表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物で始まる異世界ライフ  作者: 鳥野 肉巻
16/158

砂漠のボス戦



 ボス部屋の中に、光と共に現れたのは剣を持った死体。 ゆったりとしたその動きは私がよく知るゾンビのソレに近いものがある。


【ゾンビソルジャー】

 Dランク。ゾンビの上位種。


 魔眼を使用している私を待たずに、ゾンビソルジャーは私に向かって走り出した。 ゆっくりとしてはいるが、その一歩一歩は力強い。 そして、そのままの流れで剣を振り上げる。


 私を斬るつもりか? だがそんな物を食らうような私では無い。


 その身体能力に物を言わせて側面に回り込み、そのままの勢いで空中斬撃。 ゾンビの体は上半身と下半身がおさらばした後、光となって消滅する。 そして、ゾンビの消えた光の中から、木でできた小箱が転がり落ちた。


 …なんともあっけないボス戦だったな。Dランクすら一撃で葬るとは…。 このまま人間の姿で何処まで行けるかやってみるのも良いかもしれない。


 落ちた小箱に手をかけ、ゆっくりと開く。 その中に入っていたのは3つのおにぎりだった。


 ……なんだか複雑な気分だが、ダンジョン産のものは鮮度というか、清潔度が最高らしい。ソレは例え食べ物であってもだ。 人間の姿で行こうと決めたわけだし、ここで食料が手に入るのはなかなか嬉しい。 この木箱も丈夫だし、サイズ的にも色々使えそうだな。持ってこう。


 次の狩り場を目指すために先に進むと、ボスの前とは出現するモンスターがガラッと変わった。 

 

・ビッグトード Dランク

・サンドフィッシュ Eランク

・サンドスコーピオン Eランク

・サンドサーペント Dランク


 見える限りではこんなもんか。敵も少し強くなったが、レベル上げのために全て倒していこう。


 唐突に思いついたから魔法使うか。私には「フレイム」という範囲攻撃魔法があったはずだ。 今は人もあまり居ないし、何より魔法の調整は前回のダークネスでコツを掴んでいる。


 ……前方にでかいカエル2匹と砂の中を泳ぐ魚2匹が見える。あそこに打ち込もう。


 その場所めがけてフレイムを飛ばすと、無から出現した炎が波のように広がり、燃え上がる海を生み出した。 勿論4匹の犠牲者は耐えられる訳もなく、跡形もなく消えていた。


 しかし、ドロップ品はちゃっかり落ちており、そこにあったのは『サンドフィッシュの骨』2つと、『ビッグトードの脂』が一個。 脂はちゃんと瓶に入って出ている。優しいね。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 




 この辺一帯の敵はあらかた片付けただろうか。 剣の扱いもだいぶなれてきたし、体捌きもなんとなく分かってきた感じがある。 


 もうすぐ次のボス部屋がある気がするな…。 倒したらおにぎり食べよう。お腹空いたしね。



 もう少し進むと、見覚えにある紫の壁に囲まれる。 そして、光と共に現れたのは木に足が生えて立っているような化け物だった。


【バーサクトレント】

 Cランク。凶暴化したトレント。

 取れる繊維は最高品質の紐に加工される。



 先程のように、トレントも私を待たずに特攻してくる。 そして、私も同じように回避を行うが、振り下ろした剣は通らなかった。 トレントがその左手で剣を受け止めたのだ。


 トレントは、もう片方の手で私の髪を掴み、そのまま紫の障壁に叩き付けた。


 流石に全身が痛い。Cランクにもなれば私の剣くらい受け止められるか…。 そして、この長髪は少し邪魔だ。 纏めるなり何なりしないと危ない。


 トレントは追撃をかけるように走り出す。ただし、私の剣を受け止めた左手はだらんとしており、痛手を負ってはいるようだ。 そういえば得体の知れないスキルがあったはずだ。今は戦闘中。今こそあのスキルの使い時では無かろうか。


 『闘気覚醒』!!


 走り寄ってきていたトレントが急にゆっくりになる。 スーパースロー映像でも見ているようで、周りを舞う砂粒も、落ちていくのが見えるほどゆっくりになっていた。


 状況は良くつかめないが、とにかく背後に回り込もうと、体を動かす。 その瞬間、これまたどういう訳か、私はトレントの後ろに移動していた。


 どうやら私自身が早くなっているようだ。クロックアップって言う奴か。


 何にせよ、この好機を逃すわけにはいかない。 大きく振りかぶったグレイスオブクイーンを脳天から真っ直ぐに振り下ろす。 トレントは私の動きに全く反応できずに真っ二つに切り裂かれ、消滅した。



 今回は少し強かったな…。髪や全身が痛い。 今の戦闘で学んだ事は、もう少しスキルを使っていくべきだということだ。


 お楽しみのドロップ品には黒っぽい紐の束が出ていた。 繊維は良い紐になると書いてあったが、紐のまま落ちたのは好都合だ。だが、コレは紐って言うか、リボンに近いな…。 ちょうど良いし髪縛ろうか。


 良い感じの長さに紐を切って、髪を右側にまとめる。サイドテールって奴だ。 かなり髪が長いせいで結構垂れ下がって来てるけど、前に比べればそこそこ動きやすくなったし良しとしよう。


 この辺りから敵が強くなって来そうだ。おにぎりを食べたらまた進もう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ