黒の扉
敵戦力は減少の一方。ついに魔物達に、自分たちに勝利が訪れたと誰もが思ったそんな時だった。
「おい…アレは何だ…?」
誰が呟いたのかは分からない。しかし誰もがそれを仰ぎ見た。
空に浮かぶは黒曜の扉。そしてそれを抱え込むような空にはイバラの巡らされたような不気味な模様が浮かび上がる。
古の大戦を彷彿とさせるようなその光景。徐々に開き始める扉と共に、かつて空と大地を飲み込んだモンスターの波が脳裏をよぎる。やはりこの一連の裏にも奴がいたと言うことか。
……しかし、開ききった扉からはいつまで経ってもモンスターが湧き出てくる気配はない。 まるで私達を招いているかのような扉だ。
「キリエ、1回行ってみない?」
「……そろそろ…ゆるす…」
許可も出たことだし、ツバキと雫を連れて向かうとしよう。 ともかく、この扉の先に全てがあるはずだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「とりあえず何があるか分からないし、軍勢はいったん引かせたけど……ここからが本当の勝負とかあんまり笑えた話じゃないねぇ…。モンスター大量はもう無理だよ?」
指揮官としてツバキはかなり優秀なようで兵士達の状況を詳しく把握しているようだ。 いや、そうでなくとも分かる。皆、今の戦いで大きく疲弊している。この上であの量が来たら間違いなく皆揃って死亡確定だ。
「まぁ、どうにもこうにも元凶は扉の先にいる。全員で…行けるのかな?」
扉は水面のように波立っており、奥は見えない。 私の手はスカスカ通り抜けるが…
「………?……とおらない…」
キリエや雫、ツバキは石壁を触って要るようだ。
たしかアイリスは監視者しか行けない次元だとか言ってた気がしたが、私は監視者ではない。ならば何故私だけ通れるのか。
…考えても仕方あるまい。
「ちょっと行ってくるよ」
皆が通れないなら通れる奴だけ行けば良い。どうせ戦いになったら誰も勝てないのだから。
「…蕾ちゃん、そんな体で行くつもり?」
「あぁ、その通りさ。キミは右腕もなく、全盛期ほどの力も無い。相手は監視者の内の一人だ。勝てるわけ無いだろう?」
「いや、行くよ。だって戦いになんてならないからね」
ひらひらと手を振って扉をくぐる。
そう、戦闘なんて起こらない。私は彼を“救い”に行くんだから。
最終シーンなのに盛り上がらない…力不足だなぁ…。いや、最終シーンではないですけど。
次回でいったん一区切りになると思います。まだ続きますけど。
次回は3月14日(水)の20:00以降です。
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