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魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
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65話 カルグルの町

 おはよう。正門に行く前に、ガリスさんから剣を受け取るとしよう。と言ってやって参りました。ガリスさんの店前です。


 今回はちゃんとガリスさんが店にいた。手には黒い布にくるまれた物が。

「嬢ちゃん、ほんとに良いのか?ガッツリ呪われてるぜ?」

 と、確認してくれるガリスさん。だが、私にとってはその呪いもメリットなのだよ。

「大丈夫ですよ」と言って、私は布ごと受け取る。


 そこにあったのは、グレイスオブクイーンとサイズの変わらない、漆黒の剣。鞘に収まっている状態ですら、光を飲み込むかのように禍々しい。

 柄の部分には、山羊の頭蓋骨があしらわれており、まさに呪いの剣と言ったところか。


【ブラックオブディスペアー】


 使用者:ツボミ・キノシタ

 山羊頭の悪魔の呪いがかかった魔剣。

 使用者は攻撃力が上昇する代わりに、属性耐性が大幅に低下する。

 マンティコアの加護により、不壊属性を得て、手入れいらずの一品になった。


 おう。説明文がもう呪いって言ってるぜ。


 そういえば私の武器を和訳すると何になるのだろうか。○○オブ○○が多いんだよなぁ。

 たとえば「グレイスオブクイーン」だと何になるんだろう。「姫君の高貴」か?いや、多分意訳して「高貴なる姫君」だろうな。と言うかそれが格好いいからそれにしよう。となると、「カースオブキング」は「呪われし王」、「ブラックオブディスペアー」は「黒き絶望」かな。

 なんとも厨二病チックな名前じゃないか。格好いいから良しとしよう。


 私はお礼と共に代金の金貨1枚を置いて家に帰る。朝ご飯は無しにするか。

 さっさとキリエを起こしたら、エドワードさんとの待ち合わせに行こう。


 家に帰るとちょうどキリエが起きてきていた。

「…むぅ…ツボミ…おはよ」

「おう、おはよう。この後エドワードさんとの待ち合わせ行くから、準備してね」

 そう言うと、キリエはゆっくり、本当にゆっくり準備を始める。朝に弱いようだ。


 数分経って、キリエがなんとなく準備完了したので、待ち合わせ場所に向かう。

 エドワードさんは、神妙な面持ちで、そこに立っていた。腰には左右2本ずつ、計4本の細身の剣を刺している。もの凄く格好良いです。


 実は私は昨日悩んでいた事がある。

 カルグルの町は、アシトラよりも遠いのだ。そんなところに馬車なんかで行ったら、帰ってくるまでに娘さんの命が持つか分からない。なので、エドワードさんには他言無用で、正体を明かそうと思う。


 私たちが近づくと、気がついたように、軽くお辞儀をした。紳士かっけぇッス。

「おはようございます。今更ですが、本当にご協力ありがとうございます。」

「おはようございます。娘さんが心配です。早く向かいましょう」


 とりあえず、私たち三人は、人気の無いところまで歩いてきた。馬車は、私が、秘策があると伝えてお断りした。

「さて、この辺で良いでしょう。エドワードさん、これから見たことは絶対に内緒ですよ」

 といって、私はマンティコアに変身する。キリエは「…ひっ」と、言葉を漏らす。どうやらアシトラから来たときのアレがトラウマのようだ。エドワードさんは唖然としている。まぁ無理も無いだろう。


「とりあえず乗ってください」

 と言うと、エドワードさんは、なんだか、現実逃避したような目で、「では、失礼します」と言って、乗ってくる。

 キリエはガクブルしていて、乗ってくる気配が無いので、咥えていこう。

「エドワードさん、道案内お願いしますね」

 私はそう言うと、キリエの服を咥えて駆け出す。子供を咥えるライオンみたいな図だ。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!」

 走り去った私たちの後には、衝撃波で軽く薙ぎ払われた地面と、キリエの悲鳴だけが残った。


 ふむ。それにしてもカルグルは遠かったな。キリエが意識を手放してから、もうそれなりに時間が経った。アシトラからしたら二倍くらい違う気がするぞ。

 ちなみに今私は魔人になって、キリエをおんぶしている。フフフ。役得じゃ無いか。背中にやわらかい物が…ゲフンゲフン。

 エドワードさんは流石熟練だけあって、少々酔ったくらいで済んでいる。流石紳士だ。


 カルグルは高低差のある、崖の町だ。隆起によって盛り上がったのか、断層でずれたのか、切り立った崖があり、その側面に足場を何段も作って出来た町だ。何故こんな所に作ったのだろうか。あと、足場が崩れたら皆死ぬぞ。

 ちなみに、カルグル地下迷宮は、その崖の麓に入り口がある。

 エドワードさんはお忍びらしく、出来るだけギルドに立ち寄りたくないそうで、ここは受付も要らないし、早く入りたいようだ。

 私もそれが良いと思うので、キリエを肩に担いで早速ダンジョンに入ることにした。


 もう少し背中の感覚を楽しんでいたかったが、仕方ない。片手が空いていないと危ないからね。

 それよりも最近のツボミおっさん化現象をなんとかしないと私のキャラ崩壊が…


 まぁとにかくエドワードさんの娘さんのためにも、頑張るとしよう。

今日は二話投稿で行きます。

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