お披露目
皇帝さんの使いの人がやってきて呼び出された。 そして今に至る。
「ツボミ殿、呼び立ててしまってすまないな。とある報告を受けたのだ。一応耳に入れておいて貰おうと思ってな」
「ん?」
「どうやらラネシエルとソレイジが手を組んだらしい。そして、我々にも協定を組まないかと言う手紙が来た。 どうやら本腰を入れてリスティの殲滅にかかろうとしているらしい」
へぇ…。急な進展だな。
ソレイジの傀儡問題はどうにかなったのだろうが、ラネシエルの内戦待ったなし状態はどうなったのだろうか。
「ツボミ殿、気になっているだろうから伝えておくが、ラネシエルの王は暗殺された。内戦は起こらなかったようだな」
……毒でも盛られたのかな。
しっかしまた協定か。面倒な話だ。
組めば組んだでリスティを刺激しかねないし、組まなければ組まないで敵と認識されかねない。
「このまま行けば戦争は避けられないだろう。しかし、連中の持つ兵器を鑑みるに状況はあまり良くない。どうにかして戦力とその数を揃えなければならんのだが…」
数か。100までなら凄まじく強力な仲間が居るが、それで足りるような数ではないのだろう。
武が暴れた後どうなったかは分からないが、別の場所にも工場があると考えれば、今も戦力差は広がり続けているはずだ。
他に誰かこちら側の陣営に着いてくれそうな人はいないものか…。
……人? ……いや、居るかも知れないな。人では無いが。
それに、今敵の兵器のことを考えていたら、私個人の戦力をごっそり上げる作戦2を思いついたぞ。
「皇帝さんよ。私にアテが2つある。いや、お披露目もかねて3つにしておこう。一つ目は分からんが、二個目三個目は確実な戦力増強になる。聞きたいか?」
「……素直に聞かせて貰えるのか?」
私のことなんだと思ってるんだこの人。
「一つ目としては、魔物の知り合い達を訪ねてみようと思う。まぁ断られる可能性もあるからこれは不確定要素だけどね」
「いやいや。聞いて貰えるだけでもありがたいことこの上ない。素直に助かるよ」
「んで、二つ目は私個人を一騎当千にする作戦。このメンバーの中で私だけは唯一物資だけで超強化できるからね。金属とかさえどうにか出来ればこれは確実」
創造スキルを使えばパーツを創るくらい片手間で出来るのだ。主に銃火器の。
「そんで三つ目。これは既に出来たからお披露目ね」
右足で地面を強く踏みつける。そこから水の波紋のような物が広がるとともに、激しい風が吹き荒れた。
嵐のような風に、皇帝達は顔を覆い隠す。 私の後方に黒い稲妻が走り、黒い靄が立ちこめ始めた。
「さぁ、出でよ我が同胞達よ!」
ひときわ大きな雷が轟くと共に、大地から出現した100の異形。私を大将の座に据えて出現した彼らは、この世界には存在しない魑魅魍魎達だ。
「……これいる?この演出。恥ずかしくない?いかにも厨二だぞこれ」
「我が主よ、私も止めたのですが皆が我々の恐ろしさを知らしめるためにはこの演出が良いと…」
「馬鹿しかいねぇのかマジで…」
その怪物達のリーダーのようなボロボロの外套で足の無い骸骨と会話をしていると、皇帝さんがその話に割り込む。
「ツボミ殿、か、彼らは?」
「あぁ、私の“子供”達。うん、間違ってないね。私が創って私が産みだしたんだから」
「いや、言っていることがよく分からんが、今大量の同時召還を行ったのでは…?」
そう見えてしまうならこの馬鹿共の思惑はピンポイントで的を射ていた訳だ。
「いや、召還した奴を足元、私の影に隠しといたんだ。それを派手な演出で登場させただけ」
「それでも十分…」
ともかく、著しく弱体化している私は今後の戦力を彼らに頼ることになるだろう。
まぁ、兵器開発は帰ってからにするとして、これからまず、魔物達に頼りに行ってみよう。
どうも、急なサービス残業絶対許さない委員会会長の鳥野肉巻です。
今までの遅刻は全て私が悪いんです。 でも今回ばっかりは許して欲しいんだ。
なんだこれ!なんだこれ! いや、残業ならまだなんとか理解しようとはするさ!サービス残業!?絶対許さねぇ!!
……次回更新は2月4日(日)の20:00以降です。
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