが、再び咆哮と共に爆発が私を襲い、阻まれてしまう。


 更に、奴の周りに土が集まってゆき、龍の形を模したかと思うと、私に向かって突撃してきた。

 コレはよけきれなそうだと思い、『超化装甲』と、2本の武器で受ける準備をする。


 だが、そこに響くキリエの声。

「……絶対障壁」


 私の前に突然現れた光の壁は、土の龍を正面から受け止め、攻撃が終わるまで傷一つつけずに防ぎきった。

 私の方を見てドヤ顔しているキリエ。助かったよ!と叫ぶと嬉しそうにほほえんだ。かわいい。


 ってか流石防御特化って言うだけあって凄いな。キリエさん、マジパネェッス。


 私は爆発で阻止されたくなかったので、その場から走り出す。咆哮と共に私の後を追う爆発。

 私は全く動じずに、走りながら照準を定めて、死影弾を撃つ。


 脇腹へと突き刺さった死影弾は、そのままイグアナの体を貫くが、闇属性だけあって全く外傷は与えずにイグアナをワンパンした。


【生物図鑑により、ボマードラコから『爆裂』『地龍』を取得しました。スキル同士で複合が発生】


 なんか『○○龍』多くない?と思って、エドワードさんに効いてみると、どうやらここカルグルは、古の時代に君臨した伝説の古代龍が眠る場所と言われているらしい。このダンジョンもその頃からずっとある、古い物のようだ。


 新しいスキルはこんな感じ。


・爆裂壁『防壁としての効果はほぼ無くなったが、直接攻撃のみを一度だけ受け止め、その場で爆発する障壁。自分の周りにしか発動できない』

・イグニッション『発火だけで無く、小さな爆発も可能となった。攻撃には向かない』

・鬼撃『一定時間、攻撃力が上がり、更に物理攻撃を防がれても、相手に確実にダメージを残す。代償として、発同時に自分もダメージを受ける』

・召龍:肆式『無意味。あと2龍』


 それぞれ防壁、バーニング、豪撃、召龍:参式が変化したようだ。

 防壁ってそんなに使ってなかったけど、防御系みたいでなんとなく良かったのに…まぁ直接攻撃だけなら一回だけ防げるのか。それにしても脳筋臭がしてやだなぁ…

 鬼撃にはお世話になりそうだ。この体、マンティコアの加護のおかげで回復力はエグいからね。


 それにしても薬見つからないなぁ。クリアまでには入っていてくれよ?

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